ガラス職人
これは「ガラス職人」の漫画です。
世界に影響を与えた日本の文化
ガラスと言えば、…歴史的に有名なフランスのガラス工芸家「ガレ」が葛飾北斎の浮世絵に感動し、ガレ自身の作家活動に大きな影響を与えたことは有名な話です。
北斎の作品に影響を受けた世界的な芸術家には、「オランダの画家…ゴッホ」や、「フランスの画家…モネ」がいます。
ゴッホなどにいたっては「耳を切った自画像」や「タンギー爺さんの肖像」の背景に芸者の浮世絵などを描き、日本の絵画文化に対する傾倒ぶりを伺わせます。
また、モネは、北斎の絵画をパクッたと揶揄されほどの日本通ですし影響を受けているようです。鎖国の中でつちかわれた、香り高く混じりっ気のない日本文化の気高さは、海外の芸術家がじつによく理解していた訳です。
海外での「和食の流行」を取り上げるまでもなく、日本文化の高い評価が、海外からの逆輸入であることに悲しい気がするのは私だけでしょうか。 話がかなり逸れてしまいました。
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10月5日・6日の二日間で五講座を開催
早良区の「ももち文化センター」で行なわれている、「舞踊と振袖の着付け専門特別講座」は、10月5日(水)、6日(木)の二日間開催致します。(下記、参照)
講座には、初心者の方から着付けのプロまで、お勉強にお越しになります。
当日の見学は自由です。
ご遠慮なくお越しくださいませ。
なお、お問合せは、090-4489-9745 いちき までお電話いただければ幸いです。
10月の小倉講座はお休みにさせて頂きます。
10月7日(金)は小倉講座の予定でしたが、指導講師が佐賀県の花柳流「をどりの会」(会主・花柳鶴貴三先生)の舞台裏の着付けをお受けしているために、お休みにさせて頂きます。
来月からは通常通りの講座になりますのでご了承くださいませ。
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漁師
上は、江戸時代の漁師の北斎漫画です。
漁業を職業にしている人を指して「漁師」と言いますが、川魚を専業とするのは、川漁師と言います。
四方を海に囲まれているわが国では、その歴史は古く、遺跡の「貝塚」などにそのさかんな漁の姿を想像することができます。
アワビや海草など、あまり海域から動けないものと、カツオやブリ、イワシなどの回遊魚などは、漁業権や税金(運上金)も区別されたりしていたようです。
ところで、右の写真は数年前に着付けた、「浦島」という日本舞踊の衣裳姿です。…玉手箱を開けると…煙が出ると同時に白髪の老人になり…瞬間的に衣裳も、赤から白に変わる…という仕掛け…も見どころの舞踊です。こういう早変りの着付けを「ぶっかえり」と言います。
北斎漫画も浦島も、「腰蓑(こしみの)」を付けています。
でも、夢を売る日本舞踊と、北斎漫画の漁師の衣裳には、かなりのギャップがあって面白いですね。
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按摩師
北斎漫画に出てくる「按摩師」のワンカットです。
日本の按摩と鍼灸の歴史は、「古墳時代に朝鮮半島から医療を伝えた。」とあって、奈良時代の大宝律令(701年)の中に、「医疾令」が定められました。
当時、宮内庁の中に「針博士」「針師」「按摩博士」「按摩師」を置いた。と書かれています。
江戸時代には、山瀬琢一に学んだ、「盲目の鍼灸師」杉山和一が日本独自の和管(針を刺す時に管を当てて管の中から針を刺す)を発明。
当時の江戸幕府に、視力障害者の収入源として鍼灸学校を造らせました。
やがて杉山流の勢力は全国を席巻することになります。
和一は、総検校としての地位を不動のものにし、杉山流の鍼灸学校数は全国で45ヶ所にのぼったといわれます。
按摩師や鍼灸師の名前が、◆一、 ◆一等と言われるのは、山瀬琢一や、琢一に学んだ杉山和一の名前からきているのでしょうか。
それにしても…この漫画の女性のきもの姿とかんざし…素人さんではないみたい。
下の絵は、葛飾北斎「新板大道図彙」 馬喰町
江戸時代後期(1825年作品)の按摩師の施術の様子がうかがえます。
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版元の彫師 北斎漫画の彫師
江戸時代の「出版社」「印刷屋」「書籍販売店」を一手に引き受けていた業種のことを「版元」と言います。
「版元」も、現代の週刊誌にあたる「浮世絵」や「娯楽もの」を作っていたところと、専門書などの書物を専門に作っていたところに分かれます。
色の数だけ彫る版木
例えば、北斎が描いた原画をもとに、桜の版木に絵をさかさまに貼り付け、見当(目印)を彫り、貼り付けた下絵に沿って彫りこんでいきます。
江戸時代の後半になって「多色刷りの浮世絵」が出てきますが、彫師は色の数だけ版木を彫りあげていかなければなりません。
繊細な線を彫る神経を集中する時などには、ガラスの容器に水を入れ、それに光を当てて乱反射で手元の影をなくして彫っていきます。
素晴らしい知恵だと思いませんか。
摺師の仕事
彫り終えた版木に和紙を当てて刷りこんでいく職人さんを「摺師(すりし)」といいます。
細かい線や、ボカシの技法を駆使して素晴らしい版画(浮世絵)が出来上がっていきます。
一般的には、200枚くらいが摺りあげる枚数です。
しかし評判のいい版画になると、摺りの枚数が増え、線の細かい「摺り初めの浮世絵」も線がしだいに太くなり、もう一度版木を作りなおすことになります。
同じ北斎の浮世絵でも、少し色遣いや線が違うものがあるのはそのせいです。
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油売り
北斎漫画を見ていると、江戸時代後期の確かな生活のにおいがしてきます。
江戸時代の舞踊の着付けをしている私たちにしてみれば、間違いのない時代考証が出来る訳です。
北斎という「稀有の浮世絵師」を通じて楽しく学べるのは、大変な収穫です。
油を売る…サボるの語源
この漫画は「油売り」です。
油の量を計って買い手の器に最後の一滴まで移すになかなか時間がかかって終わらない…まるで仕事をしていないように見える…俗に、サボることを指して「油を売る」と言うのは、この「油売り」の情景から言われるのです。
皆さんも「油を売る」ときはありませんか?
油売りの装いは、筒袖に股引で、腰には煙草入れ、素足に草鞋(わらじ)ですね。
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