採り立ての茄子は、そのままで深紫の艶がある。漬物にした時、そのままの色と艶を維持するためには、塩やミョウバンをよくすり込み、釘や鉄卵を入れると、酸化を防止してくれる、という。
さてこの句、うまく漬かった茄子の「艶」を見て、作者は自分には「艶」がないという。そこで気になったのが、昔から日本人は「艶(つや、えん)」という言葉をどのように解釈し扱ってきたのだろうか。次の五解説から、我々読者は、どんな「艶」を選択すべきだろうか。単なる表面的なツヤではないとすれば、そこには作者の謙遜や自虐、コンプレックス、トラウマなど深層心理から出てきた可能性がある、と思うのは考え過ぎだろうか。
1 あでやかで美しいこと。なまめかしいこと。
2 情趣に富むさま。美しく風情のあるさま。
3 しゃれているさま。粋(いき)なさま。
4 思わせぶりなさま。
5 中世の歌学や能楽における美的理念の一。感覚的な優美さ。優艶美。妖艶美。
カワラナデシコ(河原撫子)