旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

山形の旅~大日坊の大杉

2020-06-26 09:43:01 | 国内
三か月半ぶりの旅仕事!《手造の旅》山形を四年ぶりに催行(^.^)

林の中を分け入ると、突然大杉が姿をあらわした。

明治の廃仏毀釈で放棄された旧境内をずっと立ちつづけてきた。
※無言で見下ろす大杉の由来をこちらに書きました
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午前七時過ぎに東京駅を出て十時過ぎに山形に到着
ちょっとハプニングがあって山形駅近くの博物館に「縄文の女神」だけを見にいった。

2014年に上野で開催した「国宝展」の時には黒山の人だかりで見るにも待ち時間があったのに、ここへくればゆっくり独り占めできる(^^)

この「女神」の魅力は斜め後ろから見た時にこそ感じられる。
※2015年に下見に訪れた時のブログに詳しく書きました
見事に修復されているのでぱっと見はわからないのだが、発掘時には五つに割れた破片が二メートルの範囲にに散らばって見つかった。他の破片もいっしょだったので、これらが組み合わさるとこれだけ完璧でオリジナルな土偶になると分からなかった。ピンっとひらめいた研究者の方、すごいです(^.^)
↓近くで見つかった他の断片もかなりおもしろい

同じモデルでつくられたとはっきり分かるモノもある

祭事に使われた折に、意図的に破壊されただろうと推察されている。
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明治六年に建設された病院、済生館↓の建物が移築されている。これもゆっくり見学したいのだが、まだ果たせていない。また、きっと機会をつくります↓

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一路、羽黒山を目指してドライブスタート。ドライバーさんお勧めのドライブインで蕎麦を↓これ、一口食べてとてもしっかりした食感にホンモノを感じたのです。
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羽黒山の一の鳥居

「ここから旧道をいきましょう」とドライバーさん。旧道沿いには参拝者の宿舎である宿坊がずらりとならんでいる。

芭蕉もこういうところに泊まったのかしらん。

軒下に見えるアレは何?

「あの縄、お祭りの時につかったものの一部を持ちかえって厄除けにしているのですよ」

現地では「?」いまひとつ理解できなかったが、あとから検索してしらべて由来を理解した。
ツツガムシ病が流行った時、巨大な松明を鬼(病気を媒介するツツガムシ=ダニ全般)と見立て縄で作り、ひきまわし、切り刻む祭りがはじまったそうな。切り刻まれた縄をばらばらにしておかないと生き返るのでそれぞれが持ち帰って厄除けとしておるのだと。※こちらのページに詳しい説明と祭のなが~い縄の出てくる写真があります
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国宝の五重の塔まで歩こう

かつては仁王門だったが

廃仏毀釈で神社になって随神門と変えられた。

朱に塗られた橋。その下の川でみそぎをしてから階段をのぼりはじめた場所。



かつて夫婦杉だったが今は「爺」だけになってしまった巨木

その向こうに見えてきた。
何度か再建されて、今見えるものは江戸初期。

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車に乗って羽黒山神社の境内へ向かう。
現代の車の道がかつての石段を寸断しているのを、ドライバーさんがおしえてくれる。

こういう石段にこそ「足跡」が感じられるのだ

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羽黒山境内の

芭蕉の像があり、そのとなりの句碑に三つ刻まれていた。
「凉しさやほの三日月の羽黒山」
「 加多羅礼努湯登廼仁奴良須當毛東迦那」
「雲の峯いくつくつれて月の山」
真ん中の漢字ばかりものは、「語られぬ 湯殿にぬらす袂かな」と読む。
我々も明日朝訪れる湯殿山参りは、古来語ってはいけないこととなっている。
芭蕉もそれにならって漢字だけで一見読めない句を書いたのですね。

石段にはこういう遊びが隠れている。
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冬の間は月山も湯殿山も雪深くなり訪れることが出来なくなる。
その際、ここ羽黒山だけで三社を参ったことにしてくれるので三山の扁額がある。

ふと梁を見るとだれかがぎょろりと見下ろしている
「これはダレですか?」とドライバーさんに訊ねると、ぱっと走っていって分かりそうな人に訪ねてくださった。

「力士(おすもうさん)が四人いて、建物が壊れないように背負ってくれているんだそうです」
なるほど!
ヨーロッパでクリストフォロスを建物に画いて「壁が崩れませんように」と願うのと似た発想ですねぇ(^.^)
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午後三時をまわり、大日坊瀧水寺を訪れる。

本堂よりもこの門の方が建物として魅力的。大型バスだと前を通り過ぎるだけになりがちだけれど、是非間近に覗き込んでユーモラスな風神と雷神に出会ってほしい。

そして、本堂で住職のお話を聴いて、真如海上人にもお会いしたら、冒頭の大杉に会いに少し足をのばしてほしい。

今日の宿泊は志津温泉「つたや」さんへ。
五年前にこちらを紹介していただいたことが山形の旅企画実現への契機になりました。

コメント
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