【実戦・直前】
傍線部に注目しよう
11 おもしろく咲きたるを見て、ある人の詠める歌。
12 おんな、たのしくせるを見ても、何とも思へらず。
13 秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれ ぬる。
14 買ひなば隠してよ。
11 趣深く咲いた(咲いている)桜を見て、ある人が詠んだ歌。
完了は明確に区別できないことがある。現代語の「た」に完了・存続・過去の意味があるため(後述)。で【サ変の未然形OR四段の已然形(~E+り)】で完了。呪文サミシイエリカ(後述)
12 女が楽しくしているのを見ても、何とも思っていない。
e+り 完了、存続。左の「る」が完了と気づけても、右の未然形の「ら」はわかりにくい。よくある誤答は自発。
13 秋が来たとはっきりと見えないが、風の音に(秋の訪れを)自然と気づかれたことだ。
【連用形+ぬ(「。」OR「と」など)=完了の「ぬ」の終止形】(参考「未然形+ぬ」は打消)
★【未然形+ね+ど・ども 未然形+ね+ば(ないので) こそ~未然形+已然形 以上の「ね」は打消の「ず」の已然形】
「おどろく」は「気づく」で心理表現なので「れ」自発)
【「ぬる」は完了の連体形。係助詞「ぞ」と係り結び】
14 買ったら隠してしまえ
【「な」完了の未然形。「てよ」完了の命令形(てしまえ)】
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【参考】
完了の助動詞「つ・ぬ・たり・り」
「り」を除いて連用形接続。
「り」の接続は厄介ものだから覚える公式は二つ
●サ変の未然形OR四段の已然形(命令形説もある)+りの「り」は完了
●「~E(エ段)+ら・り・る・れ」は完了
※呪文「さみしいえりか=サ(変)・未(然形)・四(段)・已(然形)・E+り・か(完了)
※古文には原則として可能動詞はない。「泳げる者有り」は「泳ぐことができる人がいる」ではなくて「泳いでいる人(存続)がいる」
●「つ・ぬ」は「完了・強意」
●「たり・り」は「完了・存続」
●「つ」の活用【て ・て ・つ ・つる ・つれ ・てよ】(下二段型)
※昔、生徒で「ててつ連れっててよ」と誤答した生徒がいたが気持ちはわかる
●「ぬ」の活用【な・に・ぬ・ぬる・ぬれ・ね】(ナ変型)
●「たり」の活用【たら・たり・たり・たる・たれ・たれ】(ラ変型)
●「り」の活用【ら・り・り・る・れ・れ】(ラ変型)
・完了は動作や出来事が直前に完了したことを表す。(「た・てしまった・てしまう」と訳す))
・存続は動作の後、その結果の状態が今も続いて残っていることを表す(「ている・てある」と訳す)
・強意(「きっと」「たしかに」など。訳出不要のことが多い)
ここで泣き言を言ってしまうが、完了と存続の区別は難しい。上記の説明も「完了」だから「完了」というあたりや、「ている」だから「存続」というのはずるいよね。だってさ「ている」って何? 「存続」だよって。そもそも現代語の「た」が悪い。過去(昨日、はがきが届いた)・完了(今、チョコレートを食べたところだ)・存続(壁にかかった絵)の意味があるのだから。ちなみに選択肢に存続がなくて完了の助動詞しかない場合、存続も完了扱いになる。
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