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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

祝!Bリーグ開幕!!

2016年09月22日 | テレビ・ラジオ・メディア



ついに男子プロバスケットボールの「Bリーグ」が始まりました。

毎年、WOWOWのNBA中継のほとんどを観ている”バスケ好き一家”としては、実に嬉しいことです。

開幕第1戦は、22日夜のアルバック東京―琉球。

いわば歴史的な試合ですが、フジテレビの中継は海外では見られず、残念。

しかし、1ピリだけではありましたが(笑)、LINEがライブ配信してくれたものを、PCで見ることができました。

「Bリーグ」が始まったこと自体が、おめでたいことであり、とにかく拍手です。


祝!日ハム首位奪還!!

2016年09月22日 | 日々雑感


日ハム首位奪回 
レアード先制2ラン 大谷8回1失点 
22日にもM点灯


日本ハム2―1ソフトバンク (9月21日 ヤフオクD)

日本ハムが2―1でソフトバンクとの天王山初戦に競り勝ち、4連勝で13日以来となる首位に立った。貯金は今季最多の30に到達。22日の第2戦も勝てばマジック6、引き分けでもマジック7が点灯する。

日本ハムは2回、四球出塁の岡を一塁に置いて7番・レアードが左翼スタンド中段へ飛び込む特大38号2ランを放ち、先制。“リアル二刀流”となる「8番・投手」で先発した大谷がMAX163キロの速球を武器に8回で8三振を奪い、4安打1失点で自身初の8連勝を飾り、7月3日のソフトバンク戦(ヤフオクD)以来となる今季9勝目(4敗)を挙げた。打者としては6回に左翼線二塁打を放ったが、3三振を喫し、4打数1安打だった。

(スポニチ 2016.09.22)


やったね、日ハム。

「マジック」という文字がうれしい(笑)。

やっぱり、優勝へのカギは大谷選手の活躍ですね。

超古~いたとえだけど、「神様、仏様、大谷様」となれば、すごい。

「欅坂46」ドラマでの注目は平手友梨奈、長濱ねる、齋藤冬優花

2016年09月22日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評


日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、ドラマ「徳山大五郎を誰が殺したか?」(テレ東)を取り上げました。

「徳山大五郎を誰が殺したか?」
存在感際立つ平手友梨奈
欅坂46出演ドラマの注目ポイント

今年4月、デビュー曲「サイレントマジョリティー」で、いきなりオリコン1位を獲得した欅坂46。総帥・秋元康が手がけるアイドルグループだ。

テレビ東京はこれまで、AKB48の「マジすか学園」シリーズ、乃木坂46の「初森ベマーズ」など、積極的に“AKB系ドラマ”を制作してきた。欅坂46が出演する「徳山大五郎を誰が殺したか?」は、その最新作となる。

舞台は私立の女子高校。文化祭を目前にしたある日、生徒たちが教室で担任教師・徳山大五郎(嶋田久作、怪演)の死体を見つける。だが、驚きながらも、いったん死体を隠してしまったため、その後、窮地に追い込まれていく。

このドラマの注目ポイントは2つだ。1つは、これが殺人事件の犯人捜しを軸としたミステリーであること。映画「幕が上がる」の喜安浩平をはじめとする達者な脚本家たちのお手柄で、最終回が近くなった現在も真犯人の予測がつかない。

また第2のポイントは、結成から1年足らずの欅坂メンバーがドラマ出演という高いハードルに挑戦していることだ。こちらも本人たちの大健闘と、「ホームレス中学生」などで知られる古厩智之監督を含む演出陣のサポートで、及第点の初演技となっている。

中でも存在感が際立つ平手友梨奈(15)、独特の湿度をもつ長濱ねる、女優としての可能性を感じさせる齋藤冬優花(18)などが要チェックだ。

(日刊ゲンダイ 2016.09.21)

遥か南の島 2016 Maui Japanese Radio

2016年09月22日 | 遥か南の島 2015~16/18
ラハイナ浄土院




「Maui Japanese Radio」パーソナリティ 竹田津ゆみさん




カメレオン俳優「小日向文世」の実力

2016年09月21日 | メディアでのコメント・論評



週刊新潮で、俳優の小日向文世さんについて、解説しました。


勢力を維持して
62歳「小日向文世」上昇中

ある時は悪徳社長(フジ系「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」)、またある時は霊感の強い住職(テレ朝系「スミカスミレ」)、レレレのおじさん(日テレ「天才バカボン~家族の絆」)、大御所マンガ家(TBS系「重版出来!」)、そして総理大臣(テレ朝系「グ・ラ・メ!」)を、豊臣秀吉(NHK「真田丸」)を演じつつ、出ずっぱりなのが小日向文世だ。

太閤殿下も亡くなり、一息つく頃かと思えば、

「いえ、10月期からは日本テレビの『ラストコップ』に。また9月10日からは、舞台『ディスグレイスト 恥辱』(世田谷パブリックシアター)で主演させて頂いています。あっ、来年2月には主演映画『サバイバルファミリー』が公開・・・」(所属事務所)

小日向が引っ張りだこになったのはキムタク主演の『HERO』(01年フジ系)以降のこと。62歳ながら売れたのは21世紀に入ってからだ。それ以前は自由劇場に在籍する舞台俳優だった。

その舞台を観ていたというのは、上智大学の碓井広義教授(メディア論)だ。

「やはり生の舞台でやってきた人ですから、これだけ出続けてもすり減らない。凄みのある悪人から、神様のようないい人、朝ドラ『まれ』で見せたエキセントリックなパティシエまで、振り幅の広さは一人の役者とは思えません。脇役が多いけれど、主役を立てつつ、印象を残せる役者だから、オファーも多いのでしょう」


「グ・ラ・メ!」では主役(剛力彩芽)を食っちゃったけど、それは仕方ないか。

(週刊新潮 2016.09.22号)

遥か南の島 2016 Wailuku

2016年09月21日 | 遥か南の島 2015~16/18





The King Kamehameha Golf Club








クラブハウスの設計は、
旧帝国のホテル設計などで知られる建築家「フランク・ロイド・ライト」











「The King Kamehameha Golf Club」顧問
神崎洋さん



























迷った時、2つとも買えますか?

2016年09月20日 | 本・新聞・雑誌・活字


買い物が苦手だ。

いや、本だけは何の躊躇もなく買ってしまう。本以外のものを買うのが苦手なのだ。

特に、「買うか、買わないか」「アレとコレ、どちらにしようか」などと、迷っている状態が好きになれない。

そんな時、頭の中で、「迷ったら、二つとも買え!」という島地勝彦さん(「週刊プレイボーイ」「月刊プレーボーイ」などの元編集長)の声が響く。

お会いしたことはないけど(笑)。

島地勝彦『迷ったら、二つとも買え!~シマジ流無駄遣いのススメ』(朝日新書)は、「人生の大罪は無知と退屈」と言う著者による浪費への誘いだ。

無駄遣いはセンスを磨き、教養を高め、人脈を育み、自分の身を助ける。時計、眼鏡、洋服など豊富な浪費体験を開陳し、慈しみを持ってモノと対峙すれば、無駄遣いも「文化への投資だ」と豪語する。

著者の<買い物哲学>は以下の通り。

美しいモノを見たら迷わず買え。どちらにするかで迷ったら2つとも買え。金がなかったら借金してでも買え。ただし身の丈に合った借金で。

人生は冥土までの暇つぶし。ならば、上質な暇つぶしを!というわけだ。

本書は、根が生真面目な中高年たちへのアジ演説である。

遥か南の島 2016 Kapalua

2016年09月20日 | 遥か南の島 2015~16/18




















遥か南の島 2016 MAUI MARATHON

2016年09月19日 | 遥か南の島 2015~16/18









戸越銀座商店が、テレビから愛される「理由」

2016年09月19日 | メディアでのコメント・論評



NEWSポストセブンで、「戸越銀座商店街とテレビの関係」について解説しました。


戸越銀座商店街がTVロケで多用のワケ 
「使える率高い」評

情報番組などのロケ地としてお馴染みの、戸越銀座商店街(東京・品川区)。他にもたくさんの商店街があるのに、なぜこの戸越銀座商店街がロケで繰り返し使われているのか。

その理由を元テレビプロデューサーで上智大学教授(メディア論)の碓井広義さんはこう語る。

「簡単に言ってしまえば、『テレビが来るからテレビが来る』のでしょうね。番組作りで忙しいテレビマンたちは、一次情報を取ってくる時間がありません。そのためどこかの局の企画が一つ当たると、他もそれに追随するといった共振作用が起こりやすいのです」(碓井さん・以下、「」内同)

では、なぜ戸越銀座商店街で視聴率が取れるのか?

「最大の理由はその“商店街力”にあるといえます。戸越銀座商店街にはファッション、グルメ、雑貨など、情報番組を観る女性が好きなお店が何でも揃っていて、『戸越銀座温泉』という天然温泉まであります。ここまで来ると、もはや『小さなレジャースポット』と言っても差し支えないくらいです。ネタの引き出しが多く、視聴者の興味を引く企画を立てやすいことが、視聴率につながっているのかもしれません」


全長約1.3kmの長さを誇る戸越銀座商店街の通り沿いには、約400もの店舗が並んでいる。そこには平日でも1万人以上の人が訪れているという。「いつでも人がいる」というのは、街頭インタビューをするのに好都合だ。

おまけにテレビ局の多い港区から車ですぐに行けるという立地条件も、ロケ地に選ばれやすい理由の一つ。撮った日にそのまま流せるため、制作側の都合からいえば、「困ったときの戸越銀座」とも言える商店街だという。

ここで取れるコメントは「使える率」も高いと碓井さんは指摘する。

「戸越銀座はよその人たちが観光で押し掛けるような場所ではなく、住んでいる人たちが行き交う街なので、生活者の生の声を聞くことができます。気取った感じの人は歩いていないし、べらんめい調が聞こえてくるわけでもない。それなりに知的でセンスのある中庸な人たちが多い町なので、ほかの商店街と同じ取材量でも使えるものが多いのです。

浅草や上野が江戸情緒の残る下町だとすれば、戸越銀座は昭和っぽさの残る東京。B級グルメブームが来る前からずっと、そこには本物の庶民が味わう安くておいしいグルメがあります。定番のコロッケなんかはそうですね。私の敬愛する作家・池波正太郎さんもこの町に住んでいました。エッセイには『ブルドック』という洋食屋が何度も登場しています。そういった文化の香りを残す街でもあります」


戸越銀座商店街の公式ウェブサイトによれば、商店街の発足は昭和2年7月。全国には「銀座」の名の付く商店街が数多くあるが、その第一号は戸越銀座商店街なのだとか。それだけに“本家銀座”との関わりも深い。関東大震災後、東京都中央区の銀座では、道路のアスファルト化に伴い敷石が撤去されることになった。それならばと、戸越がその敷石を譲り受け、通りに並べていったのだという。

そんな古いエピソードもある戸越銀座商店街は、今後も人気商店街であり続けるのだろうか。

「買い物ができて、温泉があって、文化にも触れられる。戸越銀座商店街めぐりはいわば小さな旅で、永六輔さんが初代ナビゲーターを務めた『遠くへ行きたい』ならぬ『近くへ行きたい』という番組を作るなら、真っ先にここを選ぶでしょうね。最初に『商店街力』と言いましたが、それを決定づけるのは店や商品の数だけではありません。商店街の本当の主役はそこにいる皆さん。一人ひとりの魅力が商店街力につながっていて、テレビマンたちも結局はそれを見せたいのです。そこにいい人たちがいる限り、ロケ地に選ばれ続けると思います」

商店街に欠かせないのは熱いコロッケと厚い人情。ロケでどんな面白い人を見つけてきたかにも注目してみたい。

(NEWSポストセブン 2016年9月17日)

遥か南の島 2016 Lahaina Jodo Mission

2016年09月19日 | 遥か南の島 2015~16/18


















700万アクセスに感謝です!

2016年09月18日 | テレビ・ラジオ・メディア

本日、この「碓井広義ブログ」のアクセス数が、トータルで700万を超えました。

600万到達が昨年の11月でしたから、毎月平均、約10万ということになります。

ありがとうございます!

700万という数字は、なんだか大きすぎて実感はあまりないのですが、とにかく、読んでくださっている皆さんに感謝です。

個人のささやかな発信ではありますが、これからも、あれやこれやと書いていきたいと思っていますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

終盤に入った連ドラ、序盤を迎えた連ドラ

2016年09月18日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム


今期の連ドラも終盤戦に入っている。全体的に低調といわれるが、中にはスタート時と比べて、じわじわ面白くなったものもある。『せいせいするほど、愛してる』(TBS系)はそんな一本だ。

●ユルさを楽しむ不倫恋愛ドラマ
 『せいせいするほど、愛してる』


当初、有名企業の副社長(滝沢秀明、好演)と広報担当社員(武井咲)の恋愛と聞いて、ありがちな甘口のシンデレラストーリーをイメージしていた。しかし、今やすっかりドロドロ系になっていて、びっくりする。

滝沢には離婚寸前だった悪妻(木南晴夏)がいた。彼女は事故で昏睡状態だったが回復し、猛烈に武井を責めたてる。また、妻の姉(橋本マナミ)は、自らの事業資金のこともあって離婚を阻止しようと必死だ。

さらに武井の元カレ(高橋光臣)が橋本とつるんでストーカー状態。そこに武井を好きになった、ライバル社の広報マン(中村蒼)も絡んでくる。

このドラマ、展開はかなりドロドロのはずなのに、しかるべき重さや暗さがないのが特徴だ。気楽に見られるというか、笑いながら見られる不倫恋愛物なのだ。

実際、周囲の若い衆は、ドラマを見ながらSNSなどで感想を発信する“ソーシャル視聴”を楽しんでいる。ストーリーにも登場人物にも、程よいユルさ、ツッコミどころがあるからだ。

そうそう、「ティファニー」や「ジミーチュウ」といったブランドが、実名どころか、ヒロインたちの”職場”として登場しているのも特色。とはいえ、本当に会社のイメージアップになっているのか、いないのか。物語の決着と共に、ちょっと気になる。

●食ドラマにして異色の人情ドラマ
 『ヤッさん』


『ヤッさん~築地発!おいしい事件簿』(テレビ東京系)は、主人公の設定が秀逸なドラマだ。ヤッさん(伊原剛志)はホームレスだが、銀座の高級店で賄い飯をごちそうになる。また築地市場の仲買人とも対等だ。

食の知識が豊富で、料理の腕も一流。築地と銀座を結ぶ、隠れコーディネーターのような存在なのだ。IT企業から落ちこぼれ、宿無しだったタカオ(柄本佑)は、ヤッさんに拾われて弟子になった。

このドラマは、異色のホームレス2人が、築地や銀座で起こる事件を解決していく物語だ。個人の洋食店を乗っ取ろうとする悪徳外食グループと戦ったり、世代交代に悩む築地の人たちのために一役買ったりと忙しい。

人としての矜持を持ち、ホームレスという生き方を選んだヤッさん。困っている人を、「ありきたりな身の上話なんか聞きたくねえ」と言って、ある距離感を保ちながら助ける姿勢も好ましい。

確かに、「どん底に落ちた人間を救うのは人とうまいメシ」かもしれない。一見、いわゆる食ドラマを思わせるが、実は脚本も含め、丁寧に作られた人情ドラマなのである。

脇役陣も2人をしっかり支えている。ヤッさんを応援するそば屋の主人(里見浩太朗)、ヤッさんを慕う韓国料理店主(板谷由夏)、そば職人を目指す女子高生(堀北真希に似た山本舞香)など、それぞれに適役だ。

●変則スタートの”昭和テースト”刑事ドラマ
 『ラストコップ』


突然、元気な刑事ドラマが始まった。唐沢寿明と窪田正孝の『ラストコップ episode0(ゼロ)』(日本テレビ系)だ。

もともとはhuluで配信されたオリジナルドラマだが、10月から地上波で放送することになった。そこで9月中にエピソード・ゼロと称する3回分を流し始めたのだ。いわば“前哨戦”であり、壮大な“予告編”でもある。

30年前の事件で昏睡状態に陥っていた横浜中央署の刑事・京極浩介(唐沢)が、長い眠りから覚めて、”職場復帰”した。コンビを組まされたのは、年齢もタイプも異なる望月亮太(窪田)。まずは2人のボケとツッコミが、このドラマの見どころのひとつだ。

とはいえ、最大のウリは“昭和の刑事(デカ)”京極の破天荒ぶりだろう。まったく周囲の空気を読まない言動。暴走ともいえる強引な捜査。連発される親父ギャグ。結構困ったオッサンだが、きっちり結果を出す男だ。

唐沢は、朝ドラ「とと姉ちゃん」の天才編集者・花山とは真逆のコミカルなキャラクターを喜々として演じている。

また、京極の妻(和久井映見)が後輩刑事(宮川一朗太)と再婚していたり、一人娘(佐々木希)は京極が実の父親だと知らなかったり(すぐにバレたけど)、捜査以外の設定も抜かりない。

さらに脇役が豪華だ。県警本部長が小日向文世。京極と対立する警視正には藤木直人などが配されている。最近の刑事ドラマにしては珍しく、しっかりドンパチ(発砲シーン)があることを含め、幅広い層が楽しめる”『相棒』日テレ版”に化けるかもしれない1本だ。

(ヤフー!ニュース個人 2016.09.15)


ヤフー!ニュース個人の連載
「碓井広義のわからないことだらけ」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/usuihiroyoshi/

遥か南の島 2016 オアフからマウイへ

2016年09月18日 | 遥か南の島 2015~16/18








ラハイナの町に、ピカチュウ多し!




南の島なのに、パウワウ生息?




スーパーマーケットで、プリン!



作家「井上ひさし」さんのこと

2016年09月17日 | 本・新聞・雑誌・活字


本のサイト「シミルボン」に、以下のコラムを寄稿しました。
https://shimirubon.jp/columns/1674422


井上ひさしさんのこと

●選ぶ側も問われる、文学賞の選考

なんという厚さ、そして重さ。いや、そんなことより、この本の“企画”自体がすごかった。『井上ひさし全選評』(白水社)である。各種文学賞の選考委員を務めていた井上ひさしさんの、まさに「選評」だけを集めて一冊にしたのだ。

井上さんが出席した選考会は、36年間で370を超えたという。候補に残った作品たちの、何を、どう評価し、受賞作を選んだのか。

実は、受賞作を決めることは、選ぶ側もまた自身の力量や文学観・演劇観を問われることでもあり、とても難しい作業だ。たとえば、ここに集録された選評を読んでいて面白いのは、選ばれた人たちがその後どうなったかである。率直な印象を言わせてもらうなら、「新人賞は、とった後が難しい」ということだ。

キャリアを積んでいる作家が対象となる直木賞などは別だが、新人賞を与えられた人たちの名前の中には、知らないものが非常に多い。つまり、受賞後、期待通りの“活躍”が見られなかった人たちが大量にいる。

もちろん逆のケースもたくさんある。1979(昭和54)年の「オール読物新人賞」は、佐々木譲さんの『鉄騎兵、跳んだ』が受賞作だ。選評のタイトルは「脱帽するのみ」。井上さんは、それまでの選考委員活動の中で「これだけよく出来た小説が、そして豊かな将来性を窺わせる作家があったかどうか」と書いている。その後、直木賞を受賞した佐々木譲さんのデビューに関して、見事な“産婆役”となったわけだ。

新人の作品を真っ先に評価するのも大変なら、直木賞のようにプロたちを評価するのも、これまた大変な気苦労だろう。いずれにせよ、この本全体が文学・演劇の紛れもない“現代史”となっており、資料としても一級品の価値をもつのは確かだ。


●井上ひさしさんをめぐる”ご縁”

井上ひさしさんが亡くなったのは、2010年の春。75歳だった。最後にお目にかかったのはいつだったろう。記憶は定かではないが、ペンクラブか何かのパーティー会場で、ご挨拶だけさせていただいた。

そして、最初にお会いしたのは、70年代半ばの学生時代にさかのぼる。法学部在籍のまま、文学部国文科の授業ばかり取っていた頃、文章講座といった授業に、ゲストとしてお見えになった。授業を担当していたのが、当時朝日新聞の記者だった重金敦之さん(現在、文筆家)で、井上さんを招いてくださったのだ。

授業の後、井上さんを囲んで話をさせていただく機会があり、その時私は、自分が「ひょっこりひょうたん島」にどれほど感化されたかを一生懸命話したような気がする。

そして、こちらはよく覚えているが、高校生時代に井上さんの「モッキンポット師の後始末」を読んだこと、大学1年の時に「小説現代」に載ったモッキンポット・シリーズの新作を読んで、その感想を読者欄に投書。掲載されて嬉しかったことなどを話した。

私の本棚にある、当時の単行本『モッキンポット師の後始末』(講談社)。ここには、表題作をはじめ5編の連作が収録されている。

主人公の「ぼく」は、仙台の孤児院で高校までを過ごして上京。東京・四谷の「S大学文学部仏文科」に入学する。同時に「四谷二丁目のB放送の裏にある聖パウロ学生寮」で暮らし始めるのだ。

S大学のSはソフィアで、井上さんの母校であり、現在私が所属している上智大学(Sophia University)を指す。B放送は、当時は四谷にあったラジオの文化放送である。モッキンポット師(神父)も実在の神学部教授がモデルといわれている。

モッキンポット師は、「ぼく」のバイト先が「フランス座」だと聞いた時、「コメディフランセーズといえば、フランスの国立劇場や。するとあんたは、国立劇場の文芸部員・・・」といった具合に喜んでくれるような素敵な人だ(笑)。もちろんフランス座は浅草のストリップ劇場であり、後で、「ぼく」は神父からこっぴどく叱られる。

聖パウロ学生寮のオンボロ加減と住人たちの風変りぶりが、私が大学1年の時に住んでいた、日吉で一番廉価な学生下宿と酷似しており、「小説現代」に投稿した際は、そのことを書いたのだった。

そんな話をすると、井上さんは、ご自身の学生時代の貧乏話をして下さり、“日吉の下宿生活”も「それは貴重な体験ですよ。いつか書いてみるといい」と笑いながらおっしゃった。これは現在も宿題のままだ。

そうそう、その日吉の下宿で唯一テレビを持っていたのが4年生の松岡先輩で、私たちは、これぞという番組の時だけ松岡さんの部屋に押し掛けて、見せてもらっていた。

当時、フジテレビで『ボクのしあわせ』という連ドラがあり、これを毎週楽しんでいた。なんと、原作が『モッキンポット師の後始末』と『家庭口論』(中央公論新社)で、井上さんを石坂浩二さんが演じ、モッキンポット師は三谷昇さんだった。

しかも、当時は知らなかったのだが、このドラマの制作が「テレビマンユニオン」で、演出は今野勉さんや村木良彦さんたち。そしてフジテレビ側のプロデューサーが嶋田親一さんだったのだ。

テレビマンユニオンは創立からまだ3年という時期であり、私が参加させてもらって今野さんや村木さんと出会うのは、その7年後のことだ。

『ボクのしあわせ』がテレビマンユニオンの作品で、プロデュースが、もう何年も「全国広報コンクール」映像部門の審査を一緒にやらせていただいている嶋田先生だというのも、やはり何かのご縁に違いない。

「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに」。

井上さんの“創作のモットー”は、テレビ界に進んだ私にとって、番組作りの指針であり、目標だった。

井上さんには、もう一度、きちんとお会いして、しっかりお話をうかがってみたかった。そう思いながら、今も時々、井上作品のページを開く。

(シミルボン 2016.09.14)