週明け、出勤日。
なんとか起きて、お腹に入れられるだけ入れ、遅発性吐き気止めのカイトリルを飲んで、よたよたと職場へ辿り着く。今日も朝から陽射し溢れるいいお天気だ。
日中は真夏日に近いほど気温が上がるという。
気づけばマスク越しにも金木犀の香りが鼻をくすぐる。金色の小さな花、金木犀は10月の香り。ああ、いよいよ10月なのだなあ、と改めて実感する。
自席に到着してすぐにメールや何やらの処理を大車輪で。
休みの間ほぼ歩いていないし、足元が心もとない。耳鳴り、火照り、気持ち悪さもある。とにかく4日ぶりに装備した不織布マスクが苦しい。
今日の出立ちは吐き気対策万全のゴムのスカートだからお腹の締め付けはない。さすがに10月ということで、トップスは薄手の長袖である。
一方、マスクをしていてもさらに気になるのが近くに漂っている香水の匂いだ。
香りは好き好きだし、人様の好みをとやかく言うことが出来ないからデリケートな話題だけれど、こうして体調が悪く吐き気がある時に、きつい匂いはかなり辛い。
普段からも風に乗って届けられるその匂いにちょっと滅入っている。だが、良いと思ってつけているわけであるから面と向かって止めてもらうわけにもいかず。
それでもさすがに気分が悪く、辛かった。このままだと頭痛もしてきそう、ということでなんとか急ぎの仕事を午前中に終えて、午後は休暇を頂いて帰って休むことにした。
私は治療後の時期、匂いにとても敏感なのでこういう話になるのだけれど、もし普段からもっと匂いが強く感じられる状況だったらどうなるだろう、とちょっと背筋が冷たくなる。
今は柔軟剤等の匂いもかなり多岐にわたり、長く続くものもあって、その化学的な香料のアレルギーで苦しむ人も多いと聞く。
私は満員電車に乗ることもないから、その中での被害はないが、夫によれば、雨の日、蒸れた車内の女性の香水や柔軟剤らしき匂いでオエッとなり、逃げ場がなく往生することがあるそうだ。
コロナ禍の中、マスクをしていてもこうした匂いの問題は、声が上げられない側からすれば、かなり辛いものである。
よれよれふわふわと頼りない足取りで何とか帰宅し、迷った末、レンチンの昼食をお腹に入れ、食後の薬を飲んだらそのままソファにまっしぐら。一体化しているうちにウトウトウトウトしてばかり。身体がバラバラでまとまらない。気づくと夫や息子からのLINEが届いていたけれど、暗くなるまでほぼ動けず、何もしないで夫の帰りを待つことになった。
さて、息子のところに3泊した夫は、今朝は3泊目にして初めて部屋で朝食を済ませてから、休暇を頂いた息子と共に、医薬の神様である少彦名神社に参拝して私の長生きを祈願してくれたらしい。その後、息子お薦めのラーメン店で昼食を摂り、夕方前の新幹線に乗って無事帰京した。息子は新幹線のホームまでまた見送ってくれたようだ。
夫は、去年も同じ時期に息子宅を訪れ、甲子園で野球を楽しんだりショートトリップに繰り出したりしていた。私は7月半ばにスタートしたばかりの3週に1度のエンハーツ治療5回目直前の週末だったため、体調もまずまずで、マイペースでオンラインイベント等それなりに好きなことを楽しんでいた。
秋の初め、旅をするには良いシーズンになった。
ずっと息を潜めて緊急事態宣言が明けるのを待っていた沢山の善良な市民たちのために、願わくば、このままコロナ第6波が大きくやってこないことを。