黄金色の稲穂が刈り取られると、田の様相は一変する。刈られた稲は、孟宗竹で作られた稲架(はざ)に掛け、天日干し乾燥させる。この句の案山子(かかし)は、スズメやカラス対策として最後のご奉公で立てられているので、稲扱き(いねこき)が終わると処分される運命である。
私の知っている案山子は、捨てても良いような安直な材料で作られ、へのへのもへじの様な不細工な手描きの顔が多かった。従って、くしゃみしているような案山子もある。
本来、刈田を煙が這うのは、籾すりの終わった時に出るもみ殻を燃やす煙なのだが、時期がずれているから、稲藁など何か別のものを燃やしているのかもしれない。
ところが、最近の稲刈りは、コンバインで刈り取り、脱穀、藁の裁断までやってしまうので、便利にはなったが田園風景から案山子や稲架、もみ殻焼の煙も消えてしまった。
ブロッコリー