朝、ホテルの後ろにあるチェアリフトに乗ってみたいとも思ったが、本日のいちばんの目的・温泉へ急ぐことにした。
アイダホ州のラバー・ホット・スプリングス。聞いたこともなかったが、地元情報で価値ありと判断した。良い天気で、温泉日和だし。
ワイオミングから西へ走り、アイダホへ向かう。地図上だと山の中の近道があるようだが、大事をとって分かりやすい道をいく。州都アイダホフォールズへ近づいていくと「ポカテロ」という町への標識があった。「ここは来たことがある!」突然自分の中で記憶のとびらが開かれた。
二十年ほど前になるだろうか、当時某研修旅行に毎年同行し、毎年アメリカやヨーロッパのいろいろな地方都市に一週間滞在していた。 その時のひとつにこのポカテロがあったのを思い出したのだ。
中西部のどこにでもある田舎町だが、地元の人たちはいろいろ趣向をこらしてくれて、ロデオ大会へ招待してもらったっけ。 まさか、このポカテロを通りがかりにしろ再び訪れる日がくるとは、面白い偶然である。
ポカテロからさらに南へ向かう道、溶岩が黒く固まった中をとおりぬけてゆく。前方には火山だったとはっきり分かるシルエットなるほど、LAVA=溶岩、HOT SPRINGS。来て、見て、はじめて実感。ここは火山地帯だった。
ラヴァ・ホットスプリングスの街が近づくと、大きなウォータースライダーが見えてきた。なるほど、そんなのがあるんだ。しかし…どうも誰も滑っていない様子。は!今日は日曜日。モルモン教徒が多いこのあたりだと、日曜日に閉まるレジャー施設も少なくない。ああ、しまったかな?…。
幸い、巨大プール温泉のすぐ前に小さな源泉を利用した温泉プールをもったホテルがひらいていた。水着着用ではあるが、その雰囲気はちょっと日本の温泉宿(言いすぎ)。さっそく入湯料?10ドルを支払い、じゃぽんとつかる。ミネラル泉だそうで、湧き出しているところがたしかに少し濃く、ぬるぬるしている。
ホテルの建物の周囲そこかしこに大小さまざまな温泉プールがあって、それぞれにくつろげる。大き目のプールでは家族連れがビーチボールで遊んでいる。このホテルで泊まるのも悪くない、うん、次回考えてみよう。
**
ソルト・レイク・シティーへ行くのならば、やはりその名前の由来となった塩の湖を見てみたい。そう思って調べてみたけれど、自動車速度レースが行われる塩で固まった湖面のあたりはソルト・レイク・シティからはかなり遠い。ならば、シティの近くでグレートソルトレイクの充実した観光が出来る場所はないか?
ドライバーガイドのYさんにSLC在住の友人に電話して聞いてもらったところ、湖の中にあるアンテロープ島がおもしろいという。幸いそこはこれから南のSLCへいく途上にあるので行ってみる事にした。
グレート・ソルト・レイクは琵琶湖の約九倍、西半球最大の塩水湖。アンテロープ島はその東岸に近いところにある長さ24キロ最長幅7キロのほど長い島。全体が州立公園に指定されている。ハイウェーから降りて向かう
1840年代の入植者がアンテロープを見かけたことからこの名前がついたそうだが、あ!あそこにアンテロープ!見つかりました?拡大すると
ビジターセンターもなかなかおもしろく、こんな生き物がこれは小さなエビの幼魚状態でNAUPLII呼ばれるそうだ。養殖されて水族館に餌として出荷され、塩水湖の主要な産物となっている。こんな会社もあった⇒http://www.gsla.us/
日本でも「シーモンキー」と呼ばれる種類と同じで、乾燥させた卵は耐久性があり輸出入しやすい。
養魚の餌としてうってつけという事か、なるほど勉強になりました。
***
前方に山を背景にしたソルト・レイク・シティのダウンタウンがみえてくる。ひときわ高いドームは州議事堂
ホテルはそのテンプル・スクエアのすぐ近く。夕食の前に少し見学へ行った世界中から教徒がやってきて、もちろん日本語でも声がかかる。
ブリーガム・ヤングに率いられたモルモン教との一団が、現在のユタに到着したのは1847年。苦労の末に実った麦をイナゴの大群が台無しにしかけたとき、湖からかもめがやってきてイナゴを撃退したという。だから、かもめはユタ州の州鳥である。宗教的な好き嫌いというのとは別の次元で、初期入植者達の艱難辛苦には敬意をはらいたいとおもう。
日曜日のSLCはキリスト教の教理に従い、ほとんどの店が休み。中華料理での夕食とした。
部屋に戻ってから、この《手造の旅》最後の夜に、ちょっとかわったビールで乾杯。グランド・ティトン国立公園を流れるスネークリバーの名前をとった醸造所がつくっている「パコ」というもの。なんでもこのラベルの犬?の名前なのだそうだ。
アルコール度数は6.8%。フルーティーなようなエールビールの濃い味のような、不思議な味わいがある。