そこで私は、先を歩いて行く子の後ろ姿を指さすと、あの子が「その日」を知りたいと言っていたからだと答えました。そしてその日を知りたいと言った、その子から聞いた理由をその子の口調を真似て言ってみるのでした。
「あの子、そんなことを言っていたのかい。」
おばさんは酷く真面目な顔付きになると、あれこれ考えを巡らしていたようでしたが、
「仕様が無いことを考えても仕様が無いという物だ。」
そう口から言葉に出すと、そんなことを考える子には自分で考えてもらうといいよ。と私に忠告するように言うと、更に続けて、私が考えることは無いんだよと、やや怒ったように言うのでした。
「このお天気の良い日に、気が滅入るという物だ。何て暗い…、」
そこでおばさんはじーっと自分の顔を見上げている私の視線に気付くと、言いかけていた言葉を途切るのでした。
「…くら、くら、暗くならない内に帰るんだよ。」
おばさんは漸くそう言うと、優しくにっこりとした目を私に向けて、やや寂し気に笑いかけてくれるのでした。
はーい、元気に笑顔で返事をすると、私は行ってきまーすと、もう角を曲がって姿を消してしまった仲間の皆を追いかけて走り出しました。午前の遊び場に向かって一目散です。いえ、この時は通年の通常の遊び場の方へ向かったのかもしれません。仲間の中では年少に近い私です、先に行ってしまった遊び仲間達の向かう場所へと、何時も何処へでも私は後から走って付いて行ったのでした。
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