以下、一気書きにつき、乱文失礼。
●入試の面接は恐ろしい。下手をすれば10分で合否が決まるんだから。
●面接のコツを教えておくと丸暗記に頼らないことである。
大学案内を暗記して述べて不合格になった生徒がいたという話を大学の先生から聞いたことがある。
暗唱のテストじゃないんだから。
●ある大学の先生は「育ち」を見ると語っていた。
大袈裟に言うと「生きざま」と言っていい。
●問題意識を持っているか、多様な価値観を持っているか、自主性と協調性を兼ね備えているかなどである。
きついよな。けれども、楽な入試で入れる大学に本当に進学したいの?
●例えば、こんな質問をした例を聞いたことがある。
①趣味は何ですか(暗記でいける)
②では、その趣味を嫌いな人はどういう人だと思いますか(想像力の有無をチェックしている)
③それでは、そのような性格の人に自分の趣味を勧めるにはどうしますか
②で実は「育ち」が試されいた。完全否定をしてしまうどころか、人格攻撃までしてしまった人間はどうしようもない。好きなものを否定されても、なお、前進できる人間性を持っていたかを試されていたのである。
自分は人として、どうあるべきかについて、深く考えておくこと。
●ちなみに修正力があるとアピールするのも良い。先の問題②で失敗した場合は③のときに「少し言いすぎました。(似ているけれどもやわらかい表現)に代えさせてください」と対応するのだ。そしてその話をしている間に③を考えるのだ。
訂正した時に笑いが起こるかもしれないが動じてはいけない。「笑われる生徒は落ちる。笑わせる生徒は受かる」という言葉がある(私が作った)。「笑わせた」と信じて先に行くのだ。
●「好きな科目は何ですか」という質問があったとしよう。
その際にロボットのように一問一答で答えるのではなく、短いエピソードをつけるのも手だ。
次の質問を封じることができるかもしれない。主導権を相手に渡し続けるのは不利である。
●例えば私の教え子はこう答えた。
「国語です。国語は私の認識をいろいろと広げてくれました。例えば漢文です。「未来」は「いまだこず」、「将来」は「まさにこんとす」と読み、「一億年後の未来」はあっても、「一億年後の将来」はないのだとわかりました」
●これくらいの量なら手短に話せるだろし、例が漢文であるところが渋い。また、単語レベルから話を広げているのも応用力が高い人物に感じられる。
●これ、実は私が覚えさせたものである。自画自賛してしまうが、なかなかの回答だと思うのである。
むろん、合格した。
●この合格した生徒は推薦入試における勇士であった。私と他の先生方の指導を受け続けたという点で「歴戦の勇者」といいたいところだが、一回も実戦を経ない人間に歴戦はふさわしくない。ここでは真剣勝負に臨む者を勇士と呼びたい。
●この生徒は一次試験で個人面接に加えて(ここで恐ろしいことに言い合いになった場面があったんだが、先の「国語」の回答で試験は続けられた)、集団面接があった。一列に並んで順番に答えていくというパターンのあれである。
●なお、この形式のテストで順番の優劣はないと思っておくこと。どこも有利で不利だ。
先に答えられると独自性はあると思うが思考する時間が短い。順番が後ろだと考える時間はあるけれども、回答にオリジナリティがでないかもしれない。
同じ回答の人がいたとしても、理由でオリジナリティを出すようにすることが大事である。
●さて、先ほどの勇士は私の言いつけをよく守った人物であった。
●それは「志望学部・志望学科などに自分が適性があるかを確認すること」である。これは小論文でもそうである。
●当然のことと思うかもしれないが、意外と難しい。その勇士(ちなみに女性であるので、以下、彼女)は文化系の学科を受けたのだが、こういう問題が出た。回答の順番は最後である。
「孤独死を防ぐ(減らす)には必要なことはなにか」
●先頭の生徒さんは利発的な方で、政府、地方公共団体のあり方を中心に述べていったらしい。それも非常にレベルが高く、後に続く生徒さんも基本、これに追随する形になった。その間、彼女が考えていたことは「ここは政策学科じゃない、文化学科だ、文化学科なんだ」の一念であった。
そして、彼女が放った言葉が「想像力を持つことだと思います」であった。
「いつどこで誰が何をしていて、その風景が想像できるようになっていると、その風景に違いがあった場合、何かが欠けていることに気がつけると思います」
これで解決できるかは置いといて、個性、適性が一番目に答えた生徒さんよりありそうで、何より意外性がある。それまでの生徒さんたちと違う内容を違う角度で言ったのだから。
●彼女は二次のプレゼン試験で採点官に「あ。あなたが想像力の方ね」と言われたそうである。それだけインパクトがあったのであろう。一次と二次では採点官が違っていたので、昨日、噂になった生徒であったろうから。
●ちなみに、本当にちなみになんだけど、二次試験のプレゼンでは「引用」をする部分があったが、孫引き(引用部分が他の資料の引用であること)であった。そこで彼女は引用を使用したあとで、「時間がなく、ただいまの引用部分の原典は確認できませんでした。申し訳ありません」と述べ、軽く頭を下げたのである。
これだけで採点官の印象は変わる。学術的発表のルールを知っている証拠なのだから。
大学生のレポートの孫引きに飽き飽きとしている大学の教官たちには嬉しいことだったにちがいない。
これも私が仕込みました。
●最後はピアノの演奏でしめ、採点官らは満足げな顔をしていたそうである。
●ここで採点官の表情を見られる彼女のゆとりに拍手である。
●ちなみに、ピアノの演奏に私は反対した(一次試験の言い合いの原因であった)が、彼女は電子ピアノを購入し、試験会場に持ち込んだのである。
ピアノの演奏ができることも文化学科にふさわしい人物とみなされたのあろう。
●以上、実際に合格した生徒さんの例である。
自分は何者であるか、また、何者であるべきかを徹底的に考え続けること。
これを守るのが面接のコツである。
<追記>
●マナーについて
たまに面接のマナーについてを気にしすぎてしまう生徒さんがいる(そればかり指導する高校もありやがる)が、よほどのマナーを違反しない限り、そこを重視しないので安心めされよ。
例えば、面接が終わり、部屋を出るときにノックをしてしまった生徒さんがいた。面接官から「退出のときはノックしなくていいんだよ」と言われ、あわてながらも素直に謝ったそうな。ドアを閉めた後、笑い声が聞こえたそうで。
むろん、合格者の例である。「笑わせた生徒」の例であるとも言えよう。
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