内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

遠隔集中講義本日終了 ― 日々眼前に立ち現れてくる何気ない事どもに注意深くなること

2021-08-03 19:23:39 | 講義の余白から

 今日が遠隔集中講義本演習第5日目、つまり最終日であった。7月19日に事前ミニ演習を開始し、28日までに1コマ1時間半の事前演習を計4回、29日から今日まで(日曜日を除く)の本演習の5日間、昨日までの4日間が二コマ(3時間)ずつ、今日だけ三コマ(4時間半)、総計15コマ(22時間半)をきっちり行った(その時間数に対して給与をいただくのだから当然のことですが)。
 4コマを前倒ししたことで本演習期間の時間的負担を軽減できたのは、私にとっても学生たちにとってもよい結果をもたらしたと思う。このような臨機応変な対応がより簡単にできるのは遠隔のメリットである。事前ミニ演習でお互いに少しずつ知り合ってから、本格的な読解作業に入ることができたことで、それだけ円滑なコミュニケーションができた。
 空の思想史についても西谷啓治の哲学についても、まったく予備知識を前提せずに始めた演習であったから、『宗教とは何か』を十分読み込めたとはとても言えない。ただ、これまで読む機会がほとんどなかった日本の哲学のテキストと格闘することを通じて、学生たちの視野が少しでも広がり、物事の見方が少しでも変わり、日常の現実がこれまで以上に面白いものに思えるようになり、もっともっと日々眼前に立ち現れてくる何気ない事どもに注意深くなってくれたとすれば、演習の目的は達されたのである。