一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2196  退化せし尾を撫でている春嵐  雲水

2021年04月18日 | 投稿

 人にはいろいろな習性があります。そして句会での選句において、習性の影響は大きいと思います。たとえば「迷いなく花蹴散らして犬走る 洋子」という句を選んだ理由として、「俳句に犬が出てくると間違いなく選んでしまう」という発言が今回の句会でもありました。私の場合も同じで、イミフ(意味不明)な句があると、わからないままついつい選んでしまう習性があります。今回のイミフは、この「退化せし…」でした。

 自然現象に、人はいろいろな想像上の物をつくってきました。たとえば雷には、雷神。風には風神。地震には巨大ナマズです。この句の「春嵐」について、作者は、何やらかつて尾をもっていたゴジラのような怪物を考えたのだと思います。たしかに南の海から忽然とあらわれ、上陸し多くの被害をもたらす春嵐、まさに怪獣ゴジラかもしれません。

 今南の海から来襲するゴジラといいましたが、最近のゴジラは南の海から来ることが少なくなってきました。つまりハリウッドのリメイク版のゴジラが撮られるようになると、理由はわかりませんが前のようにゴジラは海を渡ってくるということが少なくなります。そのことにより当然のことながら尾は退化し、細く短くなってきています。逆に日本版のゴジラは、尾を揺らし海を泳ぎ渡る必要があるため、退化することはなく、太く長いまま尾は残ることになります。そして日本のゴジラは、陸上ではその尾が邪魔になって、時速18キロしか出ません。それに対して最近のハリウッド版のゴジラは、なんと時速480キロ!です。そして海でのエネルギーの消費が少なく、速度も相まって広範囲にわたる破壊行為が可能となります。

 こうしたスピードアップ&省エネは、春嵐についてもいえることです。地球温暖化の影響で、日本近海の海水の温度が高くなり、以前に比べて近場で発生し、短期間で急速に成長し、ゴジラと同様にエネルギーを温存したまま上陸し多大な被害をもたらすことなります。(鯨児)

オオアラセイトウ(大紫羅欄花)別名 諸葛菜、紫花菜、花大根 

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