籠師
繊維が細く粘りがある…「真竹」が素材です
現在でも作られている「籠(かご)」。左の北斎漫画は「籠師」のようすを描いたものです。
籠を作るのに使う竹は、繊維が細く粘りのある「真竹」が一般的な素材です。(右の写真)
竹籠の種類は非常にたくさんあって、用途の広さを伺わせます。
現代は、人工の素材に押されてきていますが、一方で竹がもつ表情の素朴さと、精緻な竹組みの見事さから、用途も多様になってきているようです。
北斎漫画の職人さんは相変わらずで、肌着などは身につけていません。
年に1、2個は手元に置いておきたいものが…廣島氏
籠師を語るとき、宮崎県人としては故人となられた、全国的に有名で、廣島一夫さんが思い出されます。
宮崎県日之影町の竹細工師、「現代の名工」でもあった、故「廣島一夫さん」は、「完璧なものは作れない、ただ、年に1、2個は手元に置いておきたいものができます。」と籠師としての技の深さを語っていました。
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現代では機械化が進み、畳の造作も機械任せで、量産が出来ますが、近年まで、この漫画のような畳職人の仕事ぶりが見れました。でもこの職人さん、やっぱり裸同然ですね…。
もしかすると、今でも手作りの職人さんがいるかもしれませんね。
履き物を脱いで上がる文化
畳表の材料(イグサ)の産地は、熊本県の八代が有名です。
ところで、畳の縁(ヘリ)は、厳格に決まりがあり、現代のように自由に選べませんでした。
「履き物を脱いで座敷に上がる」という考え方は、古来の宗教観と、「畳の文化」を抜きには考えられないことです。後日また詳しく語りたいと思います。
本来は、たためるからタタミ(ゴザの事)…高貴な方が座るための御座だからゴザ(タタミの事)…わかりますか?
つまり、「畳」と「茣蓙」は、語意が逆転した言葉なのだ、というのです。
鍛冶屋
手も足も使って…
漫画は、街の鍛冶屋さんです。「
「鋤鍬師」ともいうんではないかと思います。
農機具はもちろん、何でも作っていました。
右側の職人さんは、手だけではなく、足でも鞴(ふいご)を扱っています。身体全体をつかって仕事をする…熟練の仕事師…。
鞴(ふいご)は、鉄をアメのように柔らかくするために、火の温度を高める空気を送り込む器具で、漫画の鞴は「箱鞴(はこふいご)」といいます。
タタラを踏む…の語源
刀鍛冶の製鉄は、足で踏んで空気を送る、大きな蹈鞴(たたら)と言う器具を使いました。
悔しがる時に「タタラを踏む」と言いますが、それはこの蹈鞴を踏むさまが、まるで悔しがって足で地面を踏むのに似ていることから言われだしたものです。
それにしてもこの職人さんたち裸で…鉄を打つ真っ赤な火の粉が熱くないのでしょうか。
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ガラス職人
これは「ガラス職人」の漫画です。
世界に影響を与えた日本の文化
ガラスと言えば、…歴史的に有名なフランスのガラス工芸家「ガレ」が葛飾北斎の浮世絵に感動し、ガレ自身の作家活動に大きな影響を与えたことは有名な話です。
北斎の作品に影響を受けた世界的な芸術家には、「オランダの画家…ゴッホ」や、「フランスの画家…モネ」がいます。
ゴッホなどにいたっては「耳を切った自画像」や「タンギー爺さんの肖像」の背景に芸者の浮世絵などを描き、日本の絵画文化に対する傾倒ぶりを伺わせます。
また、モネは、北斎の絵画をパクッたと揶揄されほどの日本通ですし影響を受けているようです。鎖国の中でつちかわれた、香り高く混じりっ気のない日本文化の気高さは、海外の芸術家がじつによく理解していた訳です。
海外での「和食の流行」を取り上げるまでもなく、日本文化の高い評価が、海外からの逆輸入であることに悲しい気がするのは私だけでしょうか。 話がかなり逸れてしまいました。
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漁師
上は、江戸時代の漁師の北斎漫画です。
漁業を職業にしている人を指して「漁師」と言いますが、川魚を専業とするのは、川漁師と言います。
四方を海に囲まれているわが国では、その歴史は古く、遺跡の「貝塚」などにそのさかんな漁の姿を想像することができます。
アワビや海草など、あまり海域から動けないものと、カツオやブリ、イワシなどの回遊魚などは、漁業権や税金(運上金)も区別されたりしていたようです。
ところで、右の写真は数年前に着付けた、「浦島」という日本舞踊の衣裳姿です。…玉手箱を開けると…煙が出ると同時に白髪の老人になり…瞬間的に衣裳も、赤から白に変わる…という仕掛け…も見どころの舞踊です。こういう早変りの着付けを「ぶっかえり」と言います。
北斎漫画も浦島も、「腰蓑(こしみの)」を付けています。
でも、夢を売る日本舞踊と、北斎漫画の漁師の衣裳には、かなりのギャップがあって面白いですね。
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