ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2021.10.25 乳がん患者さんのためのおうちでゆったり"オンライン瞑想ヨーガ"秋冬クラス開催のお知らせ

2021-10-25 21:21:55 | お知らせ
 早いもので、コロナ禍に明け暮れた2021年も残り2か月余りとなりました。月日の経つ速さに改めて驚くばかりです。
 4月から、グレードアップした患者会ASHAREさん主催の“乳がん患者さんのためのオンライン瞑想ヨーガクラス”をお届けしておりますが、このたび秋冬クラスのご案内が開始されました。
 「気づけば今年もあと少し!忙しい年末を前に、コロナ禍でもしっかり身体を動かしてリフレッシュしましょう♪ ご好評頂いています<お得な冬クラスキャンペーン>を実施しています。」とのことです。
 
 再び皆さんと集まってリアルクラスを開催するまで、遠方にお住まいの方にも気軽にご参加頂ける、体調等により移動が厳しい方にも会場往復のご負担なく参加して頂ける、というオンライン実施のメリットを生かしながら、リアルクラスの時の内容に近いクラスとしてご好評を頂いております。
 乳がん患者さん、また、そのご家族であればどなたでもご参加頂けます。

 今回は11月、12月のお知らせになります。
 下記にリンクさせて頂きます。沢山の方とお目にかかる事を楽しみに、体調管理をしながら精進を重ねてまいります。
 引き続きどうぞよろしくお願いいたします。


 乳がん患者さんのためのオンライン瞑想ヨーガクラス
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2021.10.24 リニューアル・オンライン瞑想ヨーガクラス第6回無事終了

2021-10-24 21:33:57 | ASHARE (アシェア)
 今日はASHAREさん主催「乳がん患者さんのためのオンライン瞑想ヨーガクラス」リニューアル後の第6回目。
 4月にスタートしてから早いもので、年内開催は残すところ今日を入れてあと3回になった。
 昨日に続いて良いお天気だが、東京は今年一番の冷え込みだったという。本当に急激に寒くなった。体調を崩しやすい季節だ。緊急事態宣言は明けたけれど、コロナ禍で溜まっているストレスを少しでも癒やせるように、今日も沢山の初めましての参加者がおられるので、無理なく動けるリラックス優先のクラスを組み立てた。

 いつもよりちょっとだけ寝坊をして朝食を済ませ、リビングをクラス仕様に整える。着替えをしたら、クラス実施の準備完了である。

 Zoomに入室すると、参加される方たちが画面上にどんどん揃ってくる。代表のUさんがいつものように開始までの話題提供をご担当。コロナ禍での病院での面会の難しさ等のお話。本当に今入院すると家族もご本人も受難なことだ。
 最後のお一人の入室を待ちながら、もう一人の代表Hさんから始まりのご挨拶があり、若干遅れてバトンが廻ってきた。

 今回は初めましての方が複数おられるので、自己紹介から始める。初めてご参加の方で、運動はとても久しぶりという方がおられるのを想定して、簡単かつゆったりと身体を解せる動きをメインに取り入れたクラスは、これまで同様60分である。

 いつものように、ヨーガの智慧で特にお伝えしたいことをお話してから、聖音ॐ(オーム)を唱えクラスを始める。
 まずはウォーミングアップで身体を目覚めさせる。最初に耳を引っ張って身体を起こすとともに、速攻で温める。足指を開き、足の甲や足首をよく解した後、肩甲骨を意識しながら肩を動かし、膝窩リンパ節を刺激しつつ腿裏や大臀筋等を解す。本当はもっともっと入れたい動きがあるのだけれど、時間の制約があるので致し方ない。最後は短いシャヴァーサナで、身体を整える。

 深い呼吸をしながら、身体がだんだんと暖まって来るのを感じる。部屋の中の乾燥に備え、いつでも水分を補給して頂いてOKとお伝えする。呼吸を整え、ゆっくりもとの楽な座位に戻る。

 今日も帰命敬禮の動きを復習する。マントラを最初に紹介し、動きの見本をお見せしてからまずは動きだけ、続いて動きにマントラをつけて繰り返す。

 その後は恒例の朝ヨガのご紹介。前後、左右、回旋の動きを復習した後は、「ブラーマリー呼吸」からそのまま瞑想の時間へと繋ぐ。
 瞑想とシャヴァーサナの後のキールタンは、先週もSさんのオンラインクラスで練習した「オーム マニ パドメ フーン」だ。リアルクラス時代も取り上げ、掛け合いなどを愉しんだ曲である。

 今日は2分遅れのスタートで、2分遅れの正味1時間で終了。皆さんのお顔を拝見しながら、リラックスして頂けたようでほっとする。
 
 クラス終了後は、若干のお手洗い休憩を挟み、プチお喋り会スタート。今日も2つのブレイクアウトルームで、各々のグループに半分ずつ参加させて頂くことになった。
 ルームを自由自在に移動して頂くのは、いつもながらお任せの“どこでもドア”。とても楽しい。
 今日は自己紹介、最近悩んでいること等に加え、お題は「スポーツ、食欲、芸術等など秋の話題」で、と事務局のTさんから前振りがあった。

 最初のグループは代表のHさんが司会進行を担当された。自己紹介や今日の感想を伺う。
 いつも参加してくださるIさんから、ブラーマリーのハミングが上手く出来なくて、という質問があり、それにお答えする。また、脱毛後に頭頂部の髪の毛がなかなか生えてこないという悩みを打ち明けられた。私は4回脱毛して今が5回目の髪の毛だけれど、やはり頭頂、前髪は伸びるのが一番遅い。頭皮のマッサージは欠かさないこと、美容院で頂いたコンディショナーなしでシャンプーだけのお手入れが良いというアドバイスを紹介した。

 2回目の参加のYさんからは、放射線治療中で、脇も突っ張りがあるので朝ヨガはなかなか続けられないが、今日のキールタンはとても気に入ったとのこと。まだ治療中なのにこうしてクラスに参加されているのは凄いなと思う。
 同じく2回目の参加のWさんからは、朝ヨガは継続中であるとのご報告。
 乳がん3年生になったというHさんからは、治療は落ち着いており特に悩みはなく、この秋はZoomで色々勉強会にも参加している、1ヶ月に1回こうして自分を解き放てる時間が持て肩の力が抜けるのが良い、ベランダで朝ヨガも実行中という有り難いご報告があった。
 初参加のMさんは急用で途中退室され、感想を伺えなかったのが残念だった。
 代表のHさんからはブラーマリー呼吸は自分に集中出来るので好きだとのこと。

 2つ目のグループは代表のUさんがファシリテーターを担当された。
 私がお部屋に入る前は下着の話で盛り上がっていたようだったが、私が入ったタイミングで、皆さんから今日の感想を頂く段取りにして頂いていた。

 常連のKさんからは朝ヨガは出来たり出来なかったりだけれど、今日クラスでやったらこんなにゆっくりだったかな、と気づいたとのこと。ガイドの声に癒され、声を聞きながらヨガに集中出来ており、エクササイズ中心のヨガよりも、自分の中に向き合えるのが良いという有り難いお言葉を頂く。
 同じく常連のOさんからは心が前向きになり、ヨーガの智慧の話が毎回心に響いており、闘病を振り返ることが出来ているとのこと。
 先月のクラス後、朝ヨガ宣言をされたTさんからは、大体実行出来たけれど、間違って覚えていたことにも気づいた。瞑想の後は、うつらうつらしてリンの音で目覚めた、とのこと。とてもリラックス出来たようで何よりである。
 初体験のNさんからは、ヨガのポーズをするのかな、と思っていたけれど違っていた。ストレス過多になっていたが、ゆったりした時間が取れ、呼吸法が良かった。キールタンはちょっと照れ臭かったとのこと。歌った者勝ちですよ、とお伝えする。
 Uさんからは、前回のクラス以降、朝ヨガに瞑想を加えている。最初は忙しい朝に5分座るのはとても無理だと思ったけれど、10分早く起きて続けている、という頼もしいご報告があった。

 その後、質問に移ったところで、いきなりタブレットがシャットダウンしてしまい、慌てる。もう一つのノートパソコンで入り直したけれど、何分か不在の時間が生じてしまい申し訳なかった。色々なアクシデントがあるものだ。

 総じて皆さんからガイドの声をお褒め頂き、リアルでもオンラインでも、変わらずに瞑想ヨーガの素晴らしさをお伝え出来ていることが分かり、本当に嬉しい。そして、お一人お一人に新たな気づきと嬉しい進化があったのを知ることが出来、今日も「こちらこそ!」の嬉しい時間を頂けた。
 
 来月は14日に開催予定。日曜日の午前中、皆さんが少しでもリラックスして心穏やかな時間を持てたのであれば、何よりだったと思う。

 お喋りに花が咲き、瞬く間にお約束のお昼になった。代表Uさんのご挨拶。毎月開催しているので、次回もどうぞご参加を、とクラスは幕を閉じた。
 皆さんが退室されるのをお見送りし、その後は、事務局の方たちと年明けのスケジュールについて打ち合わせ。リニューアル瞑想ヨーガクラス6回目もこうして無事終了した。

 今回もお楽しみプレゼントで頂いたハート型のアロマストーンに垂らした瞑想ブレンドの残り香が部屋中に漂い、とても満ち足りた時間を過ごすことが出来た。


 (追記)ASHAREさんの活動レポートに取り上げて頂きました。
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2021.10.23 メンテナンスのトリプルヘッダー無事クリア

2021-10-23 21:11:02 | 日記
 昨日の冷たい雨とは打って変わって、朝から雲一つない良いお天気だ。
 土曜日仕様の目覚ましが鳴って、BSも含めて2回、朝ドラの復習を視てから新聞を取り、ベッドの中でのんびりと読む。休日の幸せタイムである。
 その後もテレビをつけたまま、夫が起こしに来るまでダラダラと。

 洗濯機を廻し、朝食を摂ってから洗濯物をベランダ一杯に干す。お天気は良いけれど、気温は低い。この1週間で一気に秋が深まった感じだ。
 夫がリビングのカーペットをホットカーペットに替えてくれた。見た目も温かそうで我が家も冬支度である。

 先日、秋の衣替え第一弾で薄物を出したのだけれど、いきなりとんでもない寒さ到来。殆ど出番がなく、そのままクローゼットに収めることになった。先日の作業が全て徒労に終わってしまい、全くの二度手間だ。
 そして去年以来、コロナのおかげで外出の機会がぐっと減ってしまったため、2シーズンも袖を通さずに終わってしまうブラウス、スカート、ワンピースたちが悲しい。
 
 そうこうしている間にお昼である。
 午後から月1度のお楽しみマッサージWさんサロンを予約してあるので、慌ててカップ麺のランチを済ませ、夕方の歯科クリニックに備えて念入りな歯磨きと身支度をして出かける。予定していたより1台遅い電車になってしまい、ギリギリ滑り込みセーフ。

 寒くなったせいか、ヨガに通っていても背中も肩もコリコリ。しっかり解して頂いているうちに、いつの間にか深い眠りに落ちた。アロマフットマッサージも心地よく、自分の鼾でびっくりして目が覚めること2回。恥ずかしいやらトホホやら。
 「よく眠っていらっしゃいましたね~」と言われ、赤面する。

 施術後は、有機エキナセアオレンジのハーブコーディアルを頂く。抗ウィルス効果が高く、Wさんも急に寒くなって喉のイガイガを感じたけれど、このコーディアルのおかげですぐに改善して風邪をひかずに済んだという。
 私も先日なんとなく鼻がシュンシュンしたとき、手洗いうがいでなんとか乗り切ったけれど、ほっこり甘くてとても美味だったので、俄然購入意欲が湧いてしまった。

 年明けまでの予約を確認し、今回は吐き気止めに加えて抗ウィルスのアロマオイルも分けて頂いた。
 最寄り駅まで戻り、T先生のビギナーヨガに参加。いつもより到着が7,8分遅れただけで既に12番だった。それでも定位置が確保出来てほっとする。今月は骨盤回りを重点的に、というクラスに3週連続で出席である。来週治療すればまた通えなくなるのが残念だ。Wさんサロンで既にかなり代謝が良くなっているので、気持ちよく汗をかけた。

 シャワーを浴びて、3つ目、本日最後のミッションは3か月に1度の歯科クリニック。予定時間より数分前に入れて、仕上げの歯磨きをしてから受付。待っている方はおらず、すぐに呼んで頂けた。

 治療後、吐き気が酷い10日間くらいは、なかなか丁寧に歯磨きが出来ないせいか、白血球が下がるせいか、折れた歯の周辺が押すと痛いこと、先日硬いものを食べた時に右奥歯がズキンと痛んだことを報告する。
 歯磨きの成果があったと見えて、「良く磨けていますね。」とのこと。歯間ブラシが入りにくくどうしても磨きづらい裏側の奥まった部分を掃除して頂き無事終了。次回は3か月後、早くも1月の予定が入ってしまった。
 支払にカードが使えるようになって、有難いことだ。コロナ禍のおかげで、めっきり現金を使わなくなったので、なかなかお金を崩すチャンスがない。

 というわけで、トリプルヘッダーを無事に終えて帰宅すると、夫がカレーを作ってくれていた。ありがたや~、と頂く。
 食後、母にDuo通話をしたら「かかりつけのクリニックに訊いたら、インフルエンザワクチンが終了してしまったとのことだった。でも、別のクリニックに問い合わせたら、週明けに無事予約が出来た。」とのことで、喜んでいた。

 明日は午前中、瞑想ヨーガのクラスである。クラスの組み立て等の準備も終了したし、明日に備えて夜更かしをしないようにしなくては。
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2021.10.22 12月並みの寒い金曜日に思うこと

2021-10-22 21:44:25 | 日記
 北海道に住む90代の叔母(義母の妹)が、毎年秋に野菜や果物を送ってくれる。息子がいた頃は本当に有難く頂戴していたのだけれど、さすがにシニア2人になって、大きな段ボールで3箱も届くと、どうしたものやら。腐らせてしまったら申し訳ないし、とご近所様にお裾分けして廻っている。

 昨日は夫が休務日だったので、マイ電動自転車で実家(デイサービスの日で母はあいにく不在)やお友達宅にもいくらか届けに行ってくれた。
前から行きたかったという評判のお蕎麦屋さんにも寄ってお昼を摂ってきたそうで、道中の写真がLINEで送られてきた。

 帰宅すると、見慣れないトレーナーがリビングにあったので「これは?」と訊くと、自転車で風を切って走ったらあまりに寒くて、実家近くのショッピングセンターで裏起毛のトレーナーを買って着込んで帰ってきたという。なんと・・・。

 仕事後にストレッチヨガのクラスに寄って芯から温まってきた筈なのに、家の中はやけに寒く感じて、なんとなく鼻がくしゅくしゅする。せっかくの体調の良い最後の土日に風邪をひくなんてもってのほか、と今年初の暖房を入れて、上着を着込んだ。

 今朝の天気予報の「昨日から7度ほど下がり冷たい雨の1日で、10度ちょっとから殆ど気温は上がらない、12月中旬の陽気で冬のコートを着ても全くおかしくないでしょう」という話にすっかり怖気づいて、ライナー付きのコートの下はニットと秋物のスカート、そしてとうとうタイツデビューである(一度タイツを履きだしたらもうストッキングには戻れない・・・)。

 なんといっても職場はコロナ対策のため、ドアは開けっ放し、窓も半分開けて換気扇を廻しているから殆ど外と変わらない。9月までの冷房が終わり、12月からの暖房もまだ入らない中間期(つまり空調運転は7月から9月と12月から3月の7か月のみである!)は人熱だけが頼りというなんともお寒い状況である。

 一方、「昨日も寒い思いをしたばかりだし、今日はとりわけ寒いようだからコートを羽織っていけば?風邪をひいたら大変だし・・・」としつこくアドバイスしたのに耳も貸さず、我が家の忘れ物大王はスーツだけで颯爽とお出かけになった。しかもスマホをお忘れになって。
 そして、今夜は1年半以上ぶりに宴会だという。4人のテーブルをいくつか、総勢何名なのかは聞いていないけれど、先日急逝されたお友達を偲ぶ会でもあるようだ。遺影をプリントして写真立を用意していた。

 夫は面倒見がいいというか、マメというか、こういうことを全く苦もなく普通にやる人だ。私もかつては誰かと旅行とか、誰かの結婚式といえば自然とカメラマンだったし、いつの間にか幹事もやっていたし、まあ嫌いではないのだと思う。
 けれど、いざ、自分の結婚式の時、来てくれた友人たちは「あれ、写真は?カメラは誰が持っているの?あ、●●(私のこと)があっち(高砂席)にいるから、ないんだわ~」ということだった。笑い話である。

 ふと自分が旅立った時に偲ぶ会でこうして写真を用意してくれる人がいるのかしら、と思ったらちょっと寂しくなった。コロナ禍はどうなっているかわからないし、大勢が参列するような葬儀はもはや時代遅れになっているだろうから、こじんまりと家族葬をした後、もし言い出しっぺがいれば偲ぶ会があるかもしれない。
 けれど、再発後、とても気力・体力が続かないので様々な人付き合いをかなり整理してしまってきたので、やって頂いたところでどれだけの方が来てくださるかわからない。
 閑古鳥であまりに寂しいことになったらさすがに悲しいので、夫には家族葬だけでいいからね、と言ってある。

 というわけで私は夕飯の支度から解放され、大手を振って夜のヨガクラスに参加である。
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2021.10.20 “今ここ”が最善、これぞサントーシャ!

2021-10-20 21:28:12 | 日記

 読売新聞医療サイトyomiDr.で連載中の高野利実先生のコラム「Dr.高野の腫瘍内科医になんでも聞いてみよう」最新号に、これぞ真理なり!と膝を打った。
 以下、転載させて頂く。

※    ※   ※(転載開始)

2021年10月20日 医療・健康・介護のコラム
メディアで取り上げられた「画期的な新薬」を使いたい。いつまで待てばいいですか?

 医学は日々進歩し、新しい薬が次々と開発されていて、現在の患者さんは、その進歩のおかげで、10年前の患者さんからみたら奇跡的とも言える医療を受けています。実際にここ10年間で、進行がんの患者さんの命の長さは着実に伸びていると報告されています。
 でも、患者さんは、「素晴らしい医療を受けられて私は幸せだ」と実感できているでしょうか?

もっといい治療が受けられるはず…
 私の印象では、今の医療に満足している患者さんよりも、「医学が進歩すればもっといい治療が受けられるはずなのに、今はこの程度の治療しか受けられずに残念だ」と思っている患者さんの方が多いように感じます。医学が進歩する一方で、人々の期待は、その進歩よりもさらに先を行ってしまい、現状では満足できなくなっているのかもしれません。
 「これだけ科学が進歩しているのに、なぜがんを治せないのか」「最先端技術を使えば、自分の体にできたがんを消し去ることができるはずなのに、なぜ医師はそういう治療法を提示してくれないのか」……進行がんの患者さんの多くは、そのような不全感を抱きながら、病気と向き合い、治療を受けています。
 テレビ、新聞、雑誌などのメディアは、今受けられる標準的な治療よりも、今はまだ受けられない「夢の治療」を取り上げる傾向があります。その方が、視聴者や読者の関心も高く、視聴率や売り上げもよくなるようです。その結果、人々の期待はますます 煽あお られ、「もっといい医療があるはず」というイメージが根付いていきます。
 「標準治療」というのは、今ここで受けることのできる最先端で最高の治療なのですが、一般にはそのようには受け止められておらず、標準とは「並」であって、そんな不十分な治療よりも、「上」や「特上」の治療を受けたいと思ってしまう患者さんが多いようです。

未来への期待と「満たされない気持ち」
 未来に期待したい気持ちは自然なものですし、私たちも、よりよい未来の医療をつくるために、日々研究に取り組んでいるわけですから、その思いは一緒です。でも、来るかどうかもわからない未来を基準に考えることは、必ずしも得策ではありません。「もっといい医療があるはず」という思いを抱きながら病気と向き合い、最期を迎えた患者さんもたくさん診てきましたが、治療の恩恵を受けていたとしても、残るのは「満たされない気持ち」です。今できる最善の治療を受け、その恩恵を実感し、「やるべきことをやっている」と納得できれば、心の余裕も生まれ、あせることなく日々を送ることができると思うのですが、それを妨げてしまうくらい、「夢の治療」への期待が増幅しています。
 「未来を見るよりも現実を見るべき」というのは、夢も希望もない冷たいアドバイスに聞こえるかもしれませんが、私はそうは思っていません。むしろ、「今ここで受けられる医療」こそ素晴らしいものであって、それを最大限活用することに力を注ぐのが得策です。そして、それは誰もが普通に受けることができるものです。

(転載終了)※   ※   ※

 今私が受けている治療薬エンハーツは、10年前にはなかった薬である。昨年5月に承認されたばかりなのだから。もはや完治はしない、沢山の薬を使ってきた患者さんたちがその画期的な効果の恩恵を受けているという。その薬は、標準治療となって3割負担で誰でも受けることが出来る。私もその恩恵を享受している一人である。

 大分前のことだと記憶しているが、診察室で「こんなに医療が進歩してどんどん良い薬が出来て、(病気になるなら)なるべく後の方がいいですね。」と呟いたことがあった。その時、主治医は「でも、ハーセプチンもなかった時代があるんですよ。」と仰った。

 そうなのである。その当時に再発していたら、私はとっくにこの世に存在していなかっただろう。もっと、もっといい薬を、・・・と言い続けていたら、高野先生が書かれている通り、せっかく良い治療を受けていながら常に不全感で満たされ、決して幸せではいられない。
 完治はしなくとも、治療を続けながら14年近く病と共存出来ているということ、これを奇跡と言わずなんと言おう。

 今ここにあるものが最善最良の治療であることは間違いない。それに感謝せずになんとしよう。
 やってくるかどうかわからない未来を待ちながら、今受けさせて頂いている治療に感謝せずに、夢の治療を追いかけることは決して幸せではない。

 私たちは幸せになるために生まれてきた、というのがヨーガの教えである。そして先日ヨーガスートラ講座で学んだばかりのニヤマ(ヨーガの規範)では“サントーシャ”(知足)である。
 まさしく足るを知る、である。

 幸せを探すクセが日頃からあるかどうか、当たり前だと思っていることが実は当たり前ではないということに気づけるかどうか、そのことに幸せを感じられるかどうか。
 今ここにあることは奇跡が繋がった結果である。

 朝、アラームの音で目覚めてちょっぴり朝ヨガをすれば、お腹が空いて朝食が頂けること。お天気が良ければ洗濯物をベランダに干して、太陽の光を身体一杯に浴びられること。
身支度をして自分の足で歩いて仕事に向かえること。お昼になったらまたお腹が空いて、さて今日は何を頂こうかと思いながらランチが美味しく頂けること。仕事を終えて、ヨガスタジオに通えること。たっぷり汗をかいてシャワーでサッパリできること。夕食を頂いて食後の薬を飲んだら眠くなってソファでウトウトしてしまうこと。夫に起こされてお風呂に入ってベッドに行けばすんなり眠りにつけること。
・・・書き始めたらキリがない。

 そして、感じられる幸せには他の人と比べて、ということはない。あくまで幸せを感じるのは自分自身である。

 そんな沢山の幸せに囲まれて毎日を過ごせていることに改めて感謝しながら、これからの日々も笑顔で過ごしていきたいものである。
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