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将棋新人王戦 上野四段が先勝
寄せ合いに冷静な指し回し
![]() (写真)対局後に検討する上野四段(左)と藤本四段。奥右側は立ち会いの桐山清澄九段=2日、大阪市の関西将棋会館(峯松進撮 影) |
将棋の藤本渚(ふじもと・なぎさ)四段(18)と上野裕寿(うえの・ひろとし)四段(20)の、ともに井上慶太九段門下の同門の兄弟弟子対決となった第54期新人王戦(しんぶん赤旗主催)の決勝三番勝負第1局は2日、大阪市の関西将棋会館で行われ、上野四段が115手で勝って、シリーズ先勝としました。
第2局は23日(月)に同所で行われます。
振り駒の結果、上野四段の先手番となりました。戦型は先手の上野四段矢倉、後手藤本四段雁木(がんぎ)とそれぞれの得意な形に組み終わる前に、藤本四段が34手目、早々と☖6五桂と跳ねて攻勢にでます。
その後、上野四段は、金と桂の損な交換に甘んじながら、藤本陣にいくつかのキズを作ったことに満足しての分かれとなり、控室では「駒損ながら、わずかに先手が指しやすいか」という声があがります。昼食休憩前の時点で、先手の上野四段が20分、後手の藤本四段が1時間38分と、消費時間に大きな差がつきました。
その後、互いの飛車はまったく動かないまま、中盤の攻防が激しくなり、終盤の入り口に差し掛かるあたり、72手目で藤本四段が飛車先の歩を☖8六歩と突いて、☗同歩に☖8八歩打ちと「手裏剣」を飛ばして先手の陣形を乱しにかかります。
ここから、互いに相手玉に切りかかる寄せ合いに入り、どちらが勝っているのか判別つきがたい攻防が続きましたが、上野四段が、鋭い攻めと冷静な自陣への手入れを巧みに指し回し、後手玉を受けなしの形に追い込み、勝利しました。
対局後、勝利した上野四段は、「(10月1日付でプロ棋士となったばかりで)プロデビュー戦が新人王戦の決勝三番勝負の第1局という大舞台で、注目をされる中での対局だったので、気合が入りました。一局を通じて、集中できたと思います。練習将棋で研究していた形にもっていくことができました」と語りました。
敗れた藤本四段は、「上野四段は兄弟子で、強いということは分かっていました。序盤、よいのではないかと思っていた局面が実際には難しく、そのあたりから形勢的にも消費時間的にも引き離されてしまいました。第2局は先手番と決まっているので、しっかり準備して臨みたいです」と巻き返しを誓いました。
昨日の「つぶやき」に、
「新人王戦〜、今期は新人王戦優勝経験のある伊藤匠七段(第3期)、増田康宏七段(第4期、第4期)を破っての決勝進出です。「化けた」(急速に実力をつけて脱皮した)印象です。」
と、藤本四段の「化けた」証としての二人の棋士、伊藤匠七段、増田康弘七段やはりこの二人を破れば「化けた」と言われて当然でしょう。
さてこの棋戦第二局(27日)が楽しみです。