散日拾遺

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3月13日 ハーシェル天王星を発見(1781) 

2024-03-13 03:11:17 | 日記
2024年3月13日(水)

> 1781年3月13日、ドイツ生まれのイギリスの天文学者、ウィリアム・ハーシェルは天王星を発見した。天王星はそれまで何度も観測されていたが、惑星とは認識されていなかったのだ。ハーシェル自身もはじめは彗星だと思っていたらしい。天王星が惑星であることが確認されたのは、発見の一年後、この星の軌道が詳しく研究された結果だった。
 ハーシェルは若い時は音楽家で、オーボエやオルガンの奏者であった。作曲作品も残っている。しかし30代半ばで反射望遠鏡の製作と天文学に取り組み、徐々にその分野での名声を得ていった。
 天王星の発見で有名なハーシェルだが、「天の川は銀河系を横から見た状態である」ことに気づいたのも彼である。自作の望遠鏡で毎夜全天の星を数え続け、独自の銀河系モデルを考案したのだった。
 彼の天文学の業績の基盤となったのは、忍耐強い観測と自分で製作した高倍率の反射望遠鏡である。天王星発見の業績が認められ、ハーシェルは宮廷天文官として英王室から年金をもらう身分となったが、同時に望遠鏡や光学機器の製作でも高い評価を受け、各国の王室や天文台が彼の作った望遠鏡を競って買い求めたという。
晴山陽一『365日物語』(創英社/三省堂書店)P.78


Sir Frederick William Herschel
1738年11月15日 - 1822年8月25日


 これはまた多面的な才能の人である。天王星、銀河系モデルに加え、赤外線放射まで発見した。太陽光をプリズムで分光してみたところ、赤色光の外側でも温度が上昇したことから「目に見えない光が存在する」と推論したもので、プロセスのシンプルで鮮やかなことに溜息が出る。
 もと、ハノーファーのフリードリヒ・ヴィルヘルム・ヘルシェル(Friedrich Wilhelm Herschel)。1753年、父イザークと長兄ヤーコプが勤めていたハノーファー近衛連隊の楽団にオーボエ奏者として入団。当時イギリスとハノーファー選帝侯国はジョージ2世の下で同君連合を組んでおり、1755年に楽団がイギリス赴任を命じられた。17歳のヘルシェルは短期間で英語を習得し、1757年にはイギリスに渡って名前をフレデリック・ウィリアム・ハーシェルと名乗った。ドイツ語と英語は似ているというものの、語学にも堪能だったわけである。
 ヘルシェルあらためハーシェルは音楽に携わるうちに数学に興味を抱くようになり、さらに天文学を学ぶようになった。1773年(35歳)頃から本格的に天文学に携わり、自ら望遠鏡を製作し始めた。月を観測して月面の山の高さを測定し、二重星のカタログの編纂など行ううちに、1781年の発見に至る。

 自ら望遠鏡を製作した天文学者は何人も思いあたる。
 まずガリレイ(1564−1642)、当時として飛躍的な性能の望遠鏡を自作し、1610年1月に木星の衛星を4つ見つけた。
 ついでニュートン(1642-1727)、1668年に一号鏡、1672年に二号鏡を製作し、後者が王立協会入会の推薦事由となった。反射望遠鏡の製作過程で水銀中毒に罹り、それで健康を害したという説を聞いたことがある。
 さらにトンボー(1906-97)、自作の望遠鏡で火星と木星を観察し、その記録が認められてローウェル天文台に雇われた。
 望遠鏡を製作するスキルと、望遠鏡で星を観測するそれとは、異質のものではないかと思われるが、ハーシェルを加えてこれら四人はいずれも双方を兼ね備えていたわけである。プロの音楽家でもあったハーシェルは、自ら楽器を製作しようと考えたことがあっただろうか。楽器製作者が同時に名演奏家であった例があるのかどうか。

 ハーシェルにはカロラインという妹があり、兄を慕ってかイギリスに来ていた。天王星発見後の1783年にハーシェルがプレゼントした望遠鏡がきっかけとなって、この妹も彗星の発見など天文学上の業績を成すに至る。兄の助手として働くことを楽しみ、1788年にハーシェルが結婚(晩婚!)してからは「離れに移った」とあるから、それまでは起居を共にしていたのだろう。
 この結婚から1792年に男児が与えらた。その子ジョン・ハーシェルも天文学者になり、写真の研究でも名を残したという。
 多才な一族、ここにもあり。

Ω

霧の朝

2024-03-13 00:06:06 | 日記
2024年3月12日(火)

 このあたりは雨が少ない。本当に少ない。それが珍しく夜半から雨になり、朝は雄甲・雌甲(おんご・めんご)に霧がかかった。

 折しも霧の彫刻家 Fujiko Nakaya に敬意を払ったところ

 偶然?
 偶然
 織り込まれた偶然


Ω