遊びをせんとや

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ボストンの北斎

2014-06-23 07:12:41 | 美術
展覧会続きで。

先週の土曜日に最終日間近の神戸市立博物館の「北斎展」に行ってきた。

                

北斎の初期から晩年までの作品をこれだけ網羅しているのが日本ではなく、アメリカの
美術館だということが何とも複雑だ。

去年、東京三菱一号館で観た北斎より状態のいい版画だった。

北斎の風景はもとより人物、花鳥、貪欲なまでの探求心に恐れ入ったのは当たり前だが
その目の付け所がすごい。

             

やはり富岳三十六景の構図が圧倒的だが、滝シリーズも斬新で素敵だった。






                    

何気ない風景や人間の営みに暖かいまなざしを向けていた北斎らしい作品だ。

清冽な瀑布のそばの岸壁の上で弁当を広げる人々。その傍には簡易の囲炉裏が組んであり
小鍋がかかっていた。何を炊いているのだろう。きっと湯豆腐でも煮立っているのかな?
今でいうバーベキューだ。


 


きっと新緑の美しさやさわやかさに一時江戸の人たちは楽しんだのだろう。


日本の大胆な風景の切り取り方や人物のユーモラスな描き方に西欧の人たちは
驚いたのだろう。

日本のデザインの良さが明治以降は先に他国で評価され、後で日本に受け入れられるとは。
皮肉なものです。

でもこれが早くに海外に流出したために関東大震災や太平洋戦争に被害をこうむらなかったのは不幸中の幸い。
ゴッホも陶器を包んだ紙が浮世絵だったのは驚いただろう。

開館とともに入館したくさんの人ながらじっくり観てでてきたら60分待ちだった。