一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

11   鍋で買う豆腐一丁鰯雲       稱子

2010年09月21日 | 

日本にスーパーマーケットが登場してから、どのくらい経っただろうか。ほとんどの食品がパック入りになった。清潔で便利にはなったが、ゴミの量産など改善すべき問題は多い。

 鍋で豆腐を買うなど夢物語になったようにも思えるが、直接豆腐屋へ買いに行けばいいし、ラッパを鳴らして売りに来る豆腐屋が今でもあるようだから、あながち旧時代のものとは言えない。

 いずれにしても、鍋で豆腐を買う作者の庶民的な住環境まで想像される。又、「鰯雲」の斡旋によって、作者の幸福感まで漂ってくるから不思議である。

 私の映像では、作者が豆腐を買っての帰り道、午後の商店街を歩き、下を向かず、澄み切った秋の空を見上げているからだ。夫のためか、我が子のためか、こういう平凡なことが、幸福と言えるのだと思う。

 九ちゃんの「上を向いてあるこう」は、「涙がこぼれないように」だから悲しくて、淋しくて、辛くて上を向くこともあるんだ。ねえ、永六輔さん。

コメント (1)
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