Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

うの華3 35

2020-09-07 09:27:36 | 日記
 さて、そんな父子の親子喧嘩は発展せずに直ぐに終了した。私が

「私はお母さんみたいに、有りもしない事を言ったりしない。」

こう父に言放つと、父はあんぐりと口を開けて、お前の、お母さんの話だろうなと私に念を押す様に聞くと、はてさてと顎に手を遣り考え始めた所で、階段の登り口から祖母の父を呼ぶ四郎という声が掛かったからだ。

 祖母はその直後2階に姿を現し、父に私の母にも話を聞いておいでと言うと、父は二つ返事で直ぐに階下へと降りて行った。2階には祖母と私だけの2人となった。

 「お母さんと何かあったのかい?。」

祖母が訊いて来る。母と?、今私が言い争っていたのは父である。そう思うと私は祖母の話にも解せない物を感じた。今日の家の大人は、誰をとっても話が通じない会話をして来るのだ。私は物事がスッキリと見えないこの現象に、未だに曖昧模糊とした感情を感じた儘でいた。この現象は何時まで続くのだろうか、私がうんざり仕掛けた頃、祖母がにっこりとして私に語り掛けて来た。

「物が分かった様で未だよくは分からない年頃なんだねえ。」

祖母には今の私の状態が分かるというのだ。何人も子供を育てたし、近年は孫も何人か見て来たからね。そんな事を彼女は私に言った。

 「さて、お前は今何に引っ掛かっているんだろうね。」

そう言うと、彼女は順に解決して行こうじゃないかと言う。そうして、2階に来てから今迄、彼女の後ろに回していた彼女の片手を私の目の前に差し出してみせた。その掌の上には黒く細い棒のような物が有った。その細い棒を彼女は親指で抑え、掌の上で私に示すように載せてみせ、彼女は私にその代物をよく見て調べてごらんと差し出してくるのだ。

 その黒い物体は40㎝は有ろうかという長さで、色は真っ黒だった。次に祖母はその棒の両端を掴むと、手で撓らせるように軽く数回曲げてみせた。彼女は、こう柔らかく曲がる事をしなるというのだと説明すると、私に持ってごらんと言う。私がその棒の正体の分らない不気味さに怖じ気づいていると、彼女はその極めて細い棒を私の目の前の机の上に置いた。

 机上という目前で、私が棒の全体像を子細に眺めてみると、棒は決して一筋の直線では無く、両端で太さに差がある様子だ。また棒は平たんで無く丸みを帯びている立体感を感じた。棒の端を見ると、その片方の先端に蠅叩きの様な形をした平たく極小さなへらが着いていた。私が思い切って手を出して棒を握ると、小枝の様な握り具合だが、木とは違う手触りを感じた。私には未だ黒一色というのが不気味な気がした。それも闇に溶けそうな真の黒色なのだ。如何にも不気味さか募ってくる、思わず私は棒から手を離した。

 その後も、私が怪訝に思いこの未知の品物を見詰めていると、祖母はそれは鞭という物だと言った。

「お祖母ちゃんはお前が家に入って来た時、それで息子を打とうとしていたんだよ。」

息子というのは私の父の事だと、彼女は回想するように遠い目になると、言葉付きも弱弱しくなり、

「私はそんな母親になろうとしていたんだよ。」

否、もうなったんだよ。とほっそりとした言葉を唇から零した。

大気不安定

2020-09-06 14:28:06 | 日記




    空がごろごろ、大気が振動しています。雨の予報は無いのですが、少しずつ空も暗くなって、降りそうな気もします。
    現在、戸を開けて窓から空を覗くと、真っ青な青い空、目映い白い雲、雨雲になりそうな灰色の雲と、明暗がハッキリしている空模様です。家の付近は既に日差しが陰ってしまいました。
    もうかなり暗くなって、再び窓を開けると、灰色の雲からに向けて、白くパシッと稲光が見えました。同時に空気の振動を肌に感じました。静電気みたいでした。

    ぱつぱつ、と、雨が降りだした様子です。15時過ぎに豪雨予報も出て、こんな雷鳴の続く時は、窓は開けないけ方がよいようです。先程感じた大気の放電現象、稲光の様に放電が伝わって来る事に、危険な感じを受けました。人も電気の伝導体ですものね。

    さて、今度は少しずつ空色が明るくなって来る様子です。ごろごろと、振動音も少なくなり引いていく感じです。濡れた車道を走る車のシャワシャワ音が響いているだけ。



うの華3 34

2020-09-03 09:20:27 | 日記
 「その本は大人でも、否、生徒でも、嫌がって読まないような本だ。」

学生は読むがな…。顔を背けて、ふっと笑いを漏らすと父は言った。

 そんな辞書という調べるのが面倒な本を、これは言葉を調べる本なんだよ、その為あちこちページを繰るんだが、それが面倒で皆嫌がるんだ。そんな本なんだよ。実際私も好きな物じゃない。それを、そんな本を、まして年端も行かないお前が読もうだなんて、大した大望を抱いたものだな。如何いう風の吹き回しなんだかと父は言った。

 この言葉に、私はカチン!と来て癇に障った。

「お父さんが読めと言ったんじゃないか。」

私が!?と、意外な声で、父は合点のいかないような返事をした。言ったかなぁ?、…言っていないと思うがなぁ。合点が行かないなぁと、彼は本当に首を捻っている。それは私の方だと私は思った。

「言ったよ、言った!。」

私は彼に主張した。

 父は如何とも、判断の付かないような顔付をして立っていたが、お前なぁと、何でもお父さんのせいにするなと言う。

「分かった、それで母さんがああ言ったんだ。」

彼は先刻自分の母に、おまえのせいだと言われた事を私の言動のせいだと邪推した様子だ。そうだなと直感した私は、即刻抗議した。

 「違う!。私のせいじゃない。」

すると父は驚いたような顔をした。違う、違うとは?と訊いて来る。私は祖母の前で何が知らかを父のせいにしたり、そうだと言って訴えたりした事は無いと彼に主張した。

「だから、お祖母ちゃんがお父さんが悪いと言ったのは私のせいじゃない。」

私の言葉で祖母が父の事を判断するような、告げ口等私はしていないと彼に説明した。父はそうかなぁ、過去にはしてなかったか、と、案外しつこかった。

明るい街

2020-09-02 11:49:11 | 日記
 昨日、幸い外灯の点検がありました。丁度、外に出ていたので、私は係りの方と話をする機会がありました。他にも何件か街灯不具合の通報があったそうです。暑い中大変ですね。
 さて、話をして分かりましたが、家の前には沢山の街灯が有りました。係りの方に示された一番高い位置に有る電灯には驚きました。そういえば、これは電線が地面に埋没された直後、一番に設置された物です。一般の道沿いに多く並ぶ、ランプ型街灯より早くその場に立てられた物です。位置が高過ぎて、普段目に入らず忘れていました。
 なる程、高い位置から照らし明るくて良さそうです。が、形と位置的に、もしこの電灯がLEDなら、私が案じている危険箇所に光線が届かないのでは無いか、そう思うとやはり不安でした。それでそう一言添えておきました。
 家は明るい方が良い、このランプ型街灯が有った方が良いと、個人的な希望を伝えておきました。それにつけても、点検していただけて、とてもありがたかったです。

 家にぶつかられたく無い!。また何かあると嫌だ!。

本当は、家の横手が駐車場なのは、とても不安で迷惑なんです。両方共に。
 

うの華3 33

2020-09-02 10:16:30 | 日記
 父は呆れたような顔をして私を見詰めた。そんな大人の本を読もうだなんて、しかも普通の、小説等…、お前に言っても分からないな、の話が書かれた様な本じゃない物を、

「お前よい度胸だな。」

フンと言う様な鼻息と、気に入らないという感情を滲ませた顎を出しての父の言葉だった。

 おやっと、私は父の様子を窺った。どうやら父のご機嫌を損ねた様だと感じた。そうなのだ、私は何故かそうとは知らずに、思い掛けず父のご機嫌を損ねてしまう事が多い様なのだ。今日の私の、今迄発した言葉の中に、どんな問題が有っただろうか?。私は父の方から、机の方向へ向きを変えて考え始めた。

 …聞いているのか?。父の声に、うんと、私は我に帰返った。ああ、ウンと私は彼に曖昧に答えて、チロリと横目で彼の方を見てみる。ふん、あいつみたいにと父は言った。

 「お前お母さんに、」

このお母さんはお前の母親だが、あれに似て来たな。そう父は言って、嘲笑を含んだ様な口にこもった笑い声を漏らした。