着付けの基本から、「裾引き」、「後見」などを楽しく指導
1月から始まった、「浅草西会館講座」も、6月のおけいこを迎えます。
この間に、関東の芸妓さんや着付け教室の先生方が、舞踊の着付けを学ぶ仲間になって頂きました。
普段の着付けと日本舞踊の着付けは、似て非なるもの。
今回は、「着付けの基本」や「裾引きの着付け」、「両角の後見結び」などを、三人の講師とともに、楽しく学んでまいります。
合理的な手法に、「目からうろこ」
これまで、日本舞踊の舞台裏の着付けは、歌舞伎と同じく男性の(衣裳方の)職場。
一般には公開されることもその必要もありませんでした。
学んでみると分かるのですが、普段の着付けにも大いに役立つ合理的な技術が数多くあります。
着付けの先生方が、「目からうろこ」とおっしゃるのは、これまでの経験では気付かなかった合理的な手法を、講座で見つけた時です。
「もっとゆっくり結んで…早過ぎてわからない」とお叱りを受けます。
それは、「普段の着せ付け」と、「舞台裏で早代わりをしたり、番組進行に追われる衣裳方」では、流れる時間が違うからだと思われます。
職人のワザは盗むもの…教えない世界
昔から、職人が自分の技を他人に教えることはありませんでした。
以前、松竹衣裳の海老沢さん(現社長)が、「つの出しは教えますが、帯の中の手の動きは教えません。」と言われていました。
先輩の手元を見て、想像力を膨らませ、盗んで覚えるのが常識の世界。
私は、京都の小林衣裳店の大先輩に、いつも着付けの現場を見せてもらっていました。
利益にもならないよそ者の私にですよ。信じられないことですが…。
邪魔にならない所で、質問なし、メモなし、イスなしは当然のこと。
舞台裏で、ただただ一日中、立ったまま、見せてもらう…
有名な大先輩の仕事を一日中見せてもらう。なんとありがたいことでしょうか。
質問したい事は山ほどありましたが、質問しなくても解答が目の前に現れるのですから、一日立っていても楽しくて…。
見せてもらったときは、目で見て盗んだ記憶を忘れないように、帰ってから必死でノートをしたものですが、結局、問題を抱えていたものだけが、記憶とワザに残されていきました。
その衣裳方も体調がが思わしくなく、数年前にリタイヤされました。
これまで盗んだもん、返してや!
先日、その方の相棒だった方と、舞台衣裳の打ち合わせでお電話をする機会がありました。
彼が笑いながら、京都弁で曰く、「いちきさん、これまで盗んだもん返してや!」。
いつかご恩返しはしたい…そう思ってはいるのですが、何せまだ未熟で。
もうしばらくお待ちを!
私たちは、何事によらずいろいろな方に教えてもらい、お世話になってお勉強させてもらいます。
その方々から盗んだものを、少しでも多くの方に学んでもらって、次世代に伝えていけたらと考えています。
浅草西会館講座は、そのためにあると思っています。
興味がおありでしたら、あなたもどうぞお越しくださいませ。
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