碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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若手女優の競演「沼オトコと沼落ちオンナのmidnight call」

2023年09月13日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

水ドラ25

「沼オトコと沼落ちオンナのmidnight call

 〜寝不足の原因は自分にある。〜」

(テレビ東京系)

 

期待の若手女優の競演に沼りそうな、

深夜のオアシス

 

水ドラ25「沼オトコと沼落ちオンナのmidnightcall〜寝不足の原因は自分にある。〜」(テレビ東京系)は、いわゆる連続ドラマではない。

30分の連作短編が並ぶ、オムニバス形式だ。

タイトルの「沼オトコ」とは一度ハマると抜け出せず、もがくほど沈む底なし沼のような男を指す。

そして、そんな男たちの魅力に沼ってしまったのが「沼落ちオンナ」だ。

第1話は「計算沼」。カメラマン助手の南祐希(杢代和人)は細かな気配りが出来る、人たらしだ。

しかし、その言動の背後には緻密な計算があった。広告プランナーの白岩夏(小西桜子)は警戒していたにも関わらず、つい祐希に魅かれていく。

第2話に登場したのは「不器用沼」だ。水元若葉(工藤遥)は、同期入社の深谷翔太郎(武藤潤)が気になる。小さなドジを繰り返す姿に母性本能をくすぐられ、放っておけないのだ。

ところが、仕事でミスをして落ち込む若葉を励ましてくれたのは翔太郎だった。実は若葉も彼と同じ不器用な人間であり、それを隠していた自分に気づく。

これは「恋愛あるある」のカタログ集のようなドラマだ。

しかも沼オトコたちはどこか爽やかで、沼落ちオンナたちも輝いている。恋愛という沼は「ハマった本人がシアワセならそれでいいのだ」とさえ思わせる。

小西や工藤といった期待の若手女優の競演に沼りそうな、深夜のオアシスだ。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2023.09.12)