ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2015.7.22 採血後診察、ランマーク10回目、カドサイラ(T-DM1) 8回目

2015-07-22 20:16:51 | 治療日記
 梅雨明けとともに灼熱の暑さ(熱さ!)が続いている。今日は今月2回目の通院日である。朝から気温はぐんぐん上がっている。日傘を差してもコンクリートの照り返しでクラクラする。
 最寄駅でも乗換駅でも電車は順調。夏休みとあって、旅行にお出かけするチビッコの姿が多い。乗換駅で始発電車を待ち、端の席を確保。本日のお伴は米澤穂信さんの「リカーシブル」(新潮文庫)。帯には「三冠作家が放つ 切ない。痛い。青春ミステリ」とあり、迷わず手に取った。序章から引き込まれ、手指の痺れをちょっと気にしながら頁をめくり続ける。

 電車を降りると、家を出た時よりも更に陽射しが強くなっている。予定時間に病院到着。自動再来受付機にIDカードを通し、採血の自動受付機へ直行する。待合椅子は空いており、ほどなくして採血室に入れた。初めての看護師さんが3本の採取。針刺も抜針もまずまずのスタートだ。
 本日もレントゲン撮影なしで、そのまま腫瘍内科へ移動。待合スペースで読書に没頭できるいつもの位置を確保。 

 1時間ほど待って「中待合へどうぞ」に番号が出た。自動血圧測定機での計測は92-57、脈拍は84。平常どおりだ。待っている間、読書は続けたが、中待合で声を上げて泣いている若いお嬢さんを、針刺名人のOさんとそのお母様と思しき方が背中をとんとんしながら優しくなだめているなど、色々な人間模様が嫌でも目に入ってくる。

 その後30分ほどで、先生がお顔を出された。「お暑うございます」とご挨拶した後、「お住まいの辺りは暑いでしょう?」と問われ、「いや、もう文字通り灼熱、体温以上の熱さです。」とお答えする。診察室での検温は6度8分。昨日は本当にその位の気温であった。
 「さて3週間、どうでしたか。」と問われ「おかげさまで概ね調子が良かったですが、10日ほど前から手足の痺れと痛みが気になり始めました。パソコンのキーを打ったり、スマホの画面を触ったり、本の頁を繰ったりするとチリチリピリピリします。足は手よりは酷く感じませんが、長靴を履いた後に足の裏が真っ赤になり、指先の痺れと痛みが酷くなりました。」とご報告。
 「痺れだけでなく痛みがあるとなると、何か薬を飲みましょうかね」とおっしゃるので「漢方でしょうか、リリカでしょうか」と問うと、「サインバルタという薬が痛みや痺れによく効くようです。主に大腸がんで痛みや痺れの出る薬の副作用対策に使っていますが、他のものと比べて良いようです。糖尿病の痛みや抗鬱剤としても使うのですが、眠くなるのがちょっと注意です。午前中運転しなければ問題ないです」とのこと。「まあ、他にも色々ありますから、とりあえずお試しで使って(もしダメならまた別の薬に変えて)みましょう」と即決。確かに酷くなって身体がこの痛みを覚えてしまってからよりも、先手必勝である。ゼローダとタイケルブの時に痛い思いをしたので念のため、ヒルドイドローションを1本処方して頂いた。
 またこの2,3日、今までの胸痛とは別に喉元が締め付けられるような、一瞬息苦しくなるような痛みが5分ほど続くことが何度かあったお話をすると、「狭心症ですかね~肩は痛くないですか」とおっしゃる。これについては少し経過を見て、まだ続くようであれば循環器の先生に診てもらいましょうとのこと。ついでに、涙目も相変わらずということも一応補足する。

 そして、本日の採血の結果、腫瘍マーカーCA15-3はまた下降していた。ここ数年で一番低いのではないかという快挙の数値である。思わず先生が見せてくださったPC画面に身を乗り出してしまう。他に前回まではHの赤字だった肝臓の値等も、全て正常範囲内に落ち着いており、HやLの正常範囲外は画面上パッと見たところ一つもなかった。
 カドサイラは採血結果だけを見れば初回から色々な数値異常もあるが、自覚症状としての副作用は4,5回程度では誰も何も言ってこないという。それ以上になるとそれなりに色々なことが出てくるようだ。長く続けるのだから、うまくコントロールして大切にお世話になって行かなければ。
 ということで、治療続行、ランマーク注射10回目とカドサイラ(T-DM1)8回目とあいなった。

 ロキソニンはまだ予備があるので、3週間分のデノタスチュアブルとサインバルタの2種類の飲み薬、ヒルドイドローションの処方。次回3週間後もレントゲンなしで採血のみ予約して頂く。
 席を立つ時、「次回治療の翌日から夏休みです」と言うと、「遠出するのですか」と訊かれる。「問題あるでしょうか」と問うと「いえ、問題ないでしょう」とのこと。ヤッタ!である。リトリート効果恐るべし、である。やはり心に決めたことで、現実は動き出しているのかもしれない。(と書くと、夫から「マインドコントロールされているんじゃないの、大丈夫?」と不審な目で訊かれるのだけれど、いたってノープロブレムである。)

 化学療法室へ移動し、いつものように、待ち時間に夫やお友達に報告LINEやメール。今日は内側の通路側のリクライニング椅子に案内される。お手洗を済ませ、体勢を整えてポートの針刺しを待つ。今日もKbさんが刺してくださる。今日はうまく痛点を逃した感じで、幸先が良い。逆血も問題なし。
 20分程待って薬が届く。Krさんが「私にも診せて下さいね」とお顔を出される。逆血を確認し、問題ない、とのこと。いつものように最初に生食を落とした後、1時間10分ほどでカドサイラ(T-DM1)を投与し、再び15分の生食で流して終了。今日はランマーク注射もKbさんが刺してくださったが、ゆっくりお喋りしながら、だったので殆ど痛みがなかった。ラッキー。
 その間、隣のカーテンの向こうで、患者であるお母様と付き添いのお嬢さんの会話がそのまま聞こえる。患者さんは「なんでこんなことになってしまったんだろう」と泣いている。お嬢さんは「半年頑張ればいいんだから…」と慰めているけれど、なかなか収まらない感じ。看護師さんからもフォローされているけれど、「心が折れてしまって、怖くて毒を体に入れるのが嫌で」とのこと。
 初めての抗がん剤治療、とてもナーバスになっているのだろう。「大丈夫ですよ」と言って差し上げたい。漏れ聞こえるところによれば、お歳は61歳、これまで口内炎すら経験したことのない(!?)ほどお元気だったようだ。薬剤師さんの説明も嫌でも聞こえてくる。レジメンはイメンドを飲んでから吐気止めのデキサート、ECの投与のようだ。「ツルツルになるのですか」と脱毛のことを気にしておられる。ECとタキサンを8クールの後、手術のようだった。
 術前化学療法ということだから、今きちんと叩いておけば一生病院にかかることはないのだ。もちろん、ご本人にとっては本当に切ないことなのだろうけれど、成人したお嬢さんがこれから毎回往復、車で送迎してくれる模様。仕事も来週一杯はお休み出来るようだ。恵まれているのになあ、と思う。

 終了後の血圧は115-66、脈拍は70。抜針はヘルプで来ていたHさん。「わあ、○○さん、お久しぶりです、お会い出来て良かった」と言って頂き、嬉しい。が、衝撃はそれなり。今日も針刺名人のOさんはお忙しそうで、ご挨拶も出来ずじまいだった。
 
 会計は長蛇の列。採血、点滴の3割負担で16万円のお支払を自動支払機でカードで済ませる。
 外に出ると、一段と暑さに磨きがかかっている。もうコンクリートから湯気が立ちそう、陽炎が見えてきそうだ。薬局へ移動すると、そこそこの混雑だ。今日の本は厚めなのと、投与中にカーテンの向こうのお話が聞こえてあまり集中できなかったので、読み切れず、ここで読まねばと、待ち時間は全く気にならない。30分程して名前を呼ばれた。
 今回の薬についてちょっと質問すると、サインバルタを抗鬱剤として使う時には、私が今回処方された3倍量(60mg)とのこと。そのため、気分が高揚するなどの副作用(抗鬱剤としての本作用)は気にしないでよさそう。眠くなるからといって勝手に減らさず、とりあえず1日1回は飲むように、余りに眠いようなら服用時間は夜にしても構わない、出来ればチェンジするときには12時間開けて、ということだった。
 薬はちょっとかさが増えて、エコバックを用意する。お支払いは2,000円ちょっと。

 本日の病院と薬局の滞在時間は合わせて5時間強。駅ビルで遅いランチをして、読みかけの本をひたすら読み続け、帰宅は夕方5時過ぎ。
 リビングの室温は30度を若干超えていたが、風もあり、暑さも少しずつ薄れてきた。自宅近くで見る真夏の空模様が眩しくも爽やかだった。

 昨日届いた今月2回目のお花のこと。黄色のLAリリー、ピンクのグラジオラスがそれぞれ3本ずつとアレカヤシ。花言葉はそれぞれ「威厳」と「愛の祈り」だそう。こう暑いと、いくらマメにお水を替えても、お花はなかなか持たない。少しでも風通しの良い所に置いているのだけれど。
コメント
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