降りしきる雨の中を、朗読会を聞くために
地下鉄で日進市の会場に向かった。
友人が所属するサークルの発表の場で
花をテーマに、 宮本輝作「夜桜」、新美南吉作「花を埋める」
藤沢周平作「山桜」、白洲正子作「二人静」の4作が朗読された。
ホールで朗読を聞くのは初めてだが
舞台装置や演技、音楽などが無い中
ストーリーをドラマチックに伝えるのは
かなりの訓練がいることだろう。
ラジオ時代に育ったので
古くは徳川夢声や森繁久彌、加糖道子などの
語りにしびれたり、感動したことを思い出す。
映像全盛の時代に、語りだけで背景を連想したり
人情の機微を汲み取ることは難しい。
古典落語が廃れ、軽薄なお笑いが幅を利かせるテレビ時代に
たまには朗読を聞いて根気と集中力を養う必要がありそうだ。