Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

今日の思い出を振り返ってみる

2020-09-24 09:04:45 | 日記

うの華 56

 気落ちしていた私に向けて祖母が掛けた言葉中に、自分はただぼんやりはしているのでは無い、絶えず何かは考えている。そう受け取れる言い回しが有ると私が感じた事が私の癇に触れたのは確かだ......

 今日のお天気は晴れ。雲が多いです。今夜半には雨に変わるようです。

 さて、先週からのシルバーウイーク、家では連休のんびりしていました。それでも秋のお彼岸には、墓参りに行こうか如何しようかと迷いました。結局行かず仕舞いです。今年は春のお彼岸以降、旧盆の7月にひっそりと家のお花を供えに行ったきりです。新型コロナで母の外出もままならず、墓参に訪れずに過ぎ父が寂しがっているかもしれません。
 こんな感じですから、家はあっという間に1年が、新型コロナの渦に飲み込まれて過ぎてしまう気配です。夜ごとコオロギの鳴き声も響き、お彼岸を過ぎるとやはり涼しくなりますね。

うの華3 40

2020-09-16 11:18:55 | 日記
 「そうだよ。」

祖母は言った。偉いとまで言われると照れるけどね。祖母は私の顔を見詰めはにかんだ。そうして、一寸背筋を後ろへ逸らすと、「私はお金をたんまり持っていた…のさ。今はもうお金の方はそう無いけどね。」と続けると、ほんのり頬を染めて俯いた。私が見詰め続けていると、彼女の口元には笑みが漂っていた。

 『今は、無い。』。なんだ、と、私は思った。ここでやはり祖母の話は眉唾物らしいと感じた。この時の私は、彼女の話を嘘とまでは言わないまでも、当てにならない作り話か、または何かの教訓で、例え話に変わって行くのだろうと考えた。彼女のこの先の話の結びをそう予想していた。

 すると、私のがっかりした全身の雰囲気を読み取ったのだろう、祖母は私を見詰めて言った。

「嘘じゃないよ。」

お前今、私が嘘をついていると思ったんだろう?。彼女はお前の考えは分かっている、ほらほらそうれ見ろといわんばかりに、ふんと不愉快な顔付になると私から視線を逸らせた。どの子もどの子も…、これだからねと、彼女は自身の横へ小さく呟いた。

 「お前案外とがめついね。」

今のお前の様子でよく分かったよ。祖母は言うと、再び私に視線を戻した。そうして彼女もこれ迄の私同様、私という自身の孫の、物心つく頃の子供の様子をしげしげと観察し始めた。そうなのだなと、私は彼女の痛い様な視線に感じ取った。

 蓄えに食いつくなんて、膨大は知っていたのかい?。祖母の言葉に私は首を横に振った。知らないと私が声に出して答えると、彼女はやや意外そうな顔をした。一文字に結んでいた彼女の口がうっすらと開いた。

「知らない、じゃあどうして…、」

祖母は言い淀んだ。「『だい』だよ。」私は答えた。大抵、『だい』が付くと大きい、沢山あるという事でしょう。山のように大きい、多くある、そういう事が多いから。私がそう答えると、祖母はははぁんと言う様にこくりと頷いた。蓄えがお金だという事は言ってあったからね、お金が沢山あると考えた訳だ、と祖母は私の思考を推理した。

 それにしても、祖母は話を続けた。

「お前、何時もとは妙に違う反応をしたよ。」

様子が尋常な…、何時ものお前の様子とはね、酷く違って見えたよ。だから、てっきり、お祖母ちゃんはお前が…、祖母は口ごもった。そうして、その後無いと言ったらさもがっかりしていたし。お前、私のお金が欲しくなったんだと思ってね。そう静かな語り口調になって祖母は口を閉じた。

うの華3 39

2020-09-16 10:26:20 | 日記
 既に大人になり家庭を持ち、毎日の生活が定着した様でそう差して変化のない暮らしを送るようになった父には、私の様に朝目覚めては来る日の出来事で、これは初めてだと驚き感動し、やたらきょうきょうと騒ぎ立てるという様な、感動的で真新しい出来事や、驚き勇むような変化が無かった様だ。

 そんな彼の日々の中だ、喜々として目を輝かせては纏い付き、自身の未曽有の体験をさも嬉し気に、又は感動的に、毎回報告する子供の私に対して、煩がり、また彼なりにやっかむ気持ちもあったのだろう、

「そんなに新しい事や楽しい事が、毎日のように有って結構な事だな。」

と嘯いたりした。彼は顎を出したような雰囲気で、面白くもなさそうな顔になると、やおら私から離れる時に彼の二つの指で私の頬など軽く握るように摘まんで行った。そんな彼の所作に、ふと、私は子供ながらも父は私の事が気に食わないのだろうか、と感じたりしたものだ。

 が、兎に角、父のいう事は言う事だと思い返すと、私は彼のこの忠告めいた言葉を受けてからは、それ以降、私のその何度目かの真新しい瞬間を心待ちに待ち受けていた。自身の記憶や心に新鮮な状況を味わい、それをきっちりと飲み砕くべく、私は全身全霊でそれを受け止めようと満を持して待っていた。

 今がその瞬間なのだ!。私は私の言葉に反応する祖母の様子、その時の自らの心情の動きに注力していた。物事に集中する私の神経は研ぎ澄まされて来た。するとこの2階の部屋の私の周囲の空気迄もが研ぎ澄まされて、室内の万物を如何にも明瞭に際立たせた。それらは私の目にくっきりと映し出されてくるのだ。私は普段感じた事も無い下瞼の奥にさえ光が差すのを感じた。 

今日の思い出を振り返ってみる

2020-09-16 10:16:05 | 日記

うの華 50

  「蛙の子は蛙だよ。」こんな事があってから祖母はよくこの言葉を口にする様になった。「小さい時はどんなに良い様に見えてもね。」と。そう手をかける事は無いとか、適当でいい......

 曇り空。天気予報では、こちらの地方は秋の気候という事でしたから、清々しい朝でした。過ごしやすいです。日が出ると暑くなるようですが、今の所まあまあの気候と言えます。
 先日、こちらのスポーツ施設の、講座受講募集のチラシを目にしました。昨年受講していたフラもあり、行きたいなぁと思ったのですが、やはり最短来春までは自主休講かなと考えています。私なりにやはり残念に思いました。今度は1人では無く、連れのお友達と習いに行きたいなぁと思います。そして、痩せなければ!。ダイエットして少しでもスリムにならないと、ドレスがきついです、着られるドレスが有りません。

うの華3 38

2020-09-11 10:49:56 | 日記
 その後祖母は沈黙を続けていたので、気詰まりという言葉も未だ分からない私だったが、何かこちらから声を掛けなければいけないという様な考えを持った。そこで未だ横顔しか向けて来ない彼女に対して、今迄の彼女の言葉の内から、私の使えそうな言葉をあれこれと思い返してみる。そうしてせっせと彼女に向けて言う言葉を考えてみた。

 「お祖母ちゃんとお祖父ちゃんには怖い物が有るんだね。」

私は祖母の顔をそれとなく窺いながら漸くそんな言葉を掛けた。それから遠慮がちに、それは困った事だね。そう付け足してみた。こんな風に私が祖母に声を掛けると、祖母は未だ横顔を向けた儘だったが、私の言葉に耳を傾ける気配が窺えた。もう少しだな、と私は思った。彼女の顔と気持ちを普段の様に私に向けるには未だ更なる言葉が必要だと感じた。そこで私は再び次の言葉を考えてみた。今し方の祖母の言葉を順に考えた時、私には特に興味を引かれた言葉があった。それを彼女が喜ぶ様なお愛想を込めて言ってみようと私は即断した。

「お金が沢山あるんだね。お祖母ちゃんにも。」

と、微笑みを称え、明るくにこやかに彼女に声をかけた。蓄えがお金の事だという事を、私は今迄の祖父母間や、彼等と私との間の語り合いから学び、既に聞き知っていた。しかし、一家の大黒柱である商売人の祖父に、大きな資産が有るのは当然と思い、そう聞き知っていても、祖母に迄となると、それは私のこれまで得た知識の範疇を超えていた。私には未だ想像さえ出来ないでいた事だ。これは私に取って生まれて何度目かの未曾有の経験である。この未知との遭遇に、私の心中はこの経験を新鮮な感動で受け止めようとした。大きく心を開いて、彼女の一挙手一投足を見逃すまいと眼を大きく見開いた私は、先ず祖母の顔つきを見つめた。

 「お祖母ちゃん、女なのにそんな大きなお金が有るなんて偉いんだね。」

これは私にすれば心中半信半疑の出来事だった。何故ならば、私にするとこの世の中は未だ男尊女卑の世界であり、私はその真っ只中にいたからだ。私が住むこの近辺は、古い商店が立ち並ぶ老舗の街といえた。何処も旦那さん、だんさんという諂いの言葉が飛び交い、奥さんの方は皆揃って器量よし、場に花を添える存在が目立つご時世だった。確かに、商いの腕が立ち、おかみさんの切り盛りが目立つお店も有るにはあったが、ごく少数で、そこにはご主人も必ず居て、でんと構えたその店の要として店先等にいたものだ。それまでの私の認識では、こと収益に関する経済で女性の影は薄かった。全く皆無と言ってよかったのだ。私は女性としての祖母の蓄え、それも可なり大きいという箇所に、俄然興味を持っていた。

 「初めての経験は大切にしろよ。」

父は私の初まってそう長くない人生経験での、いくつ目かの初めての感動話を、ある日聞いてからこう言ったものだ。「そんな感動も、新鮮さが有る物は段々と数が減るからな。」、これを世慣れると言うんだ。お前も今の内にそういう経験を味わっておくといいぞ。新鮮だからな。そんな感情。そんな事を言った。皆目実態の捉えられない私に、

「兎に角、自分にとって初めての事は、自分の目も心も大きく開けて受け止めようとする事だな。」

と言うと、うんとばかりに、それは自分の人生で新鮮な物だ、と、彼は結んだ。