僕の前世はたぶんオランダ人。

おもしろきこともなき世をおもしろく

新選組血風録(司馬遼太郎)

2019年12月01日 | よむ

30年ぶりの血風録。
全15作からなる短編集。
いずれも有名人とは言いがたい
実在すらも危ぶまれる
絶滅危惧種が主人公。
それだけに創作がこれでもかと詰め込まれ
やりたい放題が半端ない。
有名なのは伊藤甲子太郎と
武田観柳斎くらいか。
司馬初期の傑作とは思っていたが
再読してみると改めて面白い。
初期の作品にして
最高傑作といっても過言ではない。
とにかく台詞が多いのが特徴で
しかもその一つ一つが
「確かにそう言ってそう」
なのだ。
歴史小説とは
史実を骨に
実在しない市井の徒を紛れ込ませ
そう言ったかどうか知れない台詞で
肉付けするのが肝だと思っているが
現在世に氾濫する新撰組のイメージの大元となる
祖形を作り上げた責任重大な作品。
以下余談ながら
おーい竜馬の巻末対談で
武田鉄也が
「新撰組は暴走族みたいなもの」
と例えていたが
実にうまいこと言うなぁ笑。