社会を見て、聞いて、感じる。

人生そのものがフィールドワーク。

9月8日(日)

2013年09月11日 23時31分27秒 | 2013年

  6時起床。温泉で汗を流し、身支度を整えて7時前に宿をチェックアウト。車に乗ろうと思ったところで、目の前の森に鹿がいることに気付く。鹿も、こっちを向いている。完全に目が合っている。何か言いたいことがあったのだろうか。

  車に乗り、摩周湖を目指す。距離にすると約110キロ。所要時間は約2時間。あいにくの天気で遠くの景色はあまりよく見えなかったが、それでも北海道の道をドライブするのは気持ちの良いものである。

  摩周湖の第一展望台に到着したはいいものの、辺りは完全に霧で覆われていて、何も見えない。さすがは、「霧の摩周湖」。でも、ここまでじゃなくてもいいのに。仕方がないので売店コーナーに入り、少し休憩。夕張メロンの切り売りを食べてみたら、めちゃくちゃ甘くて美味しかった。こんなに甘いメロンには、なかなかありつけない。また、摩周湖ソフトという綺麗な青色のソフトクリームも食べてみた。味は普通の(しかし濃厚な)バニラソフトで、これもまた美味しかった。


第一展望台からの眺め。本来であれば、ここに湖が見えるはず…。

  摩周湖の第三展望台にも立ち寄ってみたものの相変わらずの霧で何も見えなかったため、反対側にある裏摩周展望台へ回ってみることにする。とは言っても、摩周湖そのものの大きさもかなりあるし、道も湖に沿ってあるわけではないので、何だかんだで1時間弱の時間が掛かった。ただ、やはり霧を抜けると辺り一面に雄大な景色が広がっていて、気持ち良かった。

  裏摩周展望台の少し手前にある、神の子池に立ち寄る。一部がコバルト色をした不思議な湖で、何とも神秘的な雰囲気に包まれている。池に沈んでいる倒木が腐らずそのままなのも、何かしらの力なのだろうか。また、池そのものには流れもなく静寂に包まれているのに、なぜか池から流れ出る水の量は多く、その光景にも何ともいえない神々しさを感じる。当初は訪問を予定しておらず、霧のおかげで訪れることが出来た場所なのだが、ここに来れたのは本当に良かったと思う。

  裏摩周展望台からも、やはり摩周湖は見られなかった。霧の力、恐るべし。しかしまあ、こればかりは仕方ない。

  続いては、「地平線を見渡すことができる」と言われている日本を代表する大牧場、多和平へ。周囲を見学する前に、隣接しているレストラン「グリーンヒル多和」で昼食。摩周湖の伏流水で育ったという地元・標茶牛のハンバーグセットを食べる。ハンバーグそのものも肉感が強くて美味しかったのだが、それ以上に自家製のパンの美味しさに驚かされた。信じられないくらい柔らかくて、ふわふわしているのだ。香りも良く、味そのものもほのかな甘みがある。店員さんによると、水ではなく牛乳を使って生地をこねているらしい。さすがは北海道である。


スープは、ジャガイモの冷製スープ。


ハンバーグはもちろん、付け合わせのジャガイモと人参も味が濃くて美味しい。


しかし、主役はこのパン。美味し過ぎる。


食後のデザートとコーヒー。これは普通の味。

  多和平は思っていた以上に広く、というか、正直なところ広すぎてどこまでが牧場なのかわからなかった。360度どこでも地平線が見渡せるというのがひとつの売りらしいが、確かにこんな景色はこれまでに見たことがない。こんな場所で育てられれば、そりゃあ牛も馬も羊もヤギも、ストレスなく美味しいミルクを出すだろうし、美味しいお肉になるだろう。


柵に近付くと、みんなこっちに寄ってくる。警戒されてる?

  続いては、屈斜路湖を目指す。まずは、湖そのものではなく、湖がよく見えるという美幌峠へ。その途中で、JA摩周湖青年部のユーモア溢れる看板に出会った。面白いし、何となく艶やかな感じもするし、何より温かい気持ちになる。


「ミルクあふれちゃう 乳牛だもの」

  美幌峠も例に漏れず霧に覆われており、結局何も見えなかった。仕方がないので、売店で美幌名物だという笹熊ソフトクリームを購入。笹の香りのするソフトクリームで、感覚的には抹茶ソフトに近いのだろうか。

  気を取り直して、屈斜路湖がよく見えるというもうひとつの展望施設だという津別峠展望施設へ。施設に着く手前1キロほどのところまで霧が一切なく、ここはいけるのではないかと期待が膨らんだのだが、結局はこれまでと同じ結果になってしまった。しかも、ここは私以外の来訪者がおらず、霧に覆われた展望台にたった1人でいるというのが、とにかく怖かった。なぜか、子どもの頃に見知らぬデパートで迷子になった時のことを思い出した。


こんなところに1人って、結構怖いもんです。

  展望施設から屈斜路湖に向かって下る途中のポイントから、少しだけ屈斜路湖の様子が見えた。そうそう、こういう景色を見たくて今日は走り回っていたのだ。やっと、それらしい景色に出会うことが出来た。

  屈斜路湖の湖畔へ移動し、砂湯と呼ばれる一帯へ。この一帯では、湖畔の砂浜を掘ると温泉が湧き出てくる。私は掘るのが面倒だったので、既に掘ってある穴に足を入れてみた。これがなかなかちょうど良い温度で、気持ち良い。かれこれ10分ほど浸かっていたら、一気に足が軽くなった。ただ、数か所の穴を歩いてみてわかったのだが、場所によってはかなり熱いお湯が出ている場所もあるので、気を付けなければならない。

  今日の最終目的地、阿寒湖へ。まずは、今日の宿「鶴雅ウィングス」にチェックイン。部屋を大幅にランクアップしてくださり、かなり広い和洋室へ案内された。広すぎて、逆に落ち着かないくらいだ。

  さっそく、阿寒湖畔の散策へ出掛ける。広くて落ち着きのある湖で、湖畔を歩いていると吹いてくる冷たい風が心地よい。

  宿へ戻り、お風呂に入る。屋上の露天風呂からは、阿寒湖が一望できる。その景色は本当に素晴らしいし、温かい温泉に入りながら冷たい湖からの風を浴びるのが何とも気持ち良い。

  部屋で少し休憩してから、夕食をとりに出掛ける。せっかくだから名物のヒメマスを食べようと、寿司屋「寿し忠」に入る。大将に希望を伝えると、ヒメマスといくらの二色丼をおすすめしてくださったので、それを頂く。この時期、ヒメマスは「ルイベ」という少し凍らせた状態で食べる食べ方をするのだが、その食感がなかなか新鮮だった。ヒメマスの味自体も、思った以上に脂がのっていて、臭みもなく、とても淡水魚とは思えなかった。いくらも濃厚で美味しく、このメニューの選択は大正解だった。また、大将がサービスで生のすじこを食べさせてくれた。生ではこの時期にしか食べられず、今が一番美味しい時期だということだったが、本当に絶品だった。これがあれば、ご飯何杯でもいける。

  お客さんが私しかいなかったので、ゆっくりと大将とおしゃべり。この地域も例に漏れず観光客の減少に悩まされており、海外(特にアジア圏)からの旅行客受け入れで何とか一定の数を保っているものの、やはり厳しい状況に置かれているらしい。また、規制緩和の影響により、宿泊施設においても正社員が減って使い捨てのパートや派遣が増え、従業員が近隣の飲食店などを利用する割合も大きく減ったそうだ。更に、かつては宿泊施設は宿泊以外の分野(食事やお土産販売など)には手を出さないという不文律があったそうだが、今ではそれが崩壊し、周辺の飲食店やお土産屋は随分と減ってしまったらしい。他にも、ここでは書けないようなどぎつい話をたくさん聞いた。自分だけ良ければいいという発想の企業や人間が利権を握ると、地域なんて簡単に死んでしまうのかもしれない。そして、それを再復活させるには、尋常じゃない努力が必要になるのかもしれない。

  せっかくなので、周辺の街を歩いてみることにする。確かに、廃墟と化した建物が多い。しかも、街の中心地にもそんな寂しい建物が数多く存在する。むしろ、全体を見渡してみると、生き残っているお店のほうが少ないのかもしれない。こういう光景は、決して阿寒湖だけで見られるものではないのだろう。支援機関の人間としては、こういう問題について真剣に考えなければならないと、切実に感じる。


野良犬…と思いきや、こんなところにキツネが。


座っている姿が何ともかわいい。でも、道路の真ん中は危ないよ。


まだ頑張っている飲食店もたくさんある。


この中華屋さんも頑張っている。


お土産屋さんも、頑張っている。

  商店で北海道っぽいものを購入し、ホテルに戻る。「レモンカツゲン」という、いわゆるレモン牛乳的な飲み物が美味しかった。

  23時前に就寝。明日には帰ると思うと、既に少し寂しさを感じ始めている。


9月7日(土)

2013年09月11日 21時27分44秒 | 2013年

  7時起床。温泉で汗を流してから、朝食。秋刀魚の塩焼きが美味しくて、朝から幸せな気持ちになった。朝に焼き魚を食べられるって、こんなにありがたく感じるものだったのか。

  身支度を整えて、宿をチェックアウト。全体的に古いけど、料理は最高だったし、味のある宿でした。


お世話になりました。

  午前中は、知床半島を横断する知床横断道路をドライブ。プユニ岬からウトロ市街を一望したり、羅臼岳を見たり、ワインディングロードを疾走したり、知床峠から国後島を眺めたりした。この道はとにかく全ての区間が素晴らしい景色に覆われているので、運転していても全く飽きない。最高のドライブコースである。


プユニ岬からウトロ市街を望む。


羅臼岳の存在感がすごい。


こんな感じの道が延々続いている。


知床峠から、遠くに国後島を見る。


あんな目の前にある島がロシアのものなんて、やっぱりありえないでしょ。


知床峠を超えても、羅臼岳の存在感は色褪せない。


こうやって見ると、国後島は本当に目と鼻の先にある。


せっかくなので、今回の相棒も一緒に。
この「ベルタ」という車、馬力もあるし非常に乗り心地が良かった。

  知床峠から羅臼側方面へ走り、見返り峠を越えて少し行ったところに「熊越の滝」という看板があったので、車を止めて森に入ってみる。しかし、入ってすぐに、何やら動物のものらしき足跡を見つける。しかも、私の手のひらより大きい。見つけた瞬間は、さすがに背筋が凍った。そういえば、滝の名前も「熊越の滝」だった。「熊への恐怖を乗り越えないと見られない滝」という意味なのだろうか(もちろん違う)。そうなると、どうしても滝を見てみたいという想いに駆られ、手を叩いたり声を出したりして熊が近づいて来ないよう気を付けつつ道を進んだ。結果、熊と遭遇することはなかったが、途中で道が崩れているとかで、結局滝までたどり着くことは出来なかった。しかも、後から考えてみたら、確か熊は5本指だった気がする。じゃあ、あの足跡は一体何者だったのだろうか。


見返り峠からの景色。


この足跡を見た瞬間、背筋が凍りました。


でも、水辺の清涼感は素晴らしい。


結局遠くからしか見ることが出来なかった熊越の滝。

  ウトロへ戻り、カフェ&バー「GVO」で昼食。お洒落な店内と、窓からの景色が印象に残るお店である。注文は、塩漬けにしたウニがメインの「甘塩ウニ御膳」。イメージとしては、ウニの塩辛といった感じだろうか。甘さと塩気のバランスが面白く、とにかくご飯が進んだ。また、デザートには北見の「ティンカーベル」のチーズケーキと、網走の「はぜや珈琲」のカフェラテを頂いた。表面だけを焼いてあるベイクドチーズケーキはとてもクリーミーかつまろやかな甘さで美味しかったし、珈琲の香りも非常に良かった。


絶品、ウニの塩辛(?)


ウニスープも、ウニの香りが濃厚で美味しかった。


お皿もかわいい。

  午後からは、私が最も楽しみにしていた知床半島クルーズ。今日は、何とか高波による欠航を免れた。今回選んだのは「ゴジラ岩観光」という会社の小型船クルーズで、半島の先端にある知床岬まで行く最も長いコース。3時間という長丁場で船酔いも懸念されたが、事前に酔い止めを飲んだこともあって、全く問題はなかった。それどころか、景色は絶景の連続だし、ヒグマの親子も見られたし、船長さんの解説も面白く、時間の流れが本当に早く感じられた。そのため、結局当初の座席には全く座らず、船の先端近くのデッキ部分に立って、延々と景色を眺めていた。それぐらい、このクルーズはワクワクの連続で、最高の思い出になった。楽しく興味深い解説をし、熊を見つけた時にはわざわざその場所まで引き返して見せてくれた船長さんに感謝である。


ヒグマの親子を発見。これは本当に感動した。


昨日行ったカムイワッカ湯の滝の温泉も、最後は海に流れ込んでいる。


ワイングラスから水が滴り落ちているようにも見える。


ムシャ湾で、再度ヒグマの親子を発見。


定置網漁の漁師さんたちが寝泊りする「番屋」


知床で唯一海に直接流れ落ちているというカシュニの滝。


来た道を振り返ってみる。


ついに、知床半島の先端、知床岬に到着。


遠くに国後島が見える。


復路は、少し離れた場所から知床半島を見る。


これはこれで、迫力のある景色だ。


お世話になりました。


港のすぐ近くにあり、会社名の由来にもなっている「ゴジラ岩」

  ウトロに滞在するのは最後なので、「道の駅うとろ・シリエトク」でお土産を購入し、昨日と同じ2色ソフトクリームを食べる。これが本郷台で売っていたら、間違いなく毎日買ってしまうだろう。

  午前中にドライブをした知床横断道路を通り、知床半島の反対側の町、羅臼へ。午前中とは打って変わって道路が霧に覆われており、運転にはだいぶ気を遣った。やはり、午前中に一度景色を見に来ておいて良かった。

  羅臼に到着し、「道の駅知床・らうす」に入っている「知床食堂」で夕食。注文は、羅臼名産の高級魚であるキンキの焼き物定食。何と、これが時価で3,300円もした。魚の干物定食でこの値段とは、さすがはキンキである。また、これまた羅臼の名産で、いつ禁漁になってもおかしくはない”幻の海老”と言われている「ぶどうえび」も注文。こっちは、1尾で1,200円。これまた恐ろしい値段である。しかし、結論から言えば、どちらもそれだけの値段を払う価値のある味だった。キンキはびっくりするほど脂がのっていて美味しいし、ぶどうえびは甘さが半端ない。間違いなく、これまで食べた干物の中で一番の味だし、これまで食べた海老の中で一番の味である。しかも、余談ではあるが、翌日訪れることになる阿寒湖のお寿司屋さんの大将曰く、この値段設定はかなり安いほうだということだった。


幻の海老ともいわれる「ぶどうえび」


甘エビが更に甘さと濃厚さを増した感じの味。


キンキの美味しさは、もはや言葉では言い表せない。脂のりまくり。

  地元の商店で買い物をして、今日の宿「陶灯りの宿らうす第一ホテル」にチェックイン。フクロウの陶器がお出迎えをしてくれて、その可愛さについ笑顔になってしまう。部屋も非常に綺麗だし、温泉も良質で気持ち良く、1日の疲れを思い切り放出したような気分になった。特に、露天風呂の雰囲気が最高だった。


フロントでは、フクロウが揃ってお出迎え。


部屋でもフクロウがお出迎えしてくれる。


ジュースも、どうせなら北海道らしいものを飲まないと。

  ダラダラとテレビを見てから、22時過ぎには就寝。昨日もそうだったが、早い時間に寝られることの幸福感を感じながら目を閉じる。