旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

チャングナラヤン(その2)~本堂からチャング博物館へ

2020-06-11 08:54:27 | ネパール
2004-2010«手造の旅»ネパールより
チャングナラヤン寺院の5世紀から7世紀ごろと言われる碑文の前で

信仰心は理屈で育つのではない
物心つく前に、無意識のいちばん底に沈んでいるのだと思う。

子供のころから見ていた像がナニモノなのかを知ろうが知るまいが、怖れや信愛の感情は変わらないものだ。

ナラヤン神はヴィシュヌ神の化身のひとつ。
ヴィシュヌ神は「維持」を司る神で、従って王の守護神とされている。
ヴィシュヌ神の乗り物は神の鳥ガルーダ↓

リッチャビ王朝時代と思われるこの古い石像が10ルピー札のデザインに使われている

現世を支配するヴィシュヌ神が三歩で(七歩で?)世界を飛び越える図↓

ヴィシュヌ神が右手に持つ円盤の武器(スダルシャナ)が本堂前に↓

もともと太陽の炎がもとになっている。
日本の「法輪」のルーツに思える。
これら石柱はネパール最古のリッチャビ王朝にさかのぼるという調査がある。
※上部の金属は後の時代に付け替えられたものだろう。

根拠は刻まれているグプタ文字。北インドのグプタ王朝で4世紀から7世紀ごろに使われていたとされる。
つまり、ネパール最初のリッチャビ王朝と同時代にあたる。

いくつもの王朝の、何代にもわたる王がこの寺を訪れただろう。
18世紀はじめのバグダプルの王ブパティンドラ・マッラ王夫妻が自らの祈る姿を奉納している

カゴは後世に盗難防止を目的にして設置されたのではないかしらん?

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車に戻る参道の途中に「チャング博物館」がある

私的な収集品を展示し、古い時代の生活スタイルを見せてくれる場所。

コインコレクションも

↑三王国時代を終わらせたプリトゥビ・ナラヤン王時代のもの↑

現代のコインがおもしろい↓これは何をしているところ?

二十世紀半ばにシャハ王朝がインドに亡命した際、親戚の家にいたので取り残された四歳のギャネンドラが宰相ラナ家の傀儡として王にまつりあげられた。傀儡の幼王が即位させられた時の図とコインである。
ギャネンドラは一年もしないで帰国した祖父トリブバンが国王となり退位させられた。
兄だけを連れて亡命した一族への恨みは持ち続けていたのではないかしらん。
2001年6月1日にカトマンドゥのナラヤンヒティ宮殿で起きた虐殺事件は、この時不在だったギャネンドラが黒幕だったかも…。
兄王ビレンドラと一族が、皇太子のディペンドラの錯乱乱射(と発表されている)事件で全員死亡。
生き残ったギャネンドラが王となり、議会を停止するなど時代錯誤の絶対王政を敷こうとした。
2008年にネパールが王国としての終わってしまう遠因はすでに半世紀前にあったのかもしれない。


これがキッチン。建物の上階にあるのが不思議。








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