嬉野温泉の伝統芸能の活性化は、地域振興の源泉!
5月25日(土)12時から、「嬉野伝統芸能保存会の発会式」が開催されました。
この式典には、多くの芸者衆が花を添え、艶やかで粋な踊りを披露。
地域の名だたる名士も参加されて、大盛況の内に幕となりました。
温泉町を有する、これからの嬉野の保存会が、地域振興に果たす役割は、ことさら大切になってまいりました。
伝統芸能に磨きをかけ、嬉野にお越しいただくお客さまに、これまで以上に喜んで頂くための活動はこれから始まります。
まさに、「嬉野温泉の伝統芸能の活性化は、地域振興の源泉…」と言えるでしょう。
今後、芸者衆と自治体が一体になった取り組みに期待したいものです。
この発会式の、芸者衆の裾引きの着付けは、「きつけ塾いちき」が担当させて頂きました。
楽しくお仕事をさせて頂き、感謝しております。本当にありがとうございました。
ある名工がこんなことを。
名人といわれる職人さんが言っていた言葉が、印象に残りました。 「その道で上手くなるにはどんなことが必要か」、そんな設問だったと思います。 その職人さんは言います。 「この仕事が楽しくて大好きですね。お休みの日なんかいりません。毎日やり続けることですね。それと…わずかな違いもわかるほどの目を養うことですかね。」
同じものを見ているのに…
私も職人さんの仕事を見るのが好きです。 どの仕事でも名人はいます。 そんな職人さんの手先を見ていると、ほれぼれするほど無駄のない動きをします。
たとえば大工さんの、仕上げのカンナがけなどは、向こうが透けるほどのカンナ屑がでて、ヒノキの表面が鏡のようになります。 石工の職人さんが、岩のような石材に数本の鉄杭を打ち込むと、見事にまっすぐ割れていきます。 木材も石材も「目」があるそうで、その道のプロだけがわかるものでしょう。 同じものを見ているのに、プロの職人にはわかるのです。
ある程度は教えるが…
しかし、どの名人も初めがあってここまできました。 技術を上げるには、どの職種でも、現場で学んでいくことを通してのみ、得られます。 自分が十年かけて得られるものを、十年、二十年のベテランから学ぶのです。
歌舞伎座の着付けの名人いわく、「ある程度は教えても、肝心のところは教えない」。 だから、名人が隠している技を盗むしかないのです。 どうして盗むのかって…。 盗みたいものがあれば、見えてくるのですよ。 技を盗むためには、本当に欲しいものがあると、盗める力が備わってくるという事でしょうか。
「わかりました。これは○○○ということですよね?」といっても、盗まれた先輩は返事もしてくれませんよきっと。
技術を盗ませていただいた先輩に感謝しています。
私も舞踊の舞台裏で、ある衣裳方の着付けの名人に着付けを見せてもらいました。 普通はありえないことです。 一日中、立ったままでメモも取らず、目で技術を盗む。 言葉でなど絶対教えてくれません。「盗んでみな…」です。 もちろん質問などは出来ず、目の前で展開される着付けの表わざ・裏ワザを学びました。 いまはこの名人もリタイヤされて、お会いすることもなくなりました。
松竹衣裳の岸田先生からも多くのことを…
松竹衣裳の岸田先生から教えてもらったことも大きな出会いでした。
亡くなられる一週間前まで、お電話でご指導頂いていました。 若いときに、名女優・山田五十鈴のお付の衣裳方でしたが、山田先生のあとを追うように亡くなられました。
歌舞伎衣裳着付けの図書館がまたひとつなくなりました。
もっと早く多くのことを学んでいればと思うと残念でなりません。
技術はやっぱり盗むものだと思います。与えられたものはあまり力にならない気がします。
欲しい技術は、盗みたいほどの情熱があってこそ身に付くのではないでしょうか。
嬉野温泉の芸者衆が、11演目の舞踊で発会式をお祝い
嬉野市の、長い歴史の中で培われてきた「伝統的な芸能文化」。
この文化を発展的に継承するために、このたび、「嬉野伝統芸能保存会」を発足させることになりました。
その発会式が下記の通り行なわれます。
とき ◆ 2019年5月25日(土) 12時~
ところ ◆ 和多屋別荘 (843-0301佐賀県嬉野市嬉野町下宿乙738 0954-42-0210)
入場料金◆ 5,000円(お食事付)
「きつけ塾いちき」は、芸者衆の着付けを承っています。
この芸者衆の日本舞踊のなかで、特に裾引きの着付けを承りました。
当日は、お越し頂いた皆さまに、粋な芸者衆の踊りを楽しんで頂けるよう、衣裳方一同、全力を傾けてまいります。
会場 『和多屋別荘』