ミステリーツアー、次の立ち寄り先は補陀洛山寺だった。
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」のひとつ。
熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の3社は有名だが、
補陀洛山寺というのはまったく聞いたことがなかった。
最初、読み方もわからなかったほど。「ふだらくさんじ」と読む。
世界遺産の石碑が建っている。
ここは、建物自体は平成2年に建て替えられたもので、全然古くない。
それでも世界遺産となったのは、歴史ある本尊の千手観音
(通常は耐火金庫に収められていて、来観者があるときのみ開いて見せてもらえる)と
何よりも、補陀洛渡海の出発点だったためとのこと。
「補陀落」とはサンスクリット語の「ポタラカ」の音訳で、
南方の彼方にある観音菩薩の住まう浄土のこと。
渡海僧は、30日分の食料と灯火のための油を積み、小さな屋形船に乗りこむ。
復元された渡海船がこれ。
渡海僧がこの入り口から屋形に入ると、扉には外から釘が打ちつけられたそう。
渡海船は、伴船に引かれて沖の綱切島あたりまで行くと綱を切られ、
あとは波間を漂い、いずれ沈んでいったとのこと。
つまりは死を前提にした捨て身の行だったわけだ。
古くは9世紀から、18世紀まで二十数回行われたという。
本堂で説明をしてくれた住職はなかなか話のおもしろい方で、
「わたしなら、今、行けと言われても絶対行かない」と。
過去には、途中で命が惜しくなって屋形を破って船から逃げ出した僧侶もいたが、
怒った役人によって海に突き落とされて、けっきょく殺されたという。
このあとは、有名な橋杭岩で写真タイム。
橋杭岩は、地下から上昇したマグマが、泥岩層に入り込んで固まったあと、
軟らかい泥岩層が波に浸食され、マグマ由来の岩だけが残ったものだ。
紀伊大島まで一列に並んでいる。
近くで見ると、とても荒々しい。周囲に落ちている大岩は、橋杭岩が崩れたものだそう。
宿泊したホテルは橋杭岩から10分もかからないところ。
天気がいいし、ちょうどふたご座流星群の極大期でもあったので、
星の写真が撮れるかと期待したのだが、思ったより街の灯りが多くて
うちで見る星空と大差なかったのでやめた。
でも、日の出の写真を撮ろうと早起きして、部屋から外を見たら、
ちょうどひとつ流れ星が流れた。
橋杭岩が眺められる露天風呂は、入ったのが夜だったので、暗くて見えなかった。
残念!
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