一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2220  搜索犬泥のままなる外寝かな   裕

2021年08月07日 | 

 熱海市伊豆山で土砂崩れがあってから一と月経った。現時点で死者は22名、私のテニス仲間も亡くなった。更に、行方不明者が5名いて、未だに捜索が続けられている。崩落の原因となった盛土は、我が家から二キロほどしか離れていない。この不法な盛土を行った業者と、それを見逃してきた市や県、国の行政責任は重い。明らかな人災と言われる所以である。

 捜索は、自衛隊、消防隊、警察など150人態勢で連日行われていた。そして、人間の入ることのできない危険な建物の中を探す、脚が埋まり泥まみれになったシェパードがTVに映っていた。人間と犬の深い信頼関係は、埋葬された骨が同じ場所から発見された縄文時代に遡るそうである。

 さて、夏の涼しさの中の「昼寝」は、心地よく健康的である。一方「外寝」は、どちらかというと夜、外で寝ることを指す。この句の捜索犬の眠る様子は、見るものを十分に感動させる。

キンシバイ(金糸梅)

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2219   第299回 岩戸句会 7月

2021年08月06日 | 

搜索犬泥のままなる外寝かな     裕

ドローンのゆっくり巡る処暑の山

 

山気満つ蜩繁き伊豆の森       豊春     

カナカナは過ぎし日手繰る糸車

    

砂日傘ひとつひとつの日影あり    歩智         

来年も生きてるつもり種を採る

 

人二画支え合いたし日々草      さくら

廃屋の庇傾き苔の花

 

蚊帳の中電気を消して歌合戦     パピ

あららまあポケットから扇風機 

 

朝蝉や音合わせ無くてんでんに    凛

現し世にいましばらくは端居して

 

お決まりの髭と帽子に白い靴     沙会

接種して病人擬や夏の暮

 

暑を避けて宵の散歩や百日紅     光子

用心の隙間の転倒夏の月

 

二波三波波乗りジョニー五波六波   鯨児

火取虫ワクチン打って五輪中

     

しかられし端居の寝顔そっとなぜ   イヨ

湯上りの端居な夕べ風渡る

 

日の本の名のむくげ活け凛として   鞠

夏盛りハマナスの赤海を見る

 

梅雨明けて自粛は明けず窓掃除    貴美

端居して信濃の風や旅の宿

 

端居かけ汽笛ききながら初島へ    黄玉

紫の七月場所に呂の着物

                   

砂日傘ひとつひとつの日影あり    歩智         

来年も生きてるつもり種を採る

 

山盛りのえさ日盛りの野良猫に    稱子

毎日が日曜の暮らし夕端居

 

白日傘ファッショナブルな黒日傘   炎火

木洩れ日と羽蟻のゆれる露天風呂 

 

庭垣根炎昼避けて剪定す       余白

痩せ胸にブラジャーまとう老女の夏

 

いびつなるぐい飲みが好き冷やっこ  洋子

百日紅天の明るさ奪いおり

 

晩夏光虔十林に誘われて       雲水

皺枯れのジョニーキャッシュと夕端居

オオバギボシ(大葉擬宝珠)

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2216  琺瑯質の卵を拾う青葉闇  薪

2021年07月06日 | 

 この句、作者に聞くと、拾った卵は青かったという。野鳥研究家によると「青い卵を産む鳥は、イソヒヨドリ、コルリ、アオサギ、ムクドリなどで、青い卵を産む鳥は、樹上に営巣する鳥が多く、空の色にカモフラージュしている。光が卵に反射して、青い空と同化して、見つけられ難くなっている」しかし、卵は大抵上から見えるのだから、青い空は下から見上げるのだから、辻褄が合わない。

 又「ほとんどの野鳥の卵は、ボルフィリンという物質が卵の表面に模様を形成している。どうして一部の鳥だけ青い卵を産むようになったのか、現段階では解明されていないのが現状だ」 ちなみに、卵の青はブルー、青葉闇の「青」は、グリーン、緑である。

オオバギボウシ(大葉擬宝珠)

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2215  弥次郎兵衛今日は梅雨入か真夏日か  歩智

2021年07月04日 | 

(やじろべえ きょうはついりか まなつびか)

「弥次郎兵衛」とは、振り分け荷物を棒の先に吊るして肩に担いで運ぶ、十返舎一九の東海道中膝栗毛の登場人物の弥次郎兵衛に由来する。最近はあまり見ないが、多くは人物を象っており、しばしばドングリと竹ヒゴを使って作られ、支点は足、左右のバランスをとる部分は腕である。ヤジロベエ全体の重心が、支点(中心)よりも下にあるため、ヤジロベエは安定的に立つことができる。

 さて作者は、今日は梅雨入りか、はた又真夏日か、と問うているが、梅雨入りなのか、真夏日なのか、それとも両方なのか、それとも両方そうでないのか、弥次郎兵衛の斡旋によって、作者が判断できない状況にあることを示している。結局、テレビや新聞の天気予報士に問うているのかもしれない。

ヤブカンゾウ(藪萱草)

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2214  滴りて摩崖仏顔黒くしぬ  鞠

2021年07月03日 | 

 北宋(960~1127)の画家郭熙の「山水訓」に、「春山淡冶にして笑ふがごとく、夏山は蒼翠にして滴るが如し。秋山は明浄にして粧ふが如く、冬山は惨淡として眠るが如し」というのがある。この故事から、俳句では、

春は「山笑う」夏は「山滴る」秋は「山装う」冬は「山眠る」という季語が生まれた。

 この句、箱根の摩崖仏と思いきや、作者によると大分県国東半島のそれだそうである。大分には、90か所に400体の摩崖仏があり、特に平安時代末期の作と言われている「大日如来(6.7m)」と「不動明王(8m)」が、国宝に指定されて、国内最古にして最大級の磨崖仏だそうである。

 さて、梅雨時の長雨で凝灰岩から掘り出した摩崖仏が、濡れたために黒く輝いている。摩崖仏を巡る旅に出れば誰でも、神道と仏教、最澄と空海など、様々な歴史や人間の生死に思いを馳せることだろう。私も五十年前に放浪の旅の途中に立ち寄った、摩崖仏の御姿がかすかな記憶として残っている。

ショウブ(菖蒲)

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2213  第298回  6月 岩戸句会

2021年07月01日 | 

滴りて摩崖仏顔黒くしぬ        鞠 

洛陽のやわらか色の夏椿       

 

弥次郎兵衛今日は入梅か真夏日か    歩智      

ジャズバンド梅雨前線押し返し   

    

夏の川草舟追いしはぐれ雲       鯨児

明早し星もバタバタ店じまい     

 

琺瑯質の卵を拾う青葉闇        薪 

苺ソフトクリーム斜塔のように捧げ来る

 

百年を生きてみようかカブト虫     凛

カタツムリ世界は日の出を待っている 

 

男には内緒の話しカンナ燃ゆ      洋子    

くちなしの闇をつらぬき匂いけり

 

カルピスや氷解けて仲直り       光子

製氷機カランカランと弾き出し    

 

スキップの少女の首輪うまごやし    稱子

コロナ禍や打つか打たぬか五月闇

 

クローバーロト6の抽選日       炎火

蕺(どく)草(だみ)やワクチンの跡疼きおり 

  

痩せたかと勘違わせる古水着      沙会

今日も又氷のれんの店の奥      

 

梅雨深む空黒ければ海黒し       パピ 

夏来る六十代は若手なり

      

接種済み出かけたくなる梅雨晴間    さくら

目つむれば在所の山河かき氷     〃

 

女子校の中庭埋める白詰草       豊春

梅雨の駅群に際立つノーマスク 

      

風により完熟梅が路地に落ち      余白

父の日を祝して鳴ける猫がいる

 

梅雨空の野鳥と共に南無唱え      黄玉

涼しげやスイカ金魚に氷水      

 

早苗田のさざなみ静か朝日揺る     イヨ

あじさいや色冴え渡り雨止まず    

 

手の平に青き光の恋蛍         雲水

大ミサ曲毛虫も垂れて聞いてをり

ジャーマンアイリス 

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2212  人はみな心にそっと勿忘草  鯨児

2021年06月14日 | 

(ひとはみな こころにそっと わすれなぐさ)

「勿忘草」の花言葉は、「私を忘れないで」と「真実の友情」だそうです。では、作者の言いたいことは何だろう。花言葉から想像してみよう。

➀人はみな心にそっと、「私のことを忘れないで欲しい」という願望を持っている。

➁人はみな心にそっと、「忘れられない記憶・思い出」を持っている

③人はみな心にそっと、「真実の友情」を求めている。

三つ全部と言いたいところですが、それでは欲が深すぎるので、一番はどれか選ぼうと思う。あなたなら、どれを選びますか?

アヤメ(菖蒲)

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2211  過ぎたるは・・・・・香水      炎火 

2021年06月12日 | 

(すぎたるは てんてんてんてん てんこうすい)

 

ふむふむ、「・・・・・」をどう読むか? つまり作者は、私達にどう読むか、を丸投げした。「さあ、考えてみよ」と言っているのだ。

当然、「過ぎたるは、猶及ばざるがごとし」の「猶及ばざるがごとし」が中七に収まらないので、作者は「・・・・・」に省略した訳だ。なかなかの工夫で脱帽である。しかし、句としては、ことわざを丸投げしただけで、良い句とは言えない。

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2210  のほほんとおいら自由とカタツムリ   凛

2021年06月06日 | 

 気象庁によると、本日6月6日時点で、東海地方以西は梅雨入りしたが、関東以北は梅雨入りしていない。私の俳句やテニスの仲間は、関東の湯河原と中部の熱海の住人がほぼ半々である。

 「あなたたち、まだ梅雨入りしていないの。遅いねえ」「君たちもう梅雨入りしたの。気が早いねえ」などが最近の挨拶である。

 ところで、2010年までの過去30年間の平均梅雨入りは、東海、関東甲信共に、6月8日。そして、暦上の梅雨入りは、6月11日。現在の「入梅」は、太陽の黄経が80度に達した日ですが、以前は立春から数えて135日目とされていて、さらに古い暦では、「二十四節気の1つである芒種(ぼうしゅ)の後、最初の壬(みずのえ)の日」が入梅とされていた。

 さて、カタツムリは、生物学的に分類すると、軟体動物門→腹足鋼→有肺目→陸生貝類の巻貝であり、その貝殻が退化したのがナメクジだそうです。尻尾が退化して猿から人間になったのだから、カタツムリよりもナメクジの方が進化しているのかもしれないですね。

 この句、作者は自由を謳歌するカタツムリになりきっていますね。ところで「おいら」と言わせていますが、カタツムリもナメクジも、雄や雌の性別がない雌雄同体です。6~8月の繁殖期には、個体同士でそれぞれの精子を交換し合い、受精、産卵するそうです。面白いですね。

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2209  第298回 岩戸句会 五月

2021年06月05日 | 

新緑や名も無き家事に暮れにけり   洋子       

サスペンス終わりひと息新茶くむ 

 

嫁ぐ朝ふと香水が他人めく      さくら

交番をそっと覗く子新入生       〃

 

のほほんとおいら自由とカタツムリ   凛

囀れる楠の大樹はご神木        〃

 

過ぎたるは・・・・・香水      炎火 

香水やB・G・ⅯにⅯ・J・Q

 

母の日や大きな荷物靴の音      イヨ

蕗刈らば香り解けて風渡る       〃

 

メンチカツからりと揚げて梅雨に入る  裕

立ち上がる湯気をつかみて菖蒲の香   〃

 

夏めく日海上走る風の色       沙会

香水と二人連れなる夜の街      〃

 

それぞれの勝気を秘めてアマリリス  薪 

ウクレレの音少し変梅雨月蝕     

 

ただよいし田舎の香水今どこに    鯨児

人はみな心にそっと勿忘草      〃

 

空が青一気に燃えてつつじかな    光子

畦切って一面眩し水眩し       〃

 

行く春やワクチン予約漸くに     パピ

長生きは「病院をはしご」風薫る

 

五月闇裂いて雲間の月明り      貴美

公園で梅雨の晴れ間に太極拳     〃

 

夏薊ニッチの小瓶へ納まりし     豊春

富士麓山荘覆う朴の花        〃

    

動くものみな緑なり箱根山      歩智

おさがりの法被をまといて踊りだす  〃

  

遠くから巣立ち見守る夏つばめ    鞠

亡き人のなつかしい香水       〃

 

脚長き宅配青年疾走す        稱子

母の日や何とか達者ありがとう    〃

  

重き本人間臨終図鑑梅雨       余白

八重に咲くドクダミ草のいじらしさ  〃

 

日の出海龍が薫風乗せ映す      黄玉

仲間達緑陰の中夢語り        〃

      

ああそうかあカラスの返事梅雨晴間  雲水

京粽君の代わりに食べに来たよ    〃

カサブランカ

 

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2208  新緑や名もなき家事に暮れにけり  洋子  

2021年06月03日 | 

 「名もなき仕事」「名もなき家事」という言葉がある。職場や家庭で誰かがやらなければならないけれども、つまらなくてくだらない、取るに足らない仕事のことである。

 昔読んだ、カミュの「シシフォスの神話」か「星のギリシャ神話」の中に、悪行を重ねた神様(それでもやっぱり神様、というのが面白い)がゼウスの勘気に触れ、罰を受ける話がある。

 悪たれの神シシフォス(シーシュポス)は、大きな石を高い山の頂上まで押し上げるが、上げ終えた途端に大石は麓まで転げ落ちる。そして、その大石を再び山頂に上げて・・・・を永遠に続ける罰なのだ。神様は死なないのだから、正に永遠にである。

 しかしよく考えてみると、この罰は神話の中だけの話ではなく、私達人間の活動とよく似ている。例えば、お母さんが夫や子供のために毎日食事を作るが、あっという間に器だけが残り、洗って片付けねばならない炊事。洗濯、掃除などその繰り返しである「名もなき家事」。お父さんが会社に行って働くのも、どんな職業でも生きている限り、同じことの繰り返しなのである「名もなき仕事」しかし、人間は、いつか死ぬのだから、いつか止める時が来るのが、救いだ。

ホタルブクロ(蛍袋)

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2207  嫁ぐ朝ふと香水が他人めく  さくら  

2021年06月02日 | 

 今月の兼題「香水」の俳句には、大きく分けて二つのタイプがあった。日本人は欧米人と比較して、体臭が強くなく、毎日風呂に浸かり、とても清潔好きであるから、体臭を打ち消す香水を余り必要としない。つまり、香水に対して否定的な句。例えば掲句以外にも

過ぎたるは異臭となれる香水かな 光子

すれ違ふかの香水にまわれ右   凛

香水はいらぬ自然な妻がいい   裕

 

一方、肯定的な句もある。

香水と二人連れなる夜の街    沙会

香水に力得て言ふI love you   沙会

亡き人のなつかしい香水     鞠

 

  さて掲句。香水をつけたのが自分なら、嫁ぐという特別な日に、特別な香水をつけて自分が自分でないように感じたのだ。勿論、身内の誰かのことかもしれない。

 

 又、そのどちらにも当てはまらない句もある。

舶来の香水瓶のレトロ感      さくら

毒という香水に酔いしあの時代   鯨児

香水や妻の遺せし十五年      雲水

 

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2174  労りの二人の暮らし鳳仙花  稱子

2020年12月07日 | 

(いたわりの ふたりのくらし ほうせんか)

例えば、「鳳仙花」というタイトルの歌は、加藤登紀子、さだまさし、島倉千代子、中島みゆきなどがそれぞれ違う作詞作曲で歌っている。又、小説では中上健次、漫画では大島由美子に同名のタイトルがあり、「鳳仙花」は、なかなかの人気者の花なのである。

   鳳仙花の花は、昔から女の子が爪を赤く染めるのに使ったため、ツマクレナイ、ツマベニ(爪紅)などとも呼ばれた。又、種は蒴果(さくか)」と呼ばれ、触れると弾けるので、「私に触れないで」という花言葉がある。

    従って私は、この句を読んで『「労りの二人の暮し」に何故「鳳仙花」を選んだのだろうか』という疑問が浮かんだのだ。鳳仙花の花期は夏であり、種が飛ぶのは秋だから、11月末の初冬の句会に出すには遅すぎる。

 私の結論。作者は、季語「鳳仙花」を下五に斡旋することによって、上五・中七と全く逆の意味を持ってきて、読者をからかっているのだ。

センリョウ(千両)

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2145  風死すやN字の打てぬ電子辞書   豊春

2020年08月08日 | 

 最近の電化製品は、色々問題がある。例えば「Sony time」とは、保証期間が過ぎると故障する、という意味だとか。又、「Made in japan」より「made in china」の方が優秀だ言う人さえいる。というのも日本の会社が、中国で生産しているからではないのか。

 生産でパソコンを追い抜いたスマホは、その普及率で、1位は、韓国サムスンのgalaxy、2位は中国のhuawei、3位はアメリカアップルのIPhone。

 残念ながら、日本メーカーのSONYやSHARPは、大きく水を空けられている。日本の工業力は今後、一体どうなってしまうか、と心配である。

 さて、N字の打てなくなった電子辞書は、ゴミ同然である。修理に出したら、法外な料金を取られるから、新しく買った方が良い、ということになる。いずれにしても電子辞書は、早晩スマホに駆逐される運命だ。

ムクゲ(木槿)

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2144  長梅雨やセミの抜け殻石の上  パピ

2020年08月05日 | 

 今年の7月は、30日雨が降ったそうである。晴天は、たった1日。過去に梅雨の明けなかった年は1回。八月になってからの梅雨明けは、わずか5回だそうである。というわけで、8月梅雨明けの仲間入りをしたのだ。

 さてこの句、何の蝉か分からないが、蝉の抜け殻が石の上にある、という。唯それだけのことである。だからどうなのかと言えば。蝉の脱皮は石の上ではまず行われないから、雨や風で運ばれたかもしれないし、誰か人間が置いたのかもしれない。石がどんな所にあったかも問題である。作者の庭か、公園か、旅先か・・・読者の想像は、果てしない。

 この句は、切れ字の「や」と二つの助詞の「の」以外は名詞である。又、蝉を「セミ」とカタカナにしたのも良かったと思う。

クチナシ(梔子)

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