ははぁん、と、ここで蛍さんは分かったと思いました。
お祖父ちゃんは私を揶揄っているんだ。だってお父さんが私を揶揄う時の目と同じ目をしているんだもの。なぁんだ、やっぱり私の思っていた通り、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんは仲がいいんだ。と、ここで祖父に揶揄われているのだと思った彼女は、
「お祖父ちゃん、私の事からかっているでしょう。」
と、本当は仲が良いのにそうじゃないと見せかけて、私が心配するのを面白がっているんでしょうと、彼女は祖父の思惑の図星を突いたと言わんばかりに言ってのけると、私にはよく分かるのよ、だって今のお祖父ちゃんの目が、お父さんが私を構う時の目とそっくりそのままで同じだもの、悪戯する時の子供みたいな目をしてるから。
「大人の男の人って、何時までたっても子供と同じなんだから。」
と、これは蛍さんの母が言ったのか、家内が言ったのか、誰が言ったのだろうかと、祖父はこの孫の最後の言葉を考えながら、うろうろと祖母の待つ場所へと蛇行歩きしながら戻って来ました。本んの2メトール程の距離しかなかったのですが、ね。
「それで、お父さん、どうなったんですか?」
祖母はすかさず夫をせっつきました。早く結果を聞かせろと袖を引っ張りました。祖父は祖母の顔を穴の開くほど見詰めると、
「うん、…お前さんかねぇ?…。」
と、言葉を濁し、お前さん、男の大人の人は何時までたっても子供だと思っているかいと聞くのでした。
祖母は目を丸くしました。誰がそんな事を言ったんですかと、大仰に驚いて見せました。祖父はいや、あの子がそういう物だから、これは誰か大人の、女性が言ったものを聞いたんじゃないのかと思ってねと、疑り深そうな目を妻に向けるのでした。
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