忘れないうちにミラノのパラッツォ・レアーレ「GIOTTO」展と「MITO NATURA」展の感想を少し書きたいと思います。まずは「GIOTTO(ジョット)」展から。
ジョットと言えばフレスコ画が有名ですが、祭壇画も多く描いています。今回の展覧会はジョットだけに絞った作品展としては初めてだそうで、ジョットの初期作品(ビザンツ的イコン様式が見える)や祭壇画が中心でしたが、展示作品数も20点に満たない意外にコンパクトな構成でした。
ウフィッツィやボローニャのジョットがミラノ出張中だったので、私的にもっと多くの作品が展示されると期待していたのですがね。ジョットの仕事は大規模フレスコ画中心ですから、まぁ仕方ないのだろなぁとは思います。それでも、初めて観る作品(板絵祭壇画)が多く、ジョットの作風の変遷ともども色々と勉強できたし、とても興味深い展覧会でした。
で、私的に目を惹かれた作品について少しだけ書きたいと思いますが、会場内が暗くてメモも取りにくく、図録も買わずなので、アバウトな表記になるのでご容赦ください。
■《Due teste di apostoli o santi(使徒或いは聖人二人の頭部)》(1305-1320) 個人蔵
ちょうどFさんから宮下孝晴『フレスコ画のルネサンス』(NHK出版)を借りて読んでいたところで、ジョットのフレスコ画技法について興味を持っていました。特に斜光線を照射した時に見られる聖人のニンブス(円光)の漆喰盛り上げ(ストゥッコ)は、遠くから眺めるしかない一般人の私には気が付かないものでした。ところが、今回、ジョットのフレスコ画の一部を額装した作品が展示されていたのです。それも、ニンブス付きの聖人です!!
はい、本に書いてある通り、ニンブスは確かにストゥッコで盛り上がっているのです!!ヽ(^o^)丿 更に右側の聖人の目(なかなか良いのです♪)のインチジオーネ(多分?)も確認され、このふたつを確認できただけでもミラノへ足を運んだ甲斐があったと思いました。
■《Polittico Baroncelli(バロンチェッリ多翼祭壇画)》(1328年)
サンタ・クローチェ教会(フィレンツェ)のバロンチェッリ礼拝堂の祭壇画ですが、今は内務省が管理しているようです。しかし、中央の「聖母戴冠」の上部頭部分が(再額装のため)切り取られたようで(額装を見ると盛期初期ルネサンス期?のような気がする)、その頭部分が米国(加)サンディエゴ美術館に所蔵され、今回の展覧会では同じ部屋に一緒に展示されていました。
ジョット《Polittico Baroncelli(バロンチェッリ多翼祭壇画)》(1328年)イタリア内務省(サンタ・クローチェ教会)
ジョット《聖母の戴冠(バロンチェッリ多翼祭壇画)頭部)》(1328年)サンディエゴ美術館
この祭壇画は金箔きらびやかで、イエスと聖母の周りで祝う天使たちや聖人たちの数も凄いです。一人一人の表情もなかなか楽しいですよ♪ バロンチェッリ家のお金持ち度や嗜好もこの祭壇画に表れているような気がしました(^^;
で、上部に赤い羽翼つきプット(セラフィム天使)たちが描かれ、あ、ジャン・フーケ《ムランの聖母子》(1450年頃)と同じ赤い天使だわ!と目が踊りました。描かれたのはジョット期でしょうか??ジョット以降でしょうか?? フーケがイタリアに行ったことは確からしいけど、赤い天使っていつ頃から流行していたのでしょうね??
ということで、ちょっとだけの感想文でした(^^;。今回の展覧会では美術館だけでなく、バティカンやそのほかの教会からも祭壇画が出展されており、作品数は少なくとも見応えはあったような気がします。ジョットのフレスコ画の革新性(空間把握や人物の情感、量感など)の素晴らしさはもちろんですが、板絵テンペラによる祭壇画にもそのジョットらしさを見ることができたのが嬉しかったです。