一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2242  石蕗の花戻らぬ人を見送りて   洋子

2021年11月21日 | 

 掲句は亡くなった人を見送った悲しみの句であろうか。石蕗の花は、寒くなってゆく初冬に咲くゆえに、なんとなく淋しさや悲しさのイメージとつながっているようである。例えば 

 さびしさの眼の行く方や石蕗の花  蓼太

 つはぶきはだんまりの花嫌ひな花  鷹女

 病まぬ生より病める生長し石蕗の花 波郷

逆に石蕗の花の黄を明るさと見立てた句もある。例えば

 母我をわれ子を思ふ石蕗の花    汀女

 賛歌や地に沈金の石蕗の花     夫佐恵

 どこへでも行ける明るさ石蕗の花  佐弓

いずれにしても石蕗の花は、キク科の常緑多年草で、関東以南のどこにでもあり、丈夫で庭園にもよく植えられ、格好の俳句の材料である。

鰯雲

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