Reflections

時のかけらたち

日日是好日 ・・・ Every day is a good day

2018-11-10 08:37:43 | movie
Every day is a good day, if you realize the most genuine way of living is
transcending earthly desires and living in this world as a part of the universe.




樹木希林さんの遺言のような映画でした。
演じているという感じがほとんどなく、自然に彼女から出てきたような
台詞でした。




主役の黒木華は若手の中ではダントツの女優さんで、何年か前に朝ドラのどこにでもいる
女の子を演じて印象的だったけれど、めきめきと頭角を現してきましたね。
ディアハンターでどこにでもいるめだたない女の子を演じたメリル・ストリープのようです。





黒木華と樹木希林が自然に話しているようでした。すでに死を覚悟している樹木希林が
放つ台詞は真実味を帯びていました。

人生たった1回きり 一期一会 どんなに同じ人が出席しても同じお茶事はない。
今日一日を素直に大事に生きようと 今日と言う日は二度とない。
人生で同じ日はない。




私、最近思うんですよ。こうして毎年、同じことができることが幸せなんだって
"こんなふうに何でもないことを、毎年同じことができるということが本当に幸せなんですね”

「頭で考えないで自分の手を信じなさい」

「始めに形を作っておいて、後から心が入るもの」

「五感を使って全身でその瞬間を味わう」


原作者森下典子さんはほぼ同時代人でお茶を習い始めたのも私も同じころ。
同じような古い家で蹲が庭にあって、まるで私の若いころと同じ。
美味しいお菓子が食べたくて、映画のように友人と一緒に習い始めた
若い日々。二度と手が届かない若かったころの姿がまばゆかったです。
友人が先に結婚して、私一人が残ったのも、10歳くらいの頃「道」を見たのも
同じです。もう少し大きくなってから見たとき大きな感動を得たのも同じです。

表千家だったので、お点前も懐かしく、先生があんなふうに教えて
下さったのだと思い出します。お茶の先生の看板はかけていなかったけれど
祖母の友人のすてきな先生でした。
映画と同じような古い日本家屋の茶室でもてなすようにお茶を教えてくれました。
お菓子は今はお店がなくなってしまった梅花亭、季節の掛け軸、お花、そして湯気が立ち、
お湯の煮えたぎる音、つくばいの水の音・・・あの時が甦ってきます。細かい決め事は
もう忘れてしまったなと炭点前とか見ながら少し思い出しました。
私の人生の師でもあった細野先生。機織りの鈴木道先生。お二人は普通の主婦でした。
油絵の古茂田美津子先生、織物はその後林辺正子さんという芸術家に巡り会いました。
どの方も奥深く人生そのものを教わったような気がします。
すべて子育てと仕事と引き換えにやめざるを得なかった生活です。


Nov.8  2018  Shinjuku
コメント (4)
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