フラーリ聖堂を観たら普通はサン・ロッコも訪ねるところだが、フラーリ内をじっくり観ていたら、サン・ロッコの方はもう閉館時間となっていた。まぁ、前回も訪れているし、ティントレットは私的に追いかけたくなる画家でもないということで、ヴェネツィアの半日教会巡りを終えた。
とうことで、翌朝はいいよアカデミア美術館(Gallerie dell'Accademia)を訪れたのだった。既に展覧会込みの日時指定オンライン・チケットをGetしていたが、勢いで早めに着いてしまい、どうしようと思ったら、全然問題なく入場OKだった。上階(2階)への階段を示されたので、常設展示からの鑑賞となった。(後から失敗だったなぁと思ったのだけどね)
ちなみに、日本語イヤホンガイドを借りることにしたが、いやぁ、機種も変わり(小さなタブレットに変わっていた!)、解説内容も前回よりもずいぶん進化していて驚いた。しかし、使っているうちに不具合発生!機械を替えてもらったが、そこのところは、やはり?かも。
久々のアカデミアは、なんだか展示空間や展示順が以前と少々異なっているように思われたが、まずは、ヴェネツィアのゴシック絵画から始まり、次は、横の展示室のティツィアーノだった。
アカデミア美術館は旧サンタ・マリア・デッラ・カリタ同心会館の建物を利用しているが、ティツィアーノ《聖母の神殿奉献》はそのカリタ同心会にあったもので、修復を経て当時と同じ場所(展示室)に展示されているのだ。
ティツィアーノ《聖母の神殿奉献》(1534-1538年)
マリアを見つめる父ヨアキムと母アンナ。アンナが麗しく描かれている。
カリタ同心会の会員たち。ティツィアーノの人物描写の上手さが際立つ。
しかし、アカデミアでの私的お目当てはやはりベッリーニ《サン・ジョッベ祭壇画》である。初めて観た時に一目ぼれしたのだった。
ジョヴァンニ・ベッリーニ《サン・ジョッベ祭壇画》(1487年頃)
教会の祭壇画設置空間と同化するような遠近法が導入されているように見える。聖母の玉座の頭部を覆うビザンツ風金色モザイクの煌めきも聖なる空間を神々しく構成しているように思われる。何よりも聖母の透明な美しさと、聖人たちの群像構成、楽奏天使たちの自然さと、私には全てが美しい調和に満ちているように思えるのだ。
「1485年のペストの発生に触発されたこの聖会話の絵画は、ベッリーニにとって初めて絵画の周囲の教会建築に合わせ、その場で創案されたという点で独自のものであり、当時最大の聖会話の絵画の1つであった。」(Wikiediaより)
ちなみに、日本語のWikipediaが充実の内容で(英版の翻訳?)、私もとても勉強になったので引用します!
「この祭壇画は、ベッリーニによってヴェネツィアに最初に導入され、アントネッロ・ダ・メッシーナの影響を強く受けた技法である単一祭壇画(多翼でない祭壇画)の一例である。」(Wikiediaより)
要するに、「Polittico」から「Pala」へ、ということなのよね。移り変わる時代の要請ということなのかなぁ?
「ベッリーニの聖母子画の中で、玉座の隣に聖人の全身像を描いているものは非常に少ない。『サン・ジョッベ祭壇画』は、『フラーリ三連祭壇画』、『プリウリ祭壇画』、そして『サン・ザッカーリア祭壇画』とともにこの特質を共有している。」(Wikipediaより)
ふふ、幸運なことに4点全部実見している(^^)v。ちなみに《プリウリ祭壇画》はデュッセルドルフのクンストパレストに、他の3点の祭壇画はヴェネツィアにある。