先日ふとした拍子にラジオから流れた
キンクスのビクトリアという曲。
そんな偶然から流れ流れて
口にすることになったのが
相鉄線平沼橋駅の
路地裏に佇む
レストランテルの
このビクトリアカツだ。
一言で表すなら
『こんな店がまだあっただなんて・・・』
まず看板は立て看板が一枚で
庇に文字とか
備え付けの看板とか
ましてやライトアップなんて一切が見当たらず。
もはや開いているかも怪しいレベル。
ドアガラスから除くと
食後の皿でとっちらかったテーブルが見える。
バイト君の賄いをまだ片付けていないのかな?
と思いながら遠慮がちにドアを開け
「やってますー?」
と声をかけると
包丁の音をトントン響かせながら
「あぁぁい」
と談志師匠のような老人が顔を上げる。
適当な席に思い店内を見渡すと
うわぁ・・・
全部のテーブルが見事に散らかりっぱなし。
どの席も1組ずつしか散らかっていないところを見ると
一人暮らしの男性客が中心なんだろう。
とりあえずテレビの見える奥の席に落ち着くと
厨房から御大がヨタヨタでてきて
皿をどけて1席だけ作ってくれる。
どのメニューも500円程度と激安の中
名物のビクトリアカツ400円1皿では申し訳なく思い
「ビクトリアカツとナポリタン」
を発注するも
相当面倒くさそうな声で
「ナポリタン時間かかるからなぁぁぁ・・・・」
「え、いや、じゃ、ビクトリアカツのみでお願いします・・・」
良かれと思った過剰発注に対し
まさかの断固拒否!
なるや、じじい・・・。
重厚かつ苦みばしったデミグラスで頂くカミカツ。
不思議な味のカツで
ほんとに豚肉かしらんと疑いたくなってしまう。
誤解を恐れずに例えるならば
ダンボールをデミグラスに浸し
煮込んでグニューッと圧縮して
ホロホロにして
もはや何者だかわからない状態で
パン粉で上げたようなカツ。
しばらくするとおばあちゃんが1人増えて
テーブルを片付けはじめた。
どうやらお二人できりもり
(どうみてもスローライフのためこの表現があっているかははなはだ疑問)
しているようだ。
キンクスが流れたことでたどり着いた
奇跡の一皿であったが
なんとも稀有な絶滅危惧種に出会った気分。