国立新美術館で「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」展を観てきた。(いつもながらokiさんに感謝です!)
ピカソ作品をこんなにまとめて観たのは初めてで、画風の変遷が時系列的に辿れるのがとても興味深かった。今回の展示ではとりわけキュービズムへの移行期が内容的に充実しており、デッサンを重ねながら線を確定していく過程も面白く、見応えのある展覧会だった。
例えば、エジプトのヒエログリフのように今までなんだか判別できなかったバイオリン・グラス・新聞などが画面の中にちゃんと見えるようになったのだから!女性の表現も抽象化された乳房がキモなのだとわかったし、泣くという表情も記号のようである。時系列で観て行くとピカソの分解方法と構成の仕方が見えてくる。
しかし、その線が的確に捉えるのは造形だけでなく、量感であり、動きであり、そのものの本質なのだ。オルガとの結婚時期に描かれた《三人の踊り子》の足には本当に見惚れてしまった。バレリーナ三人それぞれのポーズ...大きな手の動きも勿論だが、やはり足のポジションに目が行く。筋肉質のたくましい足がリズミカルな動きを孕み、躍動感さえ感じる。
思うに、ピカソの描く人物たちは異常に手足が大きいが、それは太古から大地を踏みしめる人間の足であり、ものを作り出す人間の手であると、まるでおおらかに人間賛歌を歌っているかのようだ。
それにしてもピカソの画風の大きな転換期には必ず愛する女性の存在があるようで、これまたピカソの精力旺盛ぶりにニヤリとしたり、この甚大なパワーこそが飽くなき画風革新への追求に走らせたのだろうなぁと感心したり…副題「愛と創造の軌跡」に大納得(^^;;
ピカソ《ドラ・マールの肖像》(ピカソ美術館)
さて、展覧会は青の時代から始まり薔薇色の時代、ブラックとの出会いによるキュービズム、オルガの新古典的画風、そしてシュルレアリスム…作品が並んでいた。更に《ゲルニカ》や朝鮮戦争の悲劇、微笑ましい子供たちの姿まで…実に多彩で、それはピカソという人間の大きさなのかもしれない。ある意味、ティツィアーノと同じで長生きだったからかも(^^;;;
今回の展覧会はパリのピカソ美術館改修に伴う引越し企画のようだが、実はこの展覧会に欠けている時代作品こそが私の一番好きなピカソなのだ。
モンセラート美術館(Museu de Montserrat)所蔵の《老いた漁師》は5、6年前にBunkamuraの「ミレー三大名画展」でも出展されていたが、その後にモンセラートにカラヴァッジョ《瞑想する聖ヒエロニムス》を観に行って再会した。
モンセラート美術館
ピカソ《老いた漁師》(モンセラート美術館)
確かピカソが十代の頃に描いた作品であり、老いた猟師の経てきた年輪が画面から伝わってくるようで、しみじみ凄い絵だなぁと絵の前で見入ってしまった。ジョルジュ・ド・ラ・トゥールに似ていると思うのは私だけだろうか??
こんな絵を描いてしまったら、後は崩して行くしかしかたがなかったのだろうね。
え~っと、ついでにカラヴァッジョ作品もご紹介(^^ゞ
カラヴァッジョ《瞑想する聖ヒエロニムス》(モンセラート美術館)
ちなみに(蛇足ながら(^^;;;)、モンセラート修道院は奇岩の岩山に建てられている。
この奇岩がガウディのサクラダファミリア教会の造形に影響を与えたという説もある。
モンセラートはバルセロナから電車で40分ぐらい。そこからケーブルカーで深い谷を見下ろしながら奇岩の岩山へと向かう。このにょっきり岩山をガウディが見た可能性は大いにあるが、果たして...??
ピカソ作品をこんなにまとめて観たのは初めてで、画風の変遷が時系列的に辿れるのがとても興味深かった。今回の展示ではとりわけキュービズムへの移行期が内容的に充実しており、デッサンを重ねながら線を確定していく過程も面白く、見応えのある展覧会だった。
例えば、エジプトのヒエログリフのように今までなんだか判別できなかったバイオリン・グラス・新聞などが画面の中にちゃんと見えるようになったのだから!女性の表現も抽象化された乳房がキモなのだとわかったし、泣くという表情も記号のようである。時系列で観て行くとピカソの分解方法と構成の仕方が見えてくる。
しかし、その線が的確に捉えるのは造形だけでなく、量感であり、動きであり、そのものの本質なのだ。オルガとの結婚時期に描かれた《三人の踊り子》の足には本当に見惚れてしまった。バレリーナ三人それぞれのポーズ...大きな手の動きも勿論だが、やはり足のポジションに目が行く。筋肉質のたくましい足がリズミカルな動きを孕み、躍動感さえ感じる。
思うに、ピカソの描く人物たちは異常に手足が大きいが、それは太古から大地を踏みしめる人間の足であり、ものを作り出す人間の手であると、まるでおおらかに人間賛歌を歌っているかのようだ。
それにしてもピカソの画風の大きな転換期には必ず愛する女性の存在があるようで、これまたピカソの精力旺盛ぶりにニヤリとしたり、この甚大なパワーこそが飽くなき画風革新への追求に走らせたのだろうなぁと感心したり…副題「愛と創造の軌跡」に大納得(^^;;
ピカソ《ドラ・マールの肖像》(ピカソ美術館)
さて、展覧会は青の時代から始まり薔薇色の時代、ブラックとの出会いによるキュービズム、オルガの新古典的画風、そしてシュルレアリスム…作品が並んでいた。更に《ゲルニカ》や朝鮮戦争の悲劇、微笑ましい子供たちの姿まで…実に多彩で、それはピカソという人間の大きさなのかもしれない。ある意味、ティツィアーノと同じで長生きだったからかも(^^;;;
今回の展覧会はパリのピカソ美術館改修に伴う引越し企画のようだが、実はこの展覧会に欠けている時代作品こそが私の一番好きなピカソなのだ。
モンセラート美術館(Museu de Montserrat)所蔵の《老いた漁師》は5、6年前にBunkamuraの「ミレー三大名画展」でも出展されていたが、その後にモンセラートにカラヴァッジョ《瞑想する聖ヒエロニムス》を観に行って再会した。
モンセラート美術館
ピカソ《老いた漁師》(モンセラート美術館)
確かピカソが十代の頃に描いた作品であり、老いた猟師の経てきた年輪が画面から伝わってくるようで、しみじみ凄い絵だなぁと絵の前で見入ってしまった。ジョルジュ・ド・ラ・トゥールに似ていると思うのは私だけだろうか??
こんな絵を描いてしまったら、後は崩して行くしかしかたがなかったのだろうね。
え~っと、ついでにカラヴァッジョ作品もご紹介(^^ゞ
カラヴァッジョ《瞑想する聖ヒエロニムス》(モンセラート美術館)
ちなみに(蛇足ながら(^^;;;)、モンセラート修道院は奇岩の岩山に建てられている。
この奇岩がガウディのサクラダファミリア教会の造形に影響を与えたという説もある。
モンセラートはバルセロナから電車で40分ぐらい。そこからケーブルカーで深い谷を見下ろしながら奇岩の岩山へと向かう。このにょっきり岩山をガウディが見た可能性は大いにあるが、果たして...??
遅くなりましたがお帰りなさいませ。
モンセラート。
うらやましいです。我が家もバルセロナに行った時には、ここに行きたかったのですが、日程が難しくあきらめたところです。
ガウディが。。。ということでぜひ行きたかったスポットなんですけどね。
ガイドブックだと、駅からここまでの道のりが迷うようなことが書いてあったのですが、迷わなかったですか?
で、さかな家のバルセロナ旅行記でガウディ建築巡りを楽しく拝見してましたが、やはりモンセラートはガウディに影響を与えたんでしょうかね??にょっきり岩山はなんとなく似ているような気もしました。オットさんやツマさんにもぜひ訪問していただきたかったスポットです。
さて、道のりですが、電車から降りて他の見物客がぞろぞろと向かう先に一緒について行ったら着いちゃったという感じでした。人の流れを見ているとなんとかなるものですね(^^;;;。オットさんはきちんと旅行計画を立てられますが、私はその場次第のいいかげんなのです(汗)。
ところで、さかな家のバンコク旅行も羨ましく拝見してましたが、騒動前で良かったですね~!
私も彼の10代の作品は大好きです。あまりにも上手で、というか見事過ぎますよね。モンセラートの「老いた漁師」すばらしいです!ほんとラ・トゥールの老人を想起させますね。バルセロナのピカソ美術館には、確か子供の頃からの作品が展示されていたような記憶があります・・・ほとんど忘れましたが。
花耀亭さんは、モンセラートまで行かれたのですね!さすがです!そこには修道院があるので以前から気になっていたのですが、その美術館にカラヴァッジョの作品もあるとは・・・ますます行きたくなりました。ほんとガウディも見たと思われる変な山も魅力的ですね。
さすが、パリと言えばCojicoさんです(^_-)-☆ ピカソ美術館には子供のころのピカソ作品もあるのですね!本当に早熟だったような気がします。今回の展覧会にも子供のころの作品を展示してくれれば、もっと深くピカソの変遷がわかったのではないかとちょっと残念です。出し惜しみしないでね(^^;;;>ピカソ美術館さま
で、モンセラート修道院聖堂は黒い聖母像を拝観する人々による凄い混みようで、ゆっくりと観ることができなかったのですよ(涙)。ぜひCojicoさんの解説付きレポートを期待しております(^^ゞ。その時は美術館も(カラヴァッジョも)忘れずご覧になってくださいね~☆
行ってきました!14日までだったのですね。会期終了以前にこの観覧記を書いてくださり、ありがとうございます。。
ほんとうに良かったです!彼の作品はあまりにも多いので、興味を失っていたところでした。
昔感じた新鮮な感動が蘇ってきました。パリはいい作品を持っていますね。あそこは、美術館の中も雰囲気があって素敵ですしね。
あのーところで、子供の頃からの作品を所蔵しているのは、バルセロナのピカソ美術館です・・・。
明日で治るでしょう。
さて、ピカソ展持ち物チェックには驚きました!
サントリーでもやっていたとか。
海外に詳しいJuneさん、持ち物チェックって外国美術館でもかなりあるのですか?
Juneさんの今年の美術展ベストセレクトも知りたいですね。
僕はいまのところレオナールフジタがベストですね。
で、うわぁ~、すみません、あわてものの早とちりでしたっ!恥ずかしや(^^;;;>ピカソ美術館
バルセロナのピカソ美術館はずっと以前に行ったことがあるのですが、子供のころの作品の記憶が飛んでいます(汗)。ベラスケス「ラスメニーナス」のピカソ版は鮮やかに印象に残っているのですがねぇ。
最近、雑誌「Pen」のピカソ特集でバルセロナの十代作品を見て、この絵覚えていないなぁ、と自分で情けなく思っていたところでした。ああ、重ねて情けなし(涙)
で、okiさんから頂戴したチケットでピカソ展を観ました。ありがとうございました!
ピカソは今までちょっと距離を置いて観ていましたが、今回の展覧会はCojicoさんもおっしゃっていますが新鮮で面白かったです。okiさんのブログでのご感想も期待しておりますよ~☆
で、今回の手荷物チェック、日本では珍しかったですね。海外では結構多く、最近ではローマの「ベッリーニ展」やヴァティカン博物館もチェックがありました。空港と同じような厳しいマシーン・チェックで、物騒な世相も反映したセキュリティ強化なのでしょうね。
そして、今年を回顧する時期になりましたが、okiさんのベストはレエオナール・フジタですか!これは観ておかなくちゃなりませんねぇ。私のベストは...う~ん、まだ決まりません(^^ゞ。あれこれ迷いながら選ぶのもひとつの楽しみですね(笑)