ジャン=リュック・ナンシー先生が23日夜にお亡くなりになられた。先生についてはこのブログでも何度か話題にさせていただいたことがある(2013年9月10日、2018年1月4日など)。
私にとって、1996年にストラスブール大学への留学を受け入れてくださった恩師である。先生のご指導がなければ、翌年、私は這々の体で日本に帰っていたことだろう。実質わずか半年間ではあったが、DEAの指導教授として先生からいただいたご指南は死ぬまでけっして忘れることはない。大げさではなく、先生に出逢うことがなかったならば、フランスで哲学の勉強を続けることはなかった。
先生の哲学について語る資格は私にはない。ただ、教育者としての先生、教育においても哲学を生きていらっしゃった先生に、自分のような駄目な者も、もしかしたら学業を続けられるかも知れないという勇気を私は与えていただいた。直接いただいたご指導を通じてばかりでなく、先生の講義や講演で謦咳に接するだけでも、そこに生ける哲学を感じることができた。
これから先、自分にどれだけの時間が残されているのか、それはわからない。ただ、許されるならば、先生の学恩に報いるような仕事をせめて一つくらいは残したい。