Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

うの華3 178

2021-06-24 09:21:06 | 日記
 そんな元気を失くした嫁に舅は微笑んだ。彼もまた、この長男の嫁が心根の優しい女性である事をよく理解していた。彼女は家族思いであり気丈夫な良い嫁だ。彼女の気持ちを通してやりたいとも思う彼だった。

「追々、」

彼は言った。「追々という事でいいじゃないか。」「今すぐという物でも無いだろう。」。そう言うと、彼は嫁の機嫌を取る様に優しい目をして微笑んだ。

 彼女は、何時もの彼女なら、ここで舅の立場や気持ちを考えて頷き、自分の感情を抑えるとしおらしく引き下がる所だった。が、今日の彼女には色々と有り過ぎた様だ。気持ちが昂っていたのだろう、彼女は胸に湧き上がる反骨精神その儘に、頑なな思いに支配されるとグッと目を閉じて首を横に振った。

「いいえ、今日中に決着をつけます。」

今日引導を渡してやります。お義父さんは出来ないでしょうから、私が代わって致します。きっぱりとした口調で彼女は目の前の舅に言い放った。舅は意外そうだった。が、そう驚いた様子では無かった。

 「驚いたね。」

口ではそう言っておいて、彼は嫁に不承不承の笑顔を見せると言った。

「今日かい?、如何かなぁ。」

あれに今日決着がつくかしら。私でも、私から言っても…。ここで彼は考え込んで口を閉じた。

「多分無理だろう。」

つかないよ。決着はねと、彼は顔を曇らせた。永久にね。そう彼は小さく口にすると更に顔を曇らせた。

 嫁の方は、舅の言う意味がよく分からなかった。口でこうと言うものを、如何して向こうが理解出来無い訳があるだろう。そう思うと舅の言いたい事が全く理解出来無いのだ。『向こうが幼いからか!。』、ハッと彼女は思い付いた。

「未だ理解するには小さいお子さんなんでしょうか?。」

そうなら話は後日にしましょう。もう少しあの子が大きくなってから…。言いかけた彼女の言葉を遮って、舅は言った。

「違うよ、もう理解出来る歳だし、この話を理解出来る子の筈だ。」

実際、ああやって家にいるんだからね。居座っているんだよ。問題は違う所に有る。根が深いんだよ。舅は暗い顔をして彼の目を伏せた。

「子供の話はあれも知ら無いだろう。多分ね。確かだ。だが、もう一方の話は知っているだろう。暗黙の了解が向こうにもあるんだよ。」

「お前さん、姉さん、もう一つの話も今日する気だったんじゃないよね?。」

舅は嫁の心中を探る様に彼女の目を見詰めた。そうして彼はその奥の奥をジーッと覗き込んで来る気配だ。

今日の思い出を振り返ってみる

2021-06-24 09:09:14 | 日記

マルのじれんま 52
 ドクター・マルは1人自室で休みながら、紫苑さんの言葉や自身の結婚生活、過去の故郷での出来事等について考えていました。するとスーやウーの顔が浮かんできます。 『スーもそうだが、結果......

    今朝は曇り空です。過ごしやすい気候です。庭の百合が、今年は生育がよい様子です。昨年背の高かった紅葉を刈り込んでいただいたので、日当たりが良くなったためでしょう。オレンジの百合も良く咲いていました。