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ダン・ブラウン『インフェルノ』

2016-10-31 18:35:38 | 本・映画・音楽の感想

ちょうど今、映画公開中のラングドン・シリーズの第4作。
なんとかネタバレしないように、紹介してみる。

『天使と悪魔』『ダ・ヴィンチ・コード』に続いて『インフェルノ』を
読んでしまってから、実は第3作の『ロスト・シンボル』があると知った。
で、今、『ロスト・シンボル』を読み始めたところだけど、まあ、
映画化の順番も原作通りじゃないから、かまわないだろう。

『ダ・ヴィンチ・コード』より、わたしは『天使と悪魔』の方が好きだった。
『インフェルノ』はその中間あたりかな。ちょっと変わった始まり方で
最初は教授同様、読んでいるこっちも何が何だかわからずに引きずり回される。

下巻になって、だんだん全貌が見えてくるのだけど、
敵だと思っていたら味方だったり、味方だと思っていたら敵だったり、
拘束されていると思ったら勘違いだったり、途中で真逆に立ち位置を変える連中がいたり……
と、読者を混乱させる手練手管。そうしたミスリードへ持って行く伏線の張り方が巧みで、
下巻を読みながら、上巻を読み直したこともたびたびだった。

ラングドン・シリーズの楽しみ方のひとつに、〝観光案内〟として楽しむというのがある。
シリーズのどれもがそんな楽しみ方ができるが、本作はとりわけそっちに向いている。
舞台となるベニスとイスタンブールについて、グーグルマップで教授らの足取りを追い、
画像検索で建物外観や壁画、展示品を調べる。くわしく描写されているとはいえ、
文字から想像するものと実物はやはり違い、百聞は一見にしかず、だ。

前3作は歴史にまつわるミステリーを解く色合いが濃かったが、
(『ロスト・シンボル』はまだ読み終えていないから断言できないけど)
『インフェルノ』は、むしろ近未来SFじゃないだろうか。
そして、人口問題へのこの荒療治は、全地球的には悪くないように思えた。
日本のような高齢化社会では、もちろん困った側面もあるだろうが、
わたし的にはこの結末は気に入った。

ダン・ブラウンはまだこのシリーズを書き続けるようだが、
そうなると、今回の結果を受けて変容していく社会(この世界とは別の
パラレルワールド)についても考察しなければならないだろう。

最後にひとつ疑問。今回、世界を救うために走り回った教授は、
けっきょく何をしたの?
今もってわからないんだけど……



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