このところの「StayAtHome/iostoacasa」状態で、Amazonぽちとな、が続いている。
ということで、文庫本になった原田マハ「デトロイト美術館の奇跡」を読んだ。
実はノンフィクションだと勘違いして注文したのだが、いざ読んでみたら「事実をもとにしたフィクション」だった。
「デトロイト美術館は1885年に開館。2013年、デトロイト財政破綻の影響で所蔵品の売却が検討されたが、市民や国内外の支援によって売却されなかった。」(Wikipedia)
物語は、デトロイト美術館(DIA)所蔵のセザンヌ《マダム・セザンヌ》を中心に、この絵を愛するデトロイト市民夫婦、この絵の旧所蔵者であったタナヒル、そして、この絵の専門家であるDIAアシスタント・キュレーターの物語を通し、デトロイト市財政破綻に伴うDIAコレクション売却要請に直面した危機と、その奇跡的なDIA存続への過程を描いている。
読後の感想としては、事実部分は別として、いかにもアメリカン・ドラマ調(出来過ぎの人物設定と展開)に、いささか甘ったるさを感じたものの、私的にはその奇跡の過程を知りたかったので、それはそれで目的は果たせたと言える。
ちなみに、2016年に上野の森美術館で開催された「デトロイト美術館展」には、この狂言回し的(?)な《マダム・セザンヌ》も来日展示されていた。
ポール・セザンヌ《マダム・セザンヌ》(1886年頃)デトロイト美術館
この夫人像を観ていても、セザンヌの色彩感覚は素晴らしく、やはりフランス人だよなぁと思ってしまう。
デトロイト美術館展で一度来日したことがあったような気がします。。記憶がいいかげん。。。
背景にブリュージュのなつかしい 聖救世主聖堂、聖母教会がえがかれていますが、ブリュージュの実景ではなく川沿いの風景になっています。なんか再構成された風景ですね。ブリューゲル的ともいえましょう。
デトロイト市が破産状態になったのは、ノーベル経済学賞のステグリッツ教授がいうように、株主資本主義・グローバル化によって
米国内製造業を衰退させたウオール街が元凶です。まあ中国の富裕化と先進国中間層の没落の結果なんですね。
デトロイト美術館にはファン・エイク《書斎の聖ヒエロニムス》だけでなく、こんなな優美な作品もあったのですねぇ。来日時にご覧になれたとはラッキーでしたね♪
で、2007年にデトロイトを訪ねた時には既に街は寂れた姿を見せていました。財政破綻の原因は資本主義のグローバル化によるものなのでしょうが、特に自動車産業の中心地には直撃だったことが了解できます。