社会を見て、聞いて、感じる。

人生そのものがフィールドワーク。

2月6日(月)

2017年02月07日 08時00分45秒 | 2017年

  昨晩から、東京都東大和市にある中小企業大学校(東京校)へやってきた。毎年恒例の1週間泊まり込み研修である。寮での暮らしも慣れたもので、もはやそれほど新鮮味もない。ただ以前と違うのは、日頃は妻と一緒に生活しているので、1人の時間が格段に増えるという点である。妻は(少なくとも表面上は)寂しがっていたが、私はアフター5をゆっくり過ごせることに若干の喜びを禁じ得ない。

寮の部屋からの景色。

  今回のテーマは、「事業承継」。正直なところ、それほど興味のあるテーマではない。というのも、ここ数年この手の研修が続いており、もう興味のあるテーマは受講済みなのだ。だから、今年も「希望する研修を書いて提出するように」と上から指示された際には、半ば消去法的にまだ受講していないテーマを選ばざるを得なかった。

  ところが、である。初日の講義を聴いて、これは案外面白いぞと思った。これまで一般的に考えられてきた事業承継支援の考え方とは、かなり異なる内容なのだ。先生曰く、事業承継はそれをテーマとした特別な支援手法があるわけではなく、日頃行っている通常のお客さんとの対話や支援の中から応用できるものなのだそうだ。新事業開発などの経営革新や販路開拓、業務の効率化(生産性向上)や事業再生といった、よくある支援と同じフィールドで行うことができる、いやむしろ、同じフィールドで行わなければいけない、というのである。法律関係や相続税、株式の移転といった「事業承継といえばこれ」といったテーマはもちろん重要であるが、それは専門家に任せればいい話で、その前提やそれ以外の部分の支援が重要なのであり、そのような部分の支援には、日頃のやりとりの中から得られる情報が重要となってくる。実際、必要となる情報やその整理の仕方を見てみると、なるほど確かに、普段から聞いたりまとめたりしている内容が多い。事業承継という特殊なテーマだからといって、何か特殊な材料が必要なわけではない。材料の取り扱い方を少し変えるだけなのだ。そしてすなわち、この取り扱い方を幅広く学ぶことで、事業承継に限らず、様々なテーマの支援に活かすことが出来るようになる。

  昼食は、東大和駅の近くにあるタイ料理屋「カオチャイ」で、日替わりの「ラープ・ムー」(豚挽肉のスパイシーハーブ和え)を頂く。大学校研修に来たら、必ず1度は来るお店だ。理由は簡単、何を食べても美味しいからである。今回も、期待通り幸せなランチタイムを過ごさせて頂いた。

ミニ生春巻き。スパイシーなソースとの相性が抜群。

メインは、安定感のある美味しさ。私が一番好きなガパオに近い味だ。

デザートのココナッツアイス。毎回食べている。冬でも、これは食べずにいられない。

  事業承継支援の最大の特徴は、ニーズがないこと。正確に言えば、ニーズが顕在化していないことである。事業承継は長く続く企業にとっては避けて通ることが出来ない取り組みであるが、その難しさや問題点を認識している経営者は少なく、セミナーをやっても人は集まらないし、相談窓口を設けて待っていても相談などほとんど来ない。むしろ、セミナーに参加したり、相談窓口へ相談に来る企業はもはや私たちの支援を必要としておらず、会計や法律に関する専門家へ取り次ぐだけで済む場合が多い。私たちの支援を本当に必要としているのは、セミナーにも興味がなく、相談に行くことなんかこれっぽっちも考えたことのない大多数の企業のほうなのである。そういった企業へアプローチし、必要な情報を聞き出し、課題を認識してもらうことが、私たちの役割なのだ。しかし、そのような企業に対しては、最初から「事業承継」をテーマにアプローチしていっても、真剣に話を聞いてもらうことは難しい。そこを何とかするためにどうするか、というのが今回の研修の大きなテーマのひとつになるだろう。

  夕食は、東大和市駅前を通り過ぎてしばらく歩いたところにある(寮からだと片道徒歩15分といったところだろうか)中華料理屋「ひさご」で、半ラーメンチャーハンを食べる。昔ながらの中華料理屋さんで、ちゃきちゃきとした明るさとのほほんとした優しさのおばちゃんがいる。ラーメンは、昔ながらの醤油ベース。懐かしい味である。チャーハンはこれぞ究極の定番といった感じで、味付けは薄め。しかし、刻んだチャーシューがたくさん入っているので、その塩味が効いてちょうどいい塩梅になっている。これは、プロのなせる業だ。久しぶりに心底美味しいと思えるチャーハンを食べたように思う。また、おばちゃんが本当に温かい方で、少しお話しただけですっかりファンになってしまった。これは、今週中にもう1回は行かないと。

  今度は寮を通り越して反対側へ行ったところにあるヤオコーのショッピングモールへ行き、その一角にあるケーキ屋「モン・プレジール」に寄って食後のデザートを買ってから帰る。

  寮へ戻って夕食を済ませてから、デザート。買ったのは、カシスとマロンのケーキ、甘平タルトの2種類。前者はカシスの甘酸っぱさ満載のクリームと、中に栗が入っている面白い組み合わせのケーキで、それが意外にもよく合う。後者は糖度の高い甘平を使っているためか、柑橘系のタルトの中では甘さが強く、されどさっぱりしているので美味しい。また、良いケーキ屋さんを見つけてしまった。

  夜、寮の施設で洗濯をしたのだが、4台中2台の乾燥機が壊れていた。動かすと、すぐに途中で扉が開いてしまい、エラーになってしまうのだ。おかげで、乾燥だけで3時間近くの時間を費やしてしまった。まあ、それでも十分に時間はあるから良いのだが。