主催:「しんぶん赤旗」・日本将棋連盟の「新人王戦」の第一局、まずは上野四段の一勝ではじまりました。
29日の「しんぶん赤旗」ではこう書かれていました、
将棋の第54期新人王戦 (しんぶん赤旗主催) の決勝三番勝負は、10月2日に大阪市の関西将棋会館で開幕します。 決勝に進出したのは、 藤本渚四段 (18) と上野裕寿四段 (20)。2人の棋風と、対戦の見どころを、本紙観戦記者の池田将之さんに聞きました。
藤本四段と上野四段は、2人とも関西の棋士で、同じ井上慶太九段門下です。 上野四段の方が2歳年上で、将棋のプロ棋士養成機関である奨励会に入会したのは1年早いという、とても近い兄弟弟子対決になります。
四段に昇段してプロ棋士になるのは、藤本四段が2022年10月1日で、上野四段よりちょうど1年早くなりました。
兄弟子である上野四段にすれば、四段昇段を先に越されたことについて思うところはあろうかと察せられますし、プロ棋士になって初の対局新人王戦決勝三番勝負の第1局ということで、相当気合が入っての対局となると予想されます。
練習将棋を数多く指しているはずで、互いに手の内を知り尽くした兄弟弟子対決ですので、相手の狙いをどう外すのか、または相手の狙いに乗っていくのか、序盤から目の離せない展開になると思います。
藤本四段は、現在最年少棋士で、このところものすごく勝っている新鋭です。 奨励会の三段リーグをわずか2期で突破し、加古川青流戦でも決勝三番勝負に進出が決まっており、いまもっとも勢いのある若手の一人といえます。
新人王戦出場も初出場での決勝進出です。
最近の若手に共通していることですが、序盤、中盤の研究が深く、終盤も強いという、スキのないタイプです。
今期新人王戦の2回戦の齊藤優希三段戦で、王手の連続を浴びながら、持ち時間がしっかりあるのに、スイスイ指し進めて正確に逃げ切り、勝利したのは印象的です。自分の読みによほど自信がなければできない芸当です。
居飛車党で、得意な戦法は、先手番なら相掛かり、後手番なら雁木(がんぎ)に組むことがほとんどです。
一方の上野四段は、小学校低学年のとき、 井上慶太九段の将棋教室に来たころから知っています。私が講師の一人で、最初は「四枚落ち」で対局したのですが、そのころから筋がよく、「きっとプロになるだろうな」という予感がありました。
予感は的中し、中学生で奨励会三段となりましたが、三段リーグで少し足踏みをしていた印象です。
実は前回の奨励会三段リーグでも、最終対局日に、勝てば四段昇段が決まるというときに、負けて、昇段を逃していました。その経験も生かして、たくましくなったのかなと思います。
新人王戦は4期連続4回目の出場で、51期は2勝、52期、53期は初戦敗退でしたが、今期は新人王戦優勝経験のある伊藤匠七段(第3期)、増田康宏七段(第4期、第4期)を破っての決勝進出です。「化けた」(急速に実力をつけて脱皮した)印象です。
棋風は、こちらも居飛車党で、先手番なら矢倉に組むことが多く、後手番なら相手に合わせて対応する印象です。
展開としては、じっくりした駒組みからの、重厚な将棋になるように思います。序盤から、細かくポイントを取り合って、互いにポイントを積み上げていくような好勝負を予想します。
明日の「しんぶん赤旗」紙面が楽しみです。