旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

中世のアルル~サン・トロフィーム聖堂とその回廊

2021-01-28 10:35:20 | フランス
2009年南フランスの旅より
石打ちの刑で殉教する聖ステファノの口から子供のカタチをした魂が抜けだす。
それを天使たちが天上の神の元にいざなっている↓

サン・トロフィーム聖堂の入口を飾る12世紀の彫刻。
↑石を打ちおろそうとする二人、魂を引き上げる有翼の天使二人、実にバランスよくデザインされている。

右下には旧約聖書に出てくる「ライオンの穴に落とされたダニエル」だろう↑
↑襲ってこないライオンたちの間でまどろむダニエル↑

サン・トロフィーム聖堂の入口アーチはフランス全土でも指折りのロマネスク彫刻である。
12世紀に建設されたこの門は、古代ローマのグラヌム遺跡にある門をモデルにしたという話もある↓

↑たしかに似た形状だけれど、どうなのかしらん。

市庁舎(旗の出ている建物)前の広場に面している↑
↑広場中央のオベリスクはローマ時代のものと解説されたガイドブックもあるがそれにしてはいびつなカタチ。
中世にローマ時代を模倣してつくられたように感じられる。
入口アーチの細部をもう少し↓

↑アダムとイブが禁断の実を食べるシーン↑

↑大きな翼の大天使ミカエルが最後の審判の天秤を持ち、天国に引き上げられる魂が手を合わせている。

↑十二使徒が自分の名前が書かれた巻物を持っている
↑左がバルトロメオ、右がヤコブ(スペイン語ではサンチャゴ)

↑そのひとつ内側に、天使が冠をかぶせようとしている聖トロフィーム
もともとこの場所にあった古い教会は聖ステファノ(冒頭の石打ちの刑で殉教した)の名前を冠していたが、1152年に聖トロフィーム(三世紀はじめアルルの司教)の聖遺物が持ち込まれ、彼に捧げられる教会に変えられた。

↑こちらは併設された回廊にある聖トロフィームの像↑


教会内部↑二十メートルの天井は12世紀のロマネスクにしてはかなり高い↑

祭壇に使われている石棺↑旧約聖書でモーゼが紅海を割ってユダヤの民を逃すシーン↑
↑真ん中部分に波にまかれる追っ手=ローマ軍が画かれている。
こういった石材、古くは4世紀ごろ=キリスト教公認最初期のものをアリスカンから持ってきて使ったと想像される。

↑ロバに乗ってエルサレムに入場するキリスト


北スペインのサンチャゴへの道に残された彫刻群にも通じる。

教会に併設された修道院の中庭にも12世紀の彫刻が残されている。



↑修道士たちが使った井戸のヘリがロープで深くすり減っている↑

回廊の二階部分も歩くことができる。

修道士たちが何百年も座り続けてきただろう長いベンチ。
コメント
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