スクオーラ・グランデ・ディ・サン・マルコ(Scuola Grande di San Marco, 聖マルコ大信徒会館)はサン・マルコ寺院のように異国情緒(ビザンチン風?)を纏っているように見え、ヴェネツィアらしい建築物だなぁと眺めてしまった。
https://www.scuolagrandesanmarco.it/
現在の建物は1485年の火災ののち、1488年頃にピエトロ・ロンバルディとジョヴァンニ・ヴォーラによって着工され、1490年から後を継いだマウロ・コドゥッシによって完成された。(参考:『世界の夢のルネサンス建築』)
リオ・デイ・メディカンティに面したファサードはヤコポ・サンソヴィーノによるものと言われている。玄関入口の右にはサン・マルコを象徴するライオンが。
現在は市民病院(オスペッダーレ)として使われている。多分そのためか、1階の柱台に載せられた円柱の並ぶ広間の内部撮影は警備の人から止められた。
玄関入口の左右の壁にはトゥッリオ・ロンバルドによる透視図法を利用した低浮彫(聖マルコの物語)が施されている。上階の会員大会議室に続く階段にはヴェネツィアの旗が...。
上階の大会議室(現在は展示室)には礼拝所が。現在アカデミア美術館に収蔵されているティントレット《奴隷を開放する聖マルコ》他の聖マルコの奇跡シリーズは元々この礼拝所に飾られていたようだ。
内部は年代物の医療関係の書籍や医療機器が多数展示されている。下↓は昔の解剖学の書籍。
で、驚いたことにフェッラーラのボルソ・デステとウルビーノのフェデリーコ・ダ・モンテフェルトロの所有していた美しい大版聖書(彩色写本)も展示されていたのだ!!
《ボルソ・デステの聖書》(1455-1461年)
《フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロの聖書》(1477-1478年)
更に左の入口を入ると図書室になっていて、ジェンティーレ&ジョヴァンニのベッリーニ兄弟による《アレキサンドリアでの聖マルコの説教》のレプリカが目に飛び込んできた。
要するに、ブレラ美術館やアカデミア美術館に所蔵されている絵画群は元々この部屋の壁を飾っていたものだということが了解された。まさに当時のヴェネツィア派一大饗宴とも言える威容である。
ちなみに、下↓が現在のアカデミア美術館における実物展示室である。
アカデミアの展示室では元々の図書館よりも低い位置に展示されていることがわかる。やはり「視点」の観点から見ても、オリジナルの展示位置を知ることは大切だと思うのだ。