花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

国立新美術館 建築ツァー(2)

2006-10-22 23:45:20 | 建築
建築ツァーは2D展示室の右奥からいよいよバックヤードに向かった。扉を開けるとメタリックな光沢がまぶしい大きなエレベーターが並んでおり、私たちもこの中に乗り込み地下1階に下りて行く。展示作品の搬入ルートを遡る=搬出ルートを辿る。

   


地階にはたくさんの大きな搬送用カートが並んでいた。このカートに絵画を並べて運ぶのだろう。その搬入・搬出用の駐車場に向かう途中に、なんと「審査室」に案内された(・.・;)

   
  

『国立新美術館』は“THE NATIONAL ART CENTER , TOKYO”であり、“NATIONAL GALLERY”ではない。コレクションを持たず、国内最大級の展示スペースを生かした多彩な展覧会の開催、美術に関する情報や資料の収集・公開・提供、教育普及など、アートセンターとしての役割を果たす、新しいタイプの美術館とのこと。

結局、美術団体等に会場を貸したり、年に何回か自主企画展を行うと言うことらしい。ということは、この「審査室」というのは美術団体が主催する公募展用の審査室?!
審査室内は教室のように前には絵画を展示できるボードがあり、その作品を審査する人々の座る席が設置されていた。

まぁ、私的感想を言わせてもらえば、なんとも釈然としない美術館だと思う。国民の税金を使った美術館だが、美術団体に所属しないアーティストも利用できる開かれた美術館なのだろうか?多分、パリのグラン・パレやミラノのパラッツォ・レアーレをイメージするような展覧会場にするつもりなのだろうけど、これって美術館と呼べるものなのだろうか?そうか、だからこそ「アートセンター」なのか…と合点(^^;;;

さて、脇道から戻りバックヤードのルートは駐車場へと続く。なんとも広い駐車場である。搬入・搬出用に作品を降ろしたり上げたりできる四角い灰色のジャッキが自動制御で上下できるようになっている。さすがに便利な機能満載の新しい美術館だと感心した。

   


次に、地階のバックヤードスペースから、地階フロアのホールに向かった。このホールにはミュージアム・ショップやカフェが設けられる。ショップをチェックするのは美術館めぐりの楽しみのひとつだし、オリジナルグッズも期待できそうで要チェックかも♪

   


で、ツァーはエスカレーターで1階ホールへと戻った。が、ここで解散ではない。円錐エントランスを出て、正面の大きな円盤のような屋根を持った円柱形の建物に向かった。さて、これは何? 答えは傘立てだった!う~ん、やられた気分(笑)

   


ということで、最新の設備と機能を持った国立新美術館「ザ・ナショナルアートセンター・トウキョウ」の建築ツァーは解散となったのだった。ちなみに国立新美術館のロゴは佐藤可士和氏によるもの。




それにしても、多くの公立美術館が予算が無くて困っているのに、ずいぶん贅沢な美術館ができたものだと思う。いや、その贅沢とは建物についてだけであり、コレクションが無いというのも、やはりソフト面にお金を出し渋る行政の箱物志向の一面を見たような気もした(^^;;;


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8 コメント

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「美術館」というよりは… (千露)
2006-10-27 20:18:47
巨大な「催事場」といった雰囲気の建物ですね。

新国立美術館はコレクションなしで、企画展及び会場貸し出し専門の美術館(?)になるのですね。



一方大阪では近代美術館のコレクションは揃っているのに建物ができていないという事態になっているようです。



箱があって中身がないのと、中身はあるのに入れる箱が揃わないのとどちらがいいのでしょうね。
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千露さん (花耀亭)
2006-10-29 01:01:12
おお、大阪近代美術館が予算不足で建物がまだできない状態だとは...皮肉な話ですねぇ(・・;)



>箱があって中身がないのと、中身はあるのに入れる箱が揃わないのとどちらがいいのでしょうね。



う~ん、両方揃っているものが「美術館」だのだと思うのですが...。でも、コレクションさえあれば他の美術館や会場で「大阪近代美術館コレクション展」が開催可能ですよね。

美術館はまず展示する作品がなくては始まらないように思うのです。建物があって作品が無い美術館は、やはりアートセンターなのかもしれません(^^;;;

で、千露さんはどちらがいいと思われますか?
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箱か中身か (oki)
2006-11-16 21:54:30
Juneさんのブログはお人柄を反映してコメントがすごいですね、コメントが少ないここにぼくはコメントしよう/笑。
箱か中身かといったら、それは中身があることが大前提ですね、ちょうど芸大美術館のカタログにそれにふれたのがあります。
「1980年代以降に開館したミュージアムとりわけ、美術館の多くは政治行政主導で最初にハードの建設が決定し、箱のためには中身が必要で、コレクションの管理や公開には学芸員が必要というきわめて不自然な経緯で早急に設立された。このために他館に誇れる個性的な基幹コレクションを持たない類型的なミュージアムが多く、企画展や教育普及事業などで相互に無意味な競合をする喜悲劇を演じる結果になってしまった」
どの美術館も客の奪い合いということですね。
僕のみるところこの新美術館も東京都美術館と同じように大新聞社やテレビ局の主催でもっていく結果になるように思われますね。

さてさてJuneさん、もうすぐお誕生日ですね。
僕は一足早く迎えましたよー不惑の年が近づけりと。
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okiさん (花耀亭)
2006-11-17 02:20:52
遅ればせながら、お誕生日おめでとうございます!ヽ(^o^)丿
既に不惑超えした先輩として言わせてもらえば、okiさんがまだまだ若くて羨ましいです(笑)

>箱か中身かといったら、それは中身があることが大前提ですね

やはりokiさんもそう思われますか。あの立派な建物に借り物ゆえに近寄れないような絵を並べ人を集めるんでしょうかねぇ?(^^;;;

先月末から日本経済新聞で日本各地の美術館の現状をレポートする記事が連載されていました。予算を削られながらも奮闘努力している美術館側の取り組みを知るにつけても、その一方的努力だけに依存する行政側って何か努力しているのだろうか?と思いますね。
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中身はあっても (oki)
2006-11-18 23:18:10
美術館は立地条件にも左右されますね。
いい中身があっても川崎市市民ミュージアムなる川崎からバスで40分もかかる美術館は相当工夫しないとお客さんが来ない。
この美術館は新館長を迎え、館長への提言なんてネットでもはじめました。
練馬区立美術館も中村橋と変なところにありますが、ここはカタログを丸善においていて営業努力はしている、Juneさんもごらんになられたことおありでしょう。
一般書籍ではないカタログが本屋で売っているのを。

さて、人生の先輩ですか、Juneさんは!
じゃちょっと美術を極めるには外国旅行も必要でしょうが英語、ドイツ語に加えて何ヶ国語くらいマスターする必要がありますかね、先輩!
それとも英会話がある程度できればイタリアでもどこでも大丈夫なものなのでしょうか?
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okiさん (花耀亭)
2006-11-20 00:25:25
確かにアクセスが悪い美術館はなかなか行けませんよね。
で、今川崎ミュージアムのサイトをチェックしてみたのですが、館長への提言は面白かったですね!山田氏の言う目玉って大切だなぁ。やはり観たい絵があればバスでも電車でも飛行機でも行っちゃいますし(笑)。それで一日居て気持ちよい美術館だったり、美味しいレストランが併設されていたらリピーターになりますしね♪
練馬のカタログは残念ながら書店で気がつかなかったですが、美術館も営業努力の時代ですよね。ISBNが無くてもカタログは書店で扱って欲しいです。ちなみに、国立新美術館にはカタログ・ライブラリーができるそうです。

さて、人生の後輩のokiさん(笑)、海外は英語だけでなんとか行けるものです。横文字苦手の私でもブロークンで一人旅できてますから(^^ゞ
okiさん、海外にも渋い美術館はたくさんありますよ(^_-)-☆
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やはりという感じー (oki)
2006-11-28 22:12:46
今日チラシをもらってきましたが、新美術館朝日主催の「異邦人のパリ」に続く第二弾は読売主催、オルセー共催の「モネ」ですか4/7-7/2
やはり大新聞社の集客に期待するしかないのかなー六本木では維持費も大変でしょうしね。
Juneさんはぜひチケット新聞屋からもらってくださいな。
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okiさん (花耀亭)
2006-11-28 23:58:45
やはり、でしたね(^^;;
新聞社主催のポンピドーやオルセーからの借り出し展覧会がつづくとは...。日本人のモネ好き便乗商法?と邪推してしまいそうです(^^ゞ。東京都美術館とあまり違いが見られませんね。国立であるし、学芸員も置くからには、ぜひ独自の視点での企画展を開催してほしいです。
さて、チケットは私もぜひGETしたいです(笑)。某新聞販売店さんから無事入手できるでしょうか?
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