ここ20~30年に開発された大規模分譲地は徐々にその手法に改善がみられ、景観をよく考えてマスタープランが作られるようになって来た。一方我が住宅街のつくりはハッキリ申し上げて悪い。戦後になって土地の買収を進め、昭和30年代に大土木工事を敢行してこの住宅街は造成された。当時「七里ガ浜の高台は跡形もない」との批判があったが、それをものともせず山をズタズタに切り崩して開発したわけだから、それならいっそのこと、もっときれいに道路や並木や歩道を整備し、家の並び方を考えてつくれば良さそうなものだったのに。
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住宅街内の道路は直線ばかりだ。七高通り(鎌倉プリンスホテル前の通り)ですら、ご覧のとおり直線である。坂道になっていて、上と下ではものすごい高低差がある場所なのだが、それを単純に直線で結んでしまっている。しかも下は踏切である。踏切の下は国道134号線だ。さらにその向うは海なのだが、それらに向かって住宅街から一気に突き刺さる感じで降りる。エンジンブレーキを効かせてクルマで降りる時など、若干危険を感じる。私が当時の開発担当者なら、もっとこの坂道をグニャグニャと曲げたデザインにして勾配を緩くしたことだろう。
話は変わる。英国ではロンドン市内だって地方都市だって田舎の村だって、緩やかに道が曲がっているところが多い。まれに英国で「やたらまっすぐな道だなぁ」と思って地図を調べると、たいていは昔ローマ人が作った道である。武田信玄の「棒道」と同じで、軍事が優先すると道は直線化するようである。我が住宅街の開発担当者も軍人並みの発想をしていたのであろうか。誠に残念なことである。
英国の開発分譲地のマスタープランが下の画像である。Welwyn Garden Cityと呼ばれる街だ。英国では19世紀の終わりから、こうした新興分譲地が開発されて来た。Welwyn Garden Cityは比較的新しいところで、1920年に完工したらしい。画像が小さいのでわかりにくいかもしれないが、よくウネウネと道を曲げてある。道を曲げることにより緩やかに閉じた空間を演出し、近隣の小さなコミュニティーとしての一体感、安心感、静寂を演出する。またそこを歩く人の視線の先を常に住宅が受けるように出来るし、道路を歩く人の視界に連続的に新しい光景が現れ変化が楽しめる仕組みになっている。
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Welwyn Graden Cityに代表される開発地の概念は日本でも昔から知られていたらしく、あの田園調布が開発されるにあたり、いろいろと参考にされたらしい。Garden Cityという言葉は「庭園都市」と訳してはピンと来ないと思われたらしく、「田園都市」という訳語が定着する。田園調布や田園都市線の「田園」がそれである。Welwyn Garden Cityには私も一度行ったことがあるが、とても美しくプランニングされていた。広い車道や歩道が完備され、醜悪な電柱や電線はない。
日本の住宅街では建物のデザインと建物の道路からの距離の取り方を見ると、磁石などなくとも方角がわかってしまう。同じ道路を挟んだ北側と南側で、建物の建て方(建物のデザイン、道路・建物間の距離)が一変するからだ。しかし彼の国ではWelwyn Garden Cityに限らず、方角とは無関係に必ず道路の方向に建物が最も美しく見えるように建てられているし、かつ方角とは無関係に各戸が道路までに一律の距離を設けて綺麗に並ぶ。状況に拘わらず南側は余裕があるが北側は境界線ギリギリに建物が迫りがちで、例え道路に面していても建物の北側のデザインはなおざりにされがち、という日本のような事態は見られないのだ。
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話をもとに戻す。我が住宅街にも数は少ないが緩やかなカーブがある。上の画像は七小通りである。道路は2車線で両側に歩道もあり並木まであって穏やかに右に湾曲している。この住宅街の中ではかなり外見の良い通りである。今のところ、この通りに沿って目立った敷地分割等住民協定破りは見られない。昨年度から持ち越された住民協定あるいは地区計画の問題は今年度も大きく進展はしていない。アンケートが実施されたが、その回答率は低く回収が遅れ、自治会からは結果の報告も未だないまま今年度もまた終了しようとしている。この七小通り沿いの区画で敷地分割による売買が行われた場合、その位置によってはクルマ等の出入りのために並木を切るという事態もありうるのだろうか。そうなったら、いよいよ終わりという感じがする。
私は協定を尊重したいと考えているし、地区計画が制定されるとするならそれに賛成する。アンケートにも長々とそうした意見を書いた。私の長文を受け取った自治会理事は困惑されたかもしれない。
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住宅街内の道路は直線ばかりだ。七高通り(鎌倉プリンスホテル前の通り)ですら、ご覧のとおり直線である。坂道になっていて、上と下ではものすごい高低差がある場所なのだが、それを単純に直線で結んでしまっている。しかも下は踏切である。踏切の下は国道134号線だ。さらにその向うは海なのだが、それらに向かって住宅街から一気に突き刺さる感じで降りる。エンジンブレーキを効かせてクルマで降りる時など、若干危険を感じる。私が当時の開発担当者なら、もっとこの坂道をグニャグニャと曲げたデザインにして勾配を緩くしたことだろう。
話は変わる。英国ではロンドン市内だって地方都市だって田舎の村だって、緩やかに道が曲がっているところが多い。まれに英国で「やたらまっすぐな道だなぁ」と思って地図を調べると、たいていは昔ローマ人が作った道である。武田信玄の「棒道」と同じで、軍事が優先すると道は直線化するようである。我が住宅街の開発担当者も軍人並みの発想をしていたのであろうか。誠に残念なことである。
英国の開発分譲地のマスタープランが下の画像である。Welwyn Garden Cityと呼ばれる街だ。英国では19世紀の終わりから、こうした新興分譲地が開発されて来た。Welwyn Garden Cityは比較的新しいところで、1920年に完工したらしい。画像が小さいのでわかりにくいかもしれないが、よくウネウネと道を曲げてある。道を曲げることにより緩やかに閉じた空間を演出し、近隣の小さなコミュニティーとしての一体感、安心感、静寂を演出する。またそこを歩く人の視線の先を常に住宅が受けるように出来るし、道路を歩く人の視界に連続的に新しい光景が現れ変化が楽しめる仕組みになっている。
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Welwyn Graden Cityに代表される開発地の概念は日本でも昔から知られていたらしく、あの田園調布が開発されるにあたり、いろいろと参考にされたらしい。Garden Cityという言葉は「庭園都市」と訳してはピンと来ないと思われたらしく、「田園都市」という訳語が定着する。田園調布や田園都市線の「田園」がそれである。Welwyn Garden Cityには私も一度行ったことがあるが、とても美しくプランニングされていた。広い車道や歩道が完備され、醜悪な電柱や電線はない。
日本の住宅街では建物のデザインと建物の道路からの距離の取り方を見ると、磁石などなくとも方角がわかってしまう。同じ道路を挟んだ北側と南側で、建物の建て方(建物のデザイン、道路・建物間の距離)が一変するからだ。しかし彼の国ではWelwyn Garden Cityに限らず、方角とは無関係に必ず道路の方向に建物が最も美しく見えるように建てられているし、かつ方角とは無関係に各戸が道路までに一律の距離を設けて綺麗に並ぶ。状況に拘わらず南側は余裕があるが北側は境界線ギリギリに建物が迫りがちで、例え道路に面していても建物の北側のデザインはなおざりにされがち、という日本のような事態は見られないのだ。
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話をもとに戻す。我が住宅街にも数は少ないが緩やかなカーブがある。上の画像は七小通りである。道路は2車線で両側に歩道もあり並木まであって穏やかに右に湾曲している。この住宅街の中ではかなり外見の良い通りである。今のところ、この通りに沿って目立った敷地分割等住民協定破りは見られない。昨年度から持ち越された住民協定あるいは地区計画の問題は今年度も大きく進展はしていない。アンケートが実施されたが、その回答率は低く回収が遅れ、自治会からは結果の報告も未だないまま今年度もまた終了しようとしている。この七小通り沿いの区画で敷地分割による売買が行われた場合、その位置によってはクルマ等の出入りのために並木を切るという事態もありうるのだろうか。そうなったら、いよいよ終わりという感じがする。
私は協定を尊重したいと考えているし、地区計画が制定されるとするならそれに賛成する。アンケートにも長々とそうした意見を書いた。私の長文を受け取った自治会理事は困惑されたかもしれない。