旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

2004年パリの「ナポレオン戴冠二百周年展」

2021-01-12 10:26:00 | フランス
1804年12月2日、まさに戴冠の瞬間。ジャック・ルイ・ダヴィッドによる迫真の描写。

完成作よりもずっと、ナポレオンの真実を感じさせてくれる。
ルーブルが所有するこのデッサンが展示されたのを見たのは、この「戴冠二百年展」時だけである。

デッサンから構図を考えていた時の図↑
後ろに座るローマ法王ピウス七世。
↓デッサンではマンガのように描かれている↓

写真のなかったこの時代、一般民衆が真実がどうであったのかを知る術はない。
下のような「かわら版」が、現場の雰囲気をもっとも伝えている。

自らの頭に冠を載せるナポレオン↓

↑後ろで困惑する法皇

ざわめく聖職者たち。
これらの資料はナポレオンの墓があるアンヴァリッドで同年に行われていた展示でみつけた

上は、イギリスでの風刺画。「小男ナポレオン」というのはイギリスの悪意によってひろまっていったらしい。

こういった「ニュース画」がはしかし、人々の記憶から遠ざかっていく。
ナポレオンの御用画家ダヴィッドは二年間をかけて、ナポレオンにとって「都合の良い真実」を構図にしていった。

↑これが最初の、もっとも真実に近い第一案
↑ナポレオンが母のために用意した椅子は空っぽ。
↑法皇の両手は膝に置かれたまま。

↑第二案では空っぽの椅子が目立つのはよくないので左の方に追いやられた
↑法皇の右手が上がり、ナポレオンを祝福している。
※実際には祝福のポーズなどせず、ずっと下を向いていたと伝わる

しかし、どんなに構図を工夫しようとも
ナポレオン自身が冠をわし掴みして頭に載せるところを描いては傲慢さを感じさせてしまう。
完成作では両手で冠を持ち、一見「ジョセフィーヌの戴冠」のようにも見える構図にしてしまった↓

欠席していた母も↑絵の中では参列している↑
ジョセフィーヌはあくまでも美しく。
デッサンでは容赦なく描き出されていた疲れた表情↓はみじんも感じさせない。


コメント
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