「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

北側の悲劇(5)

2007-08-28 13:57:04 | 建築外観・構造


私の提案は以下の通り。
『通りに向けて家を建てよう!』
『南至上主義を捨てよう!』
である。

この提案を優れていると私が考える理由は
以下の通り。

●日本の住宅街も街並みをそろそろ考える
べきだ。自分の家だけでなく、それが周囲の
中でどう溶け合うか、周囲全体の街並みが
外から見て楽しいかどうかを考慮して家を
建てるべきだろう。北側の悲劇を繰り返す
のはそろそろ止めよう。敷地が道路に対して
どの方向にあろうとも、建物は道路に向いて
最も良い形を示すように建てるべき。そうで
ないと日本の街並みはいつまで経ってもpoor
なままである。

●日本の多くの地域は、もはや熱帯雨林気候
並みの高温多湿である。そんなところで
わざわざ室内を暑くする家を建てる必要はな
い。どんな敷地であれ、道路付きであれ、
面積であれ、建物を北いっぱいに寄せて、かつ
建物の南側に精一杯の開口部を設けるなどと
いう日本の多くの人が行うことは、もはや避
けるべき。日本よりはるかに緯度の高い寒冷な国
の人々だって、そんなことはしないのだ。
「南にデカイ窓を並べる」ことを至上の建築哲学
とする国などない。ましてやこの温暖化である。
そんなに室内を暖めてどうするのだろう?南面
全面開口部ということをやっても良いと思われ
る建物は、↓で紹介した桂離宮のような建物
くらいである。居室の外には廊下や縁側があり、
なおかつそれらを覆ってその先さらに1mは伸びる
軒があるような家だけだ。直射日光が家の中に
一日中差し込むようなことは弊害ですらある。

英国関係エッセイで知られる林望先生のご自宅の
敷地は北側に道路があって、建物は精一杯南側に
寄せて北向きに全体を見せる家を建てたという。
北面の玄関を入る時、涼しくて良いともいう。

「これ!」である。皆、これを考えるべきだ。
これを皆がすれば、北道路の並びもキレイに見える
ことと思う。電柱、電線、新建材、統一感のない
デザイン、originがどこだかわからないが明らか
に日本風のスタイルで雑然とした日本の住宅街
の風景のネガティブな面が少しは減る。

コメント (1)
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北側の悲劇(4)

2007-08-28 06:53:08 | 建築外観・構造


すでに挙げた二つの弊害のうちのふたつめは・・・
「家の中が暑い」である。これは北側の悲劇、
というよりも南至上主義が生む南側の喜劇と
言うべきか。

家の中でとにかく南側を重視する。したがって
北側はキッチンやトイレ、風呂、便所、階段
など自分が「重要」とは思わない部分を集中させ
る。それが「北側の悲劇」を生む。

一方「リビング・ルームは南に」で南至上主義を
謳歌する。リビング・ルームは家の中で最も重要
なところ、という考えはかなり支配的なもので、
その考えは家の形状、敷地の状況とは無関係に
貫徹される。その結果、リビング・ルームが南の
中心的位置に鎮座することが多くなる。

しかも、そこには履き出しの大きな窓が設置
されることが多い。リビング・ルームに限らず
「南側にはとにかく大きな窓がたくさん欲しい」
が施主の希望として出されることが多い。「光が
燦燦と輝く明るいリビング・ルーム」を希望する
施主が多いのである。大きな窓を開ければ柱を
除いて壁全体が開口部となるようなつくりは
高温多湿の日本の家ではひとつの理想である。
桂離宮のような家と言えようか。

しかし桂離宮のような古い建物では、居室に床まで
ある開口部を設ける場合、その外に廊下や縁側が
作ってある。そしてその廊下や縁側を上から覆って、
かつさらにその先に1m近く外に突き出た長い軒が
あり、居室の壁から計れば合計2mくらい外に向か
って軒が出ている。それが居室や廊下を風雨や
日光から守るのである。したがって、居室に雨が
降り込むこともなければ、直射日光が居室の床を
焦がすこともない。居室から外を見ると明るいが、
外から居室の奥を見ると、別段明るくはないので
ある。

今の家にこうした長い軒を見かけることは稀で
ある。最近の洋風の総2階の建物になると、
もはや箱のようで、2階までまっすぐ壁が立ち上がり、
その上に軒が小さい屋根が乗るだけだ。

そんな家で床に届く履き出し窓や大きな
開口部をやたらと作るとどうなるか。居室の床、
特に履き出し窓に近い部分は日の出から日没まで
直射日光にさらされ熱を持つ。フローリングは
反り返り、畳は焼ける。雨が降ると室内に降り
込むので、窓は開けていられない。夏ならエア
コンを稼動させないと室内が暑くなる。こうした
家では「開口部が大きいこと=涼しい」とは
ならないのである。

世は温暖化。これからますます暑くなりそうだ。
家を新たに建てる必要があるのなら、夏に
エネルギーの消費を抑制しつつ、いかに涼しく
過ごすことが出来るか、ということを
考えつつ、家づくりをする必要があろう。
コメント (6)
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