
今日も穏やかでいい一日で、
お客様みなさん心ゆくまで楽しんでいただけたようです。
よかった~。
この時期、毎日同じエリアを繰り返し漕ぐ事が多くなりますが、
来られるお客様は初めてて、しかも日によってコンディションも全然違うため、
何年やってても飽きる事がないですね。
特に栖原海岸からかるも島周辺コースはガイドとして10年間、
何千回と漕いでますが、実際それくらい漕ぎますと、
飽きるとか、飽きないとかとはまた別の次元に入ってきます。
お客様が、シーカヤックを通して、
これまで知らなかった海の本当の魅力を存分に楽しんでいただけるのが
何よりの喜びだというのももちろんですが、
長年繰り返してこそ分かる物事って、実際あるんですね。
その事に関して、この前、ジャズ・トランぺッターの
マイルスデイヴィスのインタビューをまとめた本を読んでいると、
ふとピンと来るくだりがありましたので下記に記しておきます。
何度も何度もいやになるほど同じ曲を繰り返し繰り返し
演奏するということについての話です。
「たとえばだ。5年の間、毎晩同じ曲を歌っていると、曲の意味が突然分かりだすということもあるんだぜ。おれは長い間、<マイ・ファニー・バレンタイン>を演奏した。で、うんざりしていたが、突然それが大きな意味を持つようになったんだ」
このフレーズの意味がぼくにはよくわかります。
うんざりを通りこすと、ほんとに飽きるとか飽きないとか、
そういう次元を越えてくるんですよ。
たとえばツアーでよく行く湯浅湾・かるも島には鎌倉時代の
高僧・明恵上人(みょうえしょうにん)の石像があるんですが、
ぼくは何千回したか分からないほどお客さんにこの明恵上人の話をしてきました。
で、ある日を境に、色々とピンと来るものを感じ、
ただの昔のえらい坊さんという存在を越えて、
すごく意味を持つようになったというのがあります。
その流れで、ある日ぼくは
スリランカという国に興味を持つようになりました。
明恵上人とは、仏教というより、
ブッダが生きていた時代の教えそのものを愛した人ですが、
その原始仏教が今でも生きているのがスリランカなんですね。
(現在の仏教とブッダの教えとは、実はかなり違っていたりする)
生命を尊ぶ自然観とか、
ヴィジョンを大事にしつつ今を充実して生きる哲学とか、
そんなののピュアなやつがスリランカには残っているのですが、
ぼくは何千回もかるも島に渡り、明恵上人のことを
お客さんに話し続けたことにより、
やがて明恵上人という存在を介して、
彼が愛したブッダの教えが今でも残る、
スリランカという存在がより大きな意味を持つようになったわけです。
まあそんな話はツアー中はしませんが、
いつかまた別の機会にまたそんな話をしたいと思います。
ちなみに来年冬、ぼくはスリランカシーカヤック一周旅を計画しています。
今、スリランカはすごく面白い国なんですよ。
さて、最近恒例の今晩聴いている曲は、
「バビロン」という昔のレゲエ映画のサントラに収録されていた
デニス・ボーヴェルの「Beefy's Tune 」というダブレゲエ。
この映画は見た事ないけどサントラはいい曲ばかりで何回も聴いているうちに、
この曲が気に入り、そしてデニス・ボーヴェルという人に
興味を持つようになったというのがあります。
この曲、1980年のやつですが、すっごくアヴァンギャルドで、
途中ドラムンベースみたいになるところとか、すごくスリリングです。
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YouTube: Dennis Bovell - Beefy's Tune - Babylon OST LP / Chrysalis